Char 45th anniversary concert special
日本を代表するロックギタリストCharが、12月11日(土)に日本武道館で〈45th anniversary concert special〉と題したライヴを開催した。多彩なゲストを迎えた3時間におよぶ熱演は、ソロデビュー45周年を記念するに相応しい、見どころ満載のスペシャルなものに。その模様をレポートする。
「前座です」(Char)
「この後、ホンモノのCharが出てきます」(奥田民生)
そんなジョークを前置きに、Char、奥田民生、山崎まさよしによるユニット、3人の侍が「ホテル・カリフォルニア」「ひとりぼっちのあいつ」「エレクトリックおばあちゃん」「上を向いて歩こう」のカヴァーを、アコースティックギターを弾きながらハーモニーを重ね披露。
さらには、曲間の軽妙なトークやコミックバンド顔負けのネタ(?)でも観客を歓ばせ、前座の役割を全うすると、バンドとともにCharがステージに登場。1959年製Burgundy Mist Metallicの STRATOCASTER®(以下:バーガンディ)を手に、ライヴはフュージョン風のインストナンバー「A FAIR WIND」からスタートした。歯切れの良いカッティングとテクニカルかつエモーショナルなリードプレイを織り混ぜたギタープレイは、中音域に厚みのあるクリアでウォームな中にもキリッとしたところがある音色が心地いい。
そこからファンクナンバーの「EVERYDAY, EVERYNIGHT」を。“どうも、(ホンモノの、というニュアンスを込め)Char です(笑)。自分ひとりではここまで来られなかった”と、45周年を迎えた感慨を改めて噛みしめるように短い挨拶を挟んで、ポップナンバーの「ALL AROUND ME」とつなげると、コードストロークに絶妙な揺れが加わった前者、ソロの乾いたトーンが印象的だった後者と、音色の違いでも観客を楽しませていった。
前半戦の見どころ、いや、聴きどころは、“最近、嫌々、ニューアルバムを出しました(笑)。そこからちょっとだけやります”と、2021年9月29日に16年ぶりにリリースしたアルバム『Fret To Fret』から立て続けに演奏した曲の数々だ。そこでもCharは、ワウを踏みながら奏でたリフに歪みが加わったファンキーな「FRET TO FRET」、歯切れの良いカッティングに絶妙にうねるようなエフェクトが掛かったシティポップの「STYLIST」、アルペジオの粒立ちの良さが際立ったスロウナンバー「WALKING ON AIR」と、曲ごとに音色を変化させる。
モデリング・ギターに持ち替えた「CREEPIN’」とインストの「INFANT ELEPHANT」では、さらにシタール風、およびクラビネット風の音色も交え、エキセントリックな魅力もアピールしたのだった。
再びバーガンディを手にした後半戦は、77年のスマッシュヒット「逆光線」をはじめ、懐かしい曲の数々でセットリストを組みつつ、前半戦から一転、ロック色濃いギターサウンドを鳴らして演奏の熱をぐっと上げていく。
歌謡ロックなんて言いたい、その「逆光線」では、ダンディな色気とともに歌声の魅力もアピールしたが、その前後に演奏したインスト「THE LEADING OF THE LEAVING」とミドルテンポのブルースナンバー「波」では、Pink PaisleyのCustom shop製 Char signature Mustangのアームを駆使したエモーショナルなソロを交えながら、60年代のブルースロック~ハードロックを現代に蘇らせるような歪みを音色に加える。
クリアな音色で、伸びやかなギターソロを披露したバラード「WONDERING AGAIN」は、まさに嵐の前の静けさだったようだ。なぜなら、コラボシングルをリリースしたこともある布袋寅泰を迎えて披露した「SHININ’ YOU, SHININ’ DAY」。前述した「逆光線」と並ぶ歌謡ロック時代のヒットナンバー「闘牛士」では、日本のロックを代表するギタリスト2人がソロの応酬を繰り広げ、それまで座ってじっくりと楽しんでいたアリーナの観客を慌てて立ち上がらせたのだから!
「Charさんがいなかったらギターを始めてなかったし、日本のロックはこんなに成熟してなかった。日本のNo.1ギタリスト! いつまでもずっと活躍してください」。そう賛辞を贈った布袋は、78年にゴダイゴと共演としたCharのライブを、日本武道館のアリーナ席の前から3番目の席で見たという。
1967年製のホワイトのMustangに持ち替えた「ANYTIME」と「SMOKY」では、ゲストのAIがソウフルフルな歌声をファンキーな演奏に加え、クライマックスに向けてさらに盛り上げる。76年にCharの存在を世に知らしめ、近年、シティポップのルーツとして再注目され始めた代表曲中の代表曲「SMOKY」では、高速のカッティングに速弾きのソロを巧みに組み合わせたテクニカルなプレイを披露。それがスリリングな見どころになるのは、テクニカルなプレイはもちろん、ワイルドなギターの音色が鳴るからこそ。
本編を締めくくるに相応しい熱演に、観客の拍手が会場中に響き渡る中、さっそくアンコールに応えたCharは高校1年生の時に日本武道館でレッド・ツェッペリンのライヴを見た思い出を、“あれから何年だ⁉”と振り返えると、バーガンディを手に「MOVING AGAIN」とインスト「RAINBOW SHOES」の2曲を披露。ともにハードロッキンなプレイを繰り広げながら、伸びやかな高音の中に鋭いトーンが混じる音色を、とどめを刺すようにアピールしたのだった。
しかし、今日は45周年記念の特別ライヴ。さらなる見どころが用意されていた。それが、ダブルアンコールの「WE LOVE MUSIC」だ。フェンダーの創設75周年を記念した『Fender 75th Anniversary Charity Project – We Love Music』のためにCharが書き下ろした楽曲を、この日、プロジェクトに参加した総勢15名のギタリスト/ベーシストの中から、INORAN(LUNA SEA)、SILENT SIRENのすぅ、あいにゃん、春畑道哉(TUBE)、日野“JINO”賢二、そして山内総一郎(フジファブリック)を迎え、ライヴ初披露したのだ。
Charをはじめとする7人のギタリスト/ベーシストがステージに並ぶ様は、まさに壮観の一言だったが、それぞれに個性を印象づけるソロをリレーする豪華な競演は、ここでしか見られない、とても貴重なものとなった。
“Charさん、45周年おめでとうございます!”と最後に山内が音頭を取るように声を上げ、大団円を迎えたあと、“最後にオマケ”と一人ステージに残ったCharが、アコースティックギターで弾き語りしたのが77年のヒットナンバー「気絶するほど悩ましい」。誰もが思ったに違いない。なんて贅沢なオマケなんだろうと。
【SET LIST】
- A FAIR WIND
- EVERYDAY, EVERYNIGHT
- ALL AROUND ME
- FRET TO FRET
- STYLIST
- WALKING ON AIR
- CREEPIN’
- INFANT ELEPHANT
- THE LEADING OF THE LEAVING
- 逆光線
- 波
- WONDERING AGAIN
- SHININ’ YOU, SHININ’ DAY
- 闘牛士
- ANYTIME
- SMOKY
ENCORE
- MOVING AGAIN
- RAINBOW SHOES
- WE LOVE MUSIC
- 気絶するほど悩ましい
Fender 75th Anniversary Charity Projectプロジェクトに賛同いただいたフェンダーアーティスト総勢15名のギタリスト/ベーシストとタッグを組み、”音楽”をテーマにしたチャリティソング「We Love Music」大好評配信中!配信で得た収益は、音楽教育のための助成金として全額寄付いたします。
WE LOVE MUSIC
Words & Music by Char
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16年ぶりのオリジナルアルバム「Fret to Fret」絶賛発売中。
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