The Rock Freaks Vol.16 | わかざえもん

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アーティストとフェンダーによるケミストリーを写真で切り取るエキシビジョンシリーズ「THE ROCK FREAKS」。第16回目は、コロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店)のベーシストに抜擢され一躍脚光を浴びている”わかざえもん”が登場。


周りに努力して成功している方々がいる中で、それを私ができないのなら努力不足だと思うんです。

彼女はぽっと出のベーシストではない。これまで、数多くのセッションやサポートの経験を積んできた若き実力派だ。ベースとの出会いは中学3年生の時だという。

「LUNKHEADの『シンドローム』というベースで始まる曲があるんですけど、それを聴いた時に“この音を出したいなぁ”と思って調べたらベースという楽器だったんです」

ただ、当時は静岡に住んでおり、周囲に楽器を弾いている者もいなかった。地元のたった一軒しかない楽器屋さんでベースの練習をしたものの、それほどベースにはのめり込まかったそうだ。当時の状況を「インテリアですね。部屋にベースがあったらカッケー!みたいなノリでした」と短く言い表してくれた。

そんな彼女がベースにのめり込んだのは、高校に入ってバンドに誘われたのがきっかけだったという。

「高2の時、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのコピバンをやるからベースを弾いてくれないか?って頼まれたんです。家にベースがあるからっていう理由で(笑)。で、やってみたら“もうコレだ!”って感じ。そのあと、軽音楽部に入ってバンドを始めて、それまでは勉強も頑張っていたんですけど、もう音楽でやっていこうと決めました!」と嬉しそうに振り返った。

それから彼女は洋楽にハマった。レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、プライマス、さらに王道のディープ・パープルなどを聴きまくりコピーした。批判をするつもりはないが、今の若いミュージシャンは洋楽を通っていない人も多い。音楽には歴史があるだけに、その歴史を感じる音楽を聴くことは大切だと思うが、そこをわかざえもんはきちんと通っている。ちなみに憧れのベーシストを聴くと「レッチリのフリー、プライマスのレス・クレイプール、コーンのフィールディ。ドンパチ系のベーシストが好きですね」と教えてくれた。

高校を出たわかざえもんは音楽大学に進学。大学の先輩からライヴのオーディションを薦められてプロデビューを果たした。それからはいくつものサポートやセッションの経験を積み、19年にマキシマム ザ ホルモン2号店のオーディションに合格。コロナナモレモモ(ホルモン2号店)のメンバーになってからは、周囲の状況も変わりつつあるようだ。「街を歩いていても声を掛けていただいたり、初めての現場で知らない方からも“2号店おめでとう”と言ってもらえたりします。すごく嬉しいです」と屈託のない笑顔をのぞかせる。だが、浮かれた様子はゼロで、音楽に真っすぐに向き合っている感じがインタビューからも溢れていた。

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Photograph by Maciej Kucia

「そもそも引きこもりなので、仕事がある時以外は家にいるんです。で、ずっと音楽漬けです。お風呂に入っている時も音楽を聴いていますし、寝る時もベースを持って寝ています。音楽以外に趣味や好きなものがないんです。ただ、“音楽がめっちゃ楽しい”という感じではなく“音楽をやっていないとつまらない”です」

今の目標を聞くと、これまた意外な答えが返ってきた。

「ちゃんと音楽して、ベーシストとしていろんな人のバックでプレイしたいですね。 地に足をつけて、一流の方と一緒にやれたら自分自身を認められるし、他人からも認めてもらえますから」

インタビューの中で、わかざえもんは何度も“地に足を付けて”という言葉を使った。

「年齢やキャラクターを先行させず、実力やベースのカッコ良さを追求してしっかりと自分自身努力した上で、地に足をつけていきたいと思っています」

ただ“地に足を付けての活動”をやればやるほど、金銭的な成功が難しくなる傾向にあるのが現実だ。そこはどんな風に考えているのか?といささか意地悪な質問をぶつけてみた。

「周りに努力して成功している方々がいる中で、それを私ができないのなら努力不足だと思うんです。だから何とかするのは自分自身だと思っています」と芯の強さを見せた。

その一方で、現代的な発想も欠かさない。わかざえもんは、自宅での演奏シーンなどの動画をYouTubeにアップしている。

「今はYouTubeで広告収入が入る時代。YouTubeで音楽をやって収入を得ながら、音楽をやれるんです。しかも、以前は大きな会社の力を借りないとできなかったことが今は自分でできる時代。自分のやり方次第で、大勢の人に自分の音楽を知ってもらうことができます。なので、どうやって自分を見せていくか、セルフプロデュースに関してはいつも考えています」

確かに今はテレビの影響力が薄れてきている。テレビを持っていない人も珍しくない。その層へのアプローチが成功のカギとも言われている。

「ライヴ演奏、レコーディング、SNS。この3つをきちんとやっているミュージシャンってまだいないと思うんです。その3つきちんとやっている人の1人になれたらいいなって思っています。でも、YouTubeの投稿をやっているとまだバカにされたりするんです。“お前、何がやりたいの?”って言われたりしますし。私はネットの人にはなりたくないですけど、ネットを毛嫌いする必要はないと思っています」と、新しい形のミュージシャンとしての在り方を試行している。

実際、今年になってパソコンを購入し、パソコンを使っての作曲も増えてきているという。時流に乗り、今後どんな活躍をみせてくれるのだろうか?

「もちろんいろんな音楽の発信方法はありますし、私自身それを楽しんでいるんですけど ドラマーと目や呼吸を合わせてベースを弾く爽快感は1人でベースを弾いているだけでは味わえないです。 ロックバンドの音に憧れたのがスタートでしたし、ロックバンドの出す音に涙を流してきた人なので、楽器を弾かなくなることはないです。生演奏での気持ち良さはやはり何にも代え難いです」

そんなわかざえもんが最近購入したのが、AMERICAN PROFESSIONAL JAZZ BASS® LEFT-HAND。 「試奏して即決で買いました!この1本に関しては、ずっと必要とする音だと思っています」と、理想のサウンドへ探していた1本に出会ったようだ。

この先、わかざえもんは新しいアプローチで音楽を今の若い世代に普及してくれるはず。そこにフェンダーのJazz Bassの音があると思うと、楽器の大切さを改めて教わった気がした。


わかざえもん
数々のバンド、アーティストのサポートを経て、マキシマム ザ ホルモンの2号店としてホルモンの楽曲を自由にアレンジして活動できる公式フランチャイズバンド“コロナナモレモモ”に加入。
› Youtube: わかざえもんWakazaemon
› Twitter: わかざえもん
› Instagram: waka_bass

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