FENDER FLAGSHIP TOKYO – Media Event

5月10日(水)東京・青山のWALL&WALLで〈FENDER FLAGSHIP TOKYO MEDIA EVENT〉が開催。フェンダーが手掛ける世界初の旗艦店、FENDER FLAGSHIP TOKYOが6月30日(金)にオープンすることがメディア関係者に向けて発表された。この記事ではその模様を、イベントを華やかに盛り上げたChilli Beans.のライヴパフォーマンスの見どころとともにお伝えする。

ブランド初の旗艦店「FENDER FLAGSHIP TOKYO」のオープンを記念して開催された濃密なメディアイベント

冒頭でメディア関係者に挨拶したフェンダーミュージック株式会社代表取締役社長 アジアパシフィック統括、エドワード・コール氏は、フェンダーの創設者であるレオ・フェンダーの言葉を借りながら、「(フェンダーの製品は)世界中の、さまざまな音楽ジャンルのミュージシャンに使用され、今や世界に影響力を持つ文化的シンボルになっています」とアピール。続けて、フェンダーが成長企業であることを「2022年、私たちは日本市場において2桁台の力強い成長を継続しました」と説明すると、「世界と音楽シーンが常に進化し続ける中で、世界No.1楽器メーカーとして、その進化をリードしていきます」と宣言。その取り組みの一つとして、創業77年の歴史の中でブランド史上初となる旗艦店舗、FENDER FLAGSHIP TOKYOを、新たなトレンドを発信し続ける東京・原宿の象徴的な商業ビル、THE ICE CUBESにオープンすることを発表した。


「楽器や周辺ギアを購入する場所以上の存在になる」とエドワード氏が語るFENDER FLAGSHIP TOKYOは、従来の楽器店の枠を超えたものになるという。地下1階、地上3階の計4フロアからなる店舗には熟練した職人によって生み出された最高峰のギター/ベースであるFender Custom Shop™から、アメリカ製・日本製の各モデルはもちろん、アコースティックギター、ウクレレ、アンプ、エフェクターといったフェンダー製品を多数取り揃えるだけにとどまらず、フェンダー初の常設カフェ、FENDER CAFE powered by VERVE COFFEE ROASTERSや、トークショーおよびパフォーマンスなどに使えるイベントスペースも設ける。それに加え、フェンダーが手掛ける新たなアパレルブランド、F IS FOR FENDERもローンチし、店頭で展開する。

「プロミュージシャンやコレクター、初心者やこれから楽器を始めたいと考えているお客様、トレンドに敏感な若者世代、お子様連れのご家族、ラグジュアリーなハイエンドショッピング体験を求める方、また、ファッション意識の高い消費者など、あらゆる音楽好きのニーズに対応したさまざまなサービスを提供します」

FENDER FLAGSHIP TOKYOのコンセプトを熱っぽく語りながら、エドワード氏は代官山T-SITE/蔦屋書店、星野リゾートリゾナーレなどを手掛けた建築家ユニット“クライン ダイサム アーキテクツ”がデザインを担当した店内のイメージ画像も初公開。

「今回発表する内容はほんの一部ですが、さまざまな方に楽しんでいただけるストア作りを目指しています。私たちと一緒に音楽の旅に出かけませんか」とプレゼンテーションを締め括ったエドワード氏に代わり、 F IS FOR FENDERとFENDER CAFE powered by VERVE COFFEE ROASTERSを手掛けるZENSE株式会社の代表取締役、高橋一平氏が高品質、日本製、少量生産というF IS FOR FENDERが掲げる3つのポリシーをアピール。


「F IS FOR FENDERのゴールは、楽器販売店の隅に置いてあるギター関連のアクセサリーの延長にあるTシャツコレクションの充実ではありません。ファッションブランドとして、春夏、秋冬、プレシーズンを含む4つのシーズンを意識して、日本から世界のミュージックラバーたちへ、常にアップデートしたファッションを提案するブランドとして成長していきたい」と、F IS FOR FENDERのターゲットがギタープレイヤーやバンドマンだけに限定したものではなく、音楽を身近に楽しんでいる世界中のミュージックラバーであることを強調した。

そんなF IS FOR FENDERの目指すところは、その後、ステージで繰り広げられたF IS FOR FENDERのクリエイティヴディレクター、島津由行氏とグレイトフル・デッドの大ファンという共通点で意気投合したラジオDJ/音楽ライター、ジョー横溝氏とのトークセッションの中で、さらに明らかに。


この日、会場に展示されたF IS FOR FENDERのさまざまな製品を見た横溝氏が「フェンダーのアパレルブランドと言うと、ライヴに着て行くとか、ロックTシャツというイメージがあるかもしれないけど、いい意味で裏切られました」と感想を伝えると、島津氏は「それは嬉しい」と破顔一笑。忌野清志郎や氷室京介のステージ衣装を手掛けてきた島津氏は、自身も大のロックファンなのだが、ロックだから黒を着るという発想はあまりないのだそう。

「むしろロックから1回離れたほうが良いんじゃないかと考えました。Fというフェンダーのいわゆるスパゲッティロゴが独り歩きをして、ファッション好きな人から着目してほしい」と島津氏はF IS FOR FENDERのコンセプトを説明。

「なるほど! レオ・フェンダーはギターを弾けるわけではなかった。だからこそ、自由にイマジネーションを膨らませることができた。でなければStratocaster®︎やTelecaster®︎は生まれなかったと言われています。それと同じようにいったんロックから離れて、自由な発想でブランドを始めたわけですね」(横溝)

「そうすることで、“何かに似ているよね”っていう服じゃなくなると考えたんです」(島津)

横溝氏から今後の展望を尋ねられると、「僕が着ているこのTシャツ(の絵柄)、古いフェンダーの新聞広告なんですけど、福岡の若い職人にシルクスクリーンでプリントしてもらったんです。各地にいるそういう職人たちを発掘してコラボしたい。基本、アメカジが原点なのですが、ハイエンド、カジュアル関係なく好きなことをやりたい。若い頃、放浪したモロッコ、トルコ、分裂前のチェコスロバキア、イスラエルで目にした民族的な要素も入れてみたいです」と島津氏は夢を膨らませながら抱負を語った。

「物として消費するだけではなく、そこに何か違う価値観を感じてもらったり、夢を抱いてもらったりするからこそカルチャーなわけで。今、人々はそういうものを求めているんじゃないかと思います」(横溝氏)

さまざまな夢を語った2時間半のイベントを締め括ったのは、Fender Next 2023に選ばれた3ピースバンド、Chilli Beans.による熱気溢れるパフォーマンスだ。

ライヴはMaika(Ba,Vo)のスラップ奏法によるリフから始まる「See C Love」でスタート。けだるさの中に跳ねるリズムを加えるMoto(Vo)の歌とファンキーなバンドサウンドが、イスが片付けられ、スタンディングになったフロアを早速揺らしていく。


エネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げるMoto(Vo)、Lily(Gt,Vo)、Maikaの3人は、それぞれF is for FenderのTシャツでキメているが、LilyとMaikaが持つギター、ベースにも注目したい。LilyはAmerican Deluxe Ash Stratocaster(White Blonde)、MaikaはAmerican Professional II Jazz Bass(Roasted Pine)だが、ピックガードがべっこう柄の前者、ボディが木目の後者と、ともに楽器の選び方が渋いというか、玄人好みというか、見た目の華やかさを求めなかったところにストイックとも言えるプレイヤー志向を感じ取ることができる。

Lilyが奏でる温もりあるカッティングの音色が心地いい。ギターソロも、チョーキングで鋭いトーンを加えながら、ミッドローを強調した厚みのある太い音で鳴らす。そして、アウトロではワウを踏みながらエモーショナルなプレイでステージの温度をぐっと上げる。

続く「rose feat. Vaundy」はファンキーな演奏とアンニュイな歌の組み合わせが、「See C Love」 同様、Chilli Beans.っぽい。Vaundyとの共作および共演が話題になった曲だが、MaikaがMotoと掛け合うように歌うライヴバージョンは音源とは違う魅力が感じられた。

「普段、愛用させていただいているフェンダーさんのイベントに呼んでいただけて嬉しいです。Fender Next 2023にも選んでいただいて、ほんとに嬉しい限りです」(Maika)


短い挨拶を挟んでから披露した「Vacance」は、ハーモニーの魅力も印象づけるメランコリックな歌ものと思わせ、サビはリズムが倍テンになるというバンドならではの、ある意味やんちゃなアレンジが心憎い。その中でMaikaが披露したベースソロは丸みを帯びながらも粒立ちの良い、くっきりとした音色が印象的だった。

その「Vacance」で音を揺らしながら、そこに絶妙に歪みを加え、音作りの可能性を試していたLilyは、アーバンな曲調を持つ次の「Tremolo」ではトレブリーなカッティングを軸にしながら、ワウ、歪み、揺れを交え、さらに多彩な音色を放つ。

MaikaとMotoがラップをつなげ、沸かせたフロアをLilyのギターソロがさらに盛り上げてからノンストップでつなげたラストの「シェキララ」は、サビの4つ打ちが印象的なダンスポップナンバー。フロアをダメ押しで盛り上げ、ライヴを締め括るにはぴったりだ。笑顔で演奏する3人の姿が目に焼きついている。Lilyは高音を艶やかかつリバービーに鳴らしたギターソロも披露。それも含め、この日のLilyのプレイからは意欲的に音色作りに取り組んでいることが伝わってきた。

演奏終了後のトークコーナーでは、FENDER FLAGSHIP TOKYOについて尋ねられ、「よく知っている場所にできるのが嬉しい」(Maika)、「たくさん行ってみたい」(Moto)、「見たこともない、触ったこともないギターがいっぱい置かれるんだと思うと楽しみです」(Lily)と語った。

なお、Count Down 50と銘打ち、FENDER FLAGSHIP TOKYOがオープンする6月30日まで、50組の国内の人気アーティストが登場するスペシャルムービーが順次公開されることと、6月7日から13日まで、伊勢丹新宿メンズ館6階にF IS FOR FENDERの期間限定PREVIEW ポップアップストアがオープンすることも発表された。

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