Squier®︎ Special Interview | オカモトコウキ(OKAMOTOʼS)
伝説的なデザインと典型的なトーンを備えつつ、高いコストパフォーマンスを誇るSquier®(スクワイヤー)は、ビギナーからプロのアーティストまで多くのプレイヤーに愛用されているブランドだ。OKAMOTO’Sのギタリスト、オカモトコウキもその一人。現在はClassic Vibe ’60S Telecaster ThinlineとStratocasterの2本を愛用しているという彼に、スクワイヤーの魅力についてたっぷりと語ってもらった。
2016年以降に僕が作った楽曲は、すべてここから生まれたと言っても過言ではない
─ コウキさんがお持ちのスクワイヤーについて教えてください。
オカモトコウキ(以下:コウキ) 2本あって、Telecaster Thinlineはフェンダーのショウルームへ行った時に入手しました。2016年くらいだったかな。もともとは別のギターを購入しようと思っていたんですよ。ちょうどその頃にスクワイヤーのラインが出たばかりで、ショウルームの片隅にこれが飾ってあって。“こんなの出たんですね!”みたいな感じでちょっと弾かせてもらったら、思った以上に良かったんです。価格を聞いたらめちゃくちゃお手頃なお値段だったし、自宅で弾く用に1本持っていてもいいなと思ってその場で購入しました。
─ どのあたりが特に気に入りましたか?
コウキ まず、ホロウボディということもあって、弾いた時の生音がすごく大きかったんです。しかも、カラッと乾いた抜け感のあるサウンド。詰まった感じが全然なくて、コードをジャーン!とかき鳴らした時に、その音が遠くまで飛んでいってくれるような、素直でいい音だなと思ったんです。
─ もう1本はStratocasterですね。
コウキ これは、Stratocasterの中でも現代的な仕様を持つモデル。フロイドローズユニットになっているし、ピックアップもEMGといういわばメタル寄りのサウンド。スタンダードなStratocasterと比較すると、すごく歪みやすくてモダンなサウンドを鳴らせるんです。色もマットカラーで高級感があるし。あくまでもStratocasterのフォルムをキープしつつ、現代的な仕様を持っているところに惹かれました。しかも手に入れやすい価格だったので、これを自分の幅として1本持っておいたらいいなという経緯で2017年に購入しました。
─ 普段、スクワイヤーをどんな風に使用していますか?
コウキ Telecaster Thinlineは自宅で曲作りをする時に使っています。何かアイデアが思い浮かんだ時、いちいちギターをアンプにつなげてセッティングするのは面倒くさくて(笑)。このくらい生音がしっかり出てくれるギターだと、アンプを通さなくても弾いていて気持ちいいんですよね。普段、曲作りをする自宅の作業スペースに常に置いてあって、最初に手に取る楽器がこれ。普段、家にはこれしか置いていないので、2016年以降に僕が作った楽曲は、すべてここから生まれたと言っても過言ではないです(笑)。めちゃくちゃ弾き込んでいるから、音もどんどん良くなっているんですよ。もう、なくてはならない1本と言えますね。あと、僕はあまりこだわりがないタイプというか。“あ、これいい音じゃん”と思ったら、それが高かろうと安かろうと手に入れたくなる。“この年代の、このモデルじゃなきゃダメ”みたいなのは気にしていなくて、“これ、いいじゃん”と思ったらずっと使っちゃうんですよね。
─ それは、コウキさんの中で“いい音”の基準が明確にあるからなのでしょうね。
コウキ そうかもしれない。実際、この2本はめちゃくちゃしっかりしたいい音ですし。そもそも、フェンダーはアベレージが高いじゃないですか。中学生の頃、最初に購入したのが日本製のフェンダーStratocasterで。いわゆるエントリークラスだったのですが、それもすごく弾きやすかったのでフェンダーに対する信頼感はすごくあります。
─ ちなみに、スクワイヤーはレコーディングで使用することもありますか?
コウキ Stratocasterはレコーディングでも結構使っています。さっきモダンでハードロック向けのサウンドと言いましたが、要するにオケの中で抜けが良いんですよ。他のギターを使ってみて“しっくりこないな”と思った時とか、こういうタイプのギターを他に持っていないので重宝しています。あと、ライヴやレコーディングのサポートをする時もよく使っていますね。数年前にナナヲアカリさんのライブサポートを行ったときには、打ち込み中心の現代的なサウンドで、ハードなギターが要求されたかと思えばフリーのアルペジオが求められるなど、1曲の中で目まぐるしく展開していくのでStratocasterが役に立ちました。
─ コウキさんにとって、スクワイヤーはどんなイメージですか?
コウキ パッと手に取って弾いても、絶対に最低限のアベレージは出してくれるギターというイメージですね。絶対にハズレということにならないところとか、これからギターを始めようと思っている人にもオススメできるポイントです。最初に手にしたギターが“何か弾きにくいな”という印象になってしまうと、続けるのも難しいじゃないですか。そういう意味で、こういうスクワイヤーのようなラインが用意されているのはすごく良いことだなと思います。親戚の子供とかに“ギター欲しいんだけど、何買ったら良いかな”と聞かれることが多いのですが(笑)、“スクワイヤーを買っておけば間違いないよ”と自信を持って言えますね。もちろん、プロで活動されている方や、ある程度ギターが上達した方にもオススメです。
─ ところで、OKAMOTOʼSの近況は?
コウキ 昨年9月に通算9枚目のアルバム『KNO WHERE』をリリースして、その直後から12月まで続いたツアーを何とかやり切った感じです。バンド結成10周年を経て“新たな一歩を踏み出す”という意味でも、今までやらなかったことにたくさん挑戦しました。バラエティに富んだ、しかも17曲入りというボリュームいっぱいの内容です。ツアーもこんなご時世だし“やれるだけでもありがたい”と思っていたのですが、内容もすごく良くて。またここから新しいことにチャレンジできそうだなという感触が持てました。
─ 2022年はどんな年にしたいですか?
コウキ ソロでは今年、何かしらやろうと思っています。しかも新しいやり方で、今までとは違ったものを出す計画があるので楽しみにしていてほしいです。バンドのほうも、最近はメンバーそれぞれの活動も充実しているし、OKAMOTOʼSとしても音楽以外のことにもいろいろ挑戦して広がってきたことがあるので、そこからまた新しい、僕らにしかできないような“複合的な楽しみ”をお届けできるんじゃないかと思っています。
─ では最後に、これから音楽を始めようと思っている人たちにメッセージをお願いします。
コウキ ちょうどこの間のツアーで地方に行った時に、明らかにバンドを組んでいる中学生くらいの子たちが来て熱心に僕のプレイを観ていたのがめちゃくちゃ嬉しかったんですよね。OKAMOTOʼSを入口に、世界中のさまざまな音楽を聴いてもらえたら本望だなと。これから音楽を始める人は、とにかく既成概念みたいなものには囚われないでほしい。“ギターはこれを買わなきゃならない”とか“みんながいいと思っているものはいいと思わなきゃいけない”なんて思う必要はまったくないんです。自分がカッコいいと思うギターがあるなら、それを買えばいいし、好きな音楽が周りとたとえ違っていても追求するべきだと思う。でも、今の若い子たちは割とそういうことが普通にできていると思いますね。実際、下の世代からそういう姿勢を教わることも多くて頼もしい限りですね。
─ 今はバンド仲間が見つからなくても、一人でも音楽が作れるツールがたくさんありますし。
コウキ そうなんですよ。しかも、それを発信するプラットフォームもたくさんある。SNSで、同じような音楽を好きな人ともつながりやすくなっているんじゃないかなと思うんですよね。もちろん、バンドじゃなくて一人でもいいんじゃないですかね。絶対に友達とやらなきゃいけないわけでもないし、一人で好きなように作ってすごいことになっているアーティストもたくさんいますし。この先、どんな才能が出てくるのか楽しみです。
オカモトコウキ(OKAMOTOʼS)
1990年11月5日東京都練馬生まれ。中学在学時、同級生とともに現在のOKAMOTO’Sの原型となるバンドを結成。2010年、OKAMOTO’Sのギタリストとしてデビュー、現在までにシングル9枚、アルバム9枚を発表。
バンドはアメリカSXSWやイギリス、アジア各国などでもライブを成功させ、日本国内では日比谷野外音楽堂、中野サンプラザなどでもライブを開催、結成10周年となった2019年には初めて日本武道館で単独ワンマンライブを成功させ、初ソロアルバム『GIRL』をリリース。アグレッシブなギタープレイとソングライティング力は評価が高く、菅田将暉、関ジャニ∞、PUFFY、Negicco、小池美由など多くのアーティストに楽曲を提供。またPUFFY、YO-KING、ドレスコーズ、トミタ栞、堂島孝平、ナナヲアカリなどのライブでのギターサポートも行なっている。ソングライティング力を生かしバンドの中心的なコンポーザーとしても活躍。OKAMOTO’Sとしては、2021年1月に配信シングル「Young Japanese」を皮切りに、「Complication」「M」「Band Music」「Picasso」と怒涛の勢いで新曲を発表、その活動の勢いは止まることを知らない。9月29日に9枚目のオリジナルアルバム『KNO WHERE』をリリース。10月8日のKT Zepp Yokohama公演を皮切りに全国16か所18公演をまわるライブハウスツアー〈OKAMOTO’S LIVE TOUR 2021″KNO WHERE”〉を開催した。
http://www.okamotos.net