カスタムオーダーセッション with Master Builder | Fender Experience 2025

ジャンルや世代を超えた注目アーティストによるライヴ、名器たちとの出会い、音楽と触れ合うワークショップ。音楽、クリエイティビティ、そして人とのつながりが交錯する体験型イベント〈FENDER EXPERIENCE 2025〉が、10月11日(土)〜13日(月・祝)の3日間にわたり原宿・表参道エリアの3会場にて開催された。

その特別企画として、Fender Custom Shopが誇る4人のマスタービルダーが来日し、直接彼らのアドバイスを聞きながらオーダーできる特別なカスタムオーダーセッションを開催! 一般のお客様を事前に募り、幸運にもその機会を手にした計11名の方の中から、1名の方の様子をメインにレポートする。

理想が現実になる、夢のオーダーセッション

カスタムオーダー用の特別ルームで、このセッションに応募してくれたお客様を出迎えたシニアマスタービルダーのポール・ウォーラー。U2のアダム・クレイトンのベース、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズのTelecaster、バディ・ガイのStratocaster、ナイル・ロジャースのHitmaker Stratocasterなど、世界的なミュージシャンたちの愛器を手掛けている。そして、伝説的ピックアップ職人アビゲイル・イバラの一番弟子として技術と情熱を継承し、高品質なピックアップの製作に携わり続けているホセフィーナ・カンポスも柔和な笑顔を浮かべながら彼の隣に座っていた。

今回のお客様がオーダーするギターはTelecaster。しかし、一般的なシングルコイルを搭載した仕様ではなく、P90に興味があるとのことだった。それに対しポールも「私個人の感覚だとTelecasterと言えば、やはりアッシュ材のボディとシングルコイルなんですよね。でも、アッシュとP90の組み合わせも悪くないと思います。マホガニーのTelecaster Thinlineもありでしょうね。マホガニーはアッシュと較べると重い木材なんです。ローステッドアッシュは普通のアッシュよりも軽くて、生音の鳴りもとても良いです」と話し、お客様も「Telecasterらしさだったら、やはりアッシュのボディなのかなと僕も思っています」と頷く。ボディ材に関してはローステッドアッシュ、フルソリッドボディの製作が決定した。

ボディ材を踏まえながらじっくりと検討されたのが、ピックアップについて。ポールのおすすめはネックピックアップがP90、リアピックアップが一般的なシングルコイルの組み合わせだったが、お客様は「シングルコイルのTelecasterは持っているんです。今回はP90で揃えてみるのはどうかなあと考えているんです」とのことだった。「フェンダーのP90は一般的なものよりも出力が高いんです。伝統的なスタイルのTelecasterをすでに1本お持ちであれば、今回のギターのピックアップをP90で揃えるのもありだと思います。カッコ良くなるはず。これは面白そうですね」と、新鮮なトライに対する意欲を見せたポール。ピックアップのワインディングを手掛けるのは、2人のやりとりにずっと耳を傾けていたホセフィーナ。「私はP90も作れます。気に入ってもらえるピックアップをお約束します!」と、彼女もやる気満々であった。

細部に関するオーダー内容が確定していく中、ネックに関する詳細もじっくりと検討が重ねられた。60sスタイル オーバルCのネック形状に慣れている方だったが、スタッフに手渡されたギターを何本か試す中で、Eric Clapton StratocasterのVシェイプのグリップ感をとても気に入っていた。

「Vシェイプは、チョーキングがやりやすいですね。このクラプトンモデルのStratocasterと同じ感じにしたいです。でも、ネックの縁を丸く仕上げていただくことはできますか?」という質問に対して「できますよ。クラプトンモデルは、彼の好みに合わせたエッジを立てている仕上げなので、あなたのギターは丸める仕上げにしましょう」と快諾したポール。カスタムオーダーは、このような細かな部分の要望にも応えてもらえる。

「ボディ塗装はなるべく薄くしたいんですけど、お願いできますか?」というお客様のリクエストに関しても、「マスタービルトモデルの塗装は、お客様のこだわりを反映し、一本ごとに理想の仕上がりへと仕立てることができます。あなたのギターは薄めで仕上げますね」と快諾。チューニングマシン、ブリッジなどのハードウェア類の仕様も確定して、ここでオーダーは完了した。

「こういう新鮮な仕様のTelecasterを作る機会をもらえてとても嬉しいです。早く着手したいな」と改めて強い意欲を示していたポール。ホセフィーナは「素敵なギターになるといいですね」と、オーダーを完了したお客様を祝福。日本のギタリストの夢が凄腕のマスタービルダーに託され、実現に向かって動き始めた。

このような夢のカスタムオーダーセッションは、この〈FENDER EXPERIENCE 2025〉の期間中、計11回行われた。どのセッションも直接マスタービルダーにオーダーできるというだけあって、お客様はとても嬉しそうに目を光らせていた。マスタービルダーはこの期間中の特別の来日だったが、Fender Flagship Tokyoでは日々日本のスタッフが丁寧にお客様のオーダーを聞きアメリカ本社のマスタービルダーと連携し、世界に一本だけのギターやベースが作られている。あなたも、Fender Flagship Tokyoの3階の扉を叩いてみてはいかがだろうか。

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