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春畑道哉 MICHIYA HARUHATA LIVE AROUND 2022 SPRING HAS COME ⁺ next

2022年にソロデビュー35周年を迎えた春畑道哉(TUBE)。これまでに、Jリーグのオフィシャルテーマソングやプロ野球の中継テーマなど、誰もが耳にしたことのある数多くのインスト曲を世に送り出してきた彼が、11枚目のニューアルバム『SPRING HAS COME』を4月27日に発表。本作を引っさげた全国ホールツアー〈MICHIYA HARUHATA LIVE AROUND 2022 SPRING HAS COME ⁺ next〉が開催された。今回は、ツアーファイナルである東京公演の模様をレポート。使用されたエレキギターは、5本のフェンダーギターたちだ。

喜怒哀楽がすべてギターで表現され、リスナーの心に新たな景色やストーリーを創り出す

ライヴは最新アルバムの表題曲「Spring has come」から始まった。コンプの効いた軽快なギターカッティングから始まる楽曲で、ギターはFender Custom Shop™のMichiya Haruhata Stratocaster® III Pilot Run, Masterbuilt by Jason Smith。フロントピックアップでのスムースなメロディ、サビではリアピックアップとメリハリがついたサウンドで、モジュレーションがかかったギターソロが印象的だった。今回のライヴは全楽曲、スクリーン上に楽曲とリンクした映像が流れ、視覚的にも楽しめる演出となっていた。

それにしても、白の衣装に映えるトランスピンクカラーのギターが美しい。Michiya Haruhata Stratocaster III Pilot Runはフレイムメイプルトップのアッシュボディで、ノーピックガード仕様。メイプル指板で、ボディに直付けのピックアップHSH構成が特徴的。明るくて切れ味も鋭いギターだ。

91年のアルバム『Dream Box』収録の「Sunrise」では、Fender Custom Shop Michiya Haruhata Stratocaster® Heavy Relic®, Masterbuilt by Jason Smithが登場。音抜けがよくてソリッド、鋭角なだけでなく芯の太さを持ったサウンドが特徴だ。オールドヴィンテージスタイルのような、レリック加工が施されたギターである。続く「Daybreak Highway」では、ストラトらしいキレの良さと音の立ち上がりが際立つクリーンカッティングと、ヴィンテージ感のあるリードプレイが特徴的。「Freaky Jammin’」では、激しい歪みでトリッキーなプレイを魅せる。ヴィンテージサウンドからモダンでヘヴィなサウンドまでと、音の幅が広いギターである。

MCでは、憧れのギタリストであるCharとのエピソードも。「アルバム『SPRING HAS COME』では、小学生の頃からのマイギターヒーロー、Charさんと一緒に演らせていただいて。Charさんのレコーディングスタジオに行った時に、フェンダーのMustang®がいっぱいあるんですよ。こんなにあったら1本くらい(もらっても)大丈夫じゃないかなって(笑)。曲はお願いするわ、ギターを弾いてとお願いするわ、ギター1本くれって言うわ、ひどいですよね(笑)。でも、いただきました。ギターインストのライヴというのをたくさんの方に知っていただきたくて、次の曲だけみんな動画を撮ってくれるかな? 静止画でもいいし、個人で楽しむのもいいし、SNSで広げていただくのもいい」として始まった「I feel free」では、Charから授かったシグネイチャーモデル、Char Mustang®を手にする春畑。

このChar Mustangは抜けの良いミッドハイが特徴で、Mustangらしい音が出ていた。そのMustangのままブギー調の「Jack in the Box」へ。Mustangはストラトよりも小柄で、スケールも短いためライヴでの操作性は高い。ハンマリングやプリングなどの速いパッセージもプレイ。

ライヴ中盤、87年のデビューアルバム『DRIVIN’』の表題曲でFender Custom ShopのMichiya Haruhata Stratocaster® IIIが登場。この曲では、全面ワウを絡めたエモーショナルなプレイが印象的だった。

続いて、町田で生まれ育った時の記憶をつなぎ合わせて作った「ノスタルジア」を、春畑自身がピアノ1台でプレイ。この曲はクラシックのようでもあり、どこか懐かしいメロディ。しかし、根本にあるのは春畑らしいメロディックな旋律。アコースティックテイストの曲が何曲か続き、再度、Fender Custom Shop Michiya Haruhata Stratocaster IIIを使った楽曲は、最新アルバム収録曲「Promised Land」。このMichiya Haruhata Stratocaster IIIは、キルトトップのカリビアンブルーフィニッシュで、春畑自身のアイコニックな存在感を放っているギターだ。

ライヴ後半は、今回のツアーメニュー用に新たにDチューナーを搭載したMichiya Haruhata Ⅲ Stratocaster®️ Trans Pinkで、「Solid Sky」からエドワード・ヴァン・ヘイレンを彷彿とさせるアッパーなロックチューン「Shooting Stars」へ。テクニカルかつメロディアスで、観客の盛り上がりも最高潮となった。ドラムソロからそのまま「Kingdom of the Heavens」のヘヴィリフへと突入し、ワウプレイでエモーショナルなメロディを聴かせる。テクニカルなギターワークで、泣きのギターとも言えるメロディは圧巻だった。本編最後は、ファンにはお馴染みの「青いコンバーチブル」で会場一体となった。

アンコールは、昨年開幕した女子プロサッカーリーグ“WEリーグ”の公式アンセム「WE PROMISE」から。続く名曲「JAGUAR’13」までMichiya Haruhata Stratocaster III Pilot Runを使用。ミッドローが効いたかなり歪んだリードサウンドで、ブーミーなサウンドながらも突き抜ける音だ。

アンコールラストは、「Period.」をレリック仕様のMichiya Haruhata Stratocaster Heavy Relicで演奏。ヴィンテージ感溢れるサウンドで、ピッキングのニュアンスで表情が変わるクランチサウンドを奏でていた。

ダブルアンコールでは、『FIND MY PLACE』収録の「Dec. horoscope」をMichiya Haruhata Stratocaster III Pilot Runでソロギタースタイルでプレイ。コーラスのモジュレーションの深さと、空間系エフェクトのディレイなど、エフェクティヴなサウンドメイクだった。そしてバンドメンバーを再度呼び込み、1曲目「Spring has come」を再度披露してライヴは幕を閉じた。

春畑道哉のインスト楽曲は、ヴォーカルのように歌うギターが最大の特徴だ。キャッチーなメロディはもちろんのこと、ソロまでメロディックかつエモーショナルなプレイ。叙情的な部分も含めて、喜怒哀楽がすべてギターで表現され、そのディテールの細やかさとダイナミクスレンジの広さがリスナーの心に新たな景色やストーリーを創り出す。そんな心に直接響く楽曲こそが、春畑道哉のソロワーク作品なのだろう。TUBEの活動と並行して続く、ライフワークとも言えるソロ活動が今後も楽しみである。

【SET LIST】

1.Spring has come
2.FANTASIA〜LIFE WITH FOOTBALL〜
3.Sunrise
4.Daybreak Highway
5.Freaky Jammin’
6.I feel free
7.Jack in the Box
8.DRIVIN’
9.ノスタルジア
10.Hello
11.Wings
12.Promised Land
13.Solid Sky
14.Shooting Stars
15.Kingdom of the Heavens
16.青いコンバーチブル

ENCORE 1

1.WE PROMISE
2.JAGUAR’13
3.Period.

ENCORE 2

1.Dec. horoscope
2.Spring has come


春畑道哉:https://www.sonymusic.co.jp/artist/MichiyaHaruhata/

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