SESSIONS in TOKYO | DYGL

好きなものを自分に問いかけながら、やりたいことをやってください

フェンダーを愛する個性的なアーティストたちが繰り広げる、セッションにフィーチャーした「Fender SESSIONS in TOKYO」。ギター/ベースを通してさまざまなスタイルで対話するアーティストの魅力を、彼らが語る機材のインプレッションとともにお楽しみください。今回は、海外を拠点に活動しつつ、インディーロックやガレージを主軸に極上のポップセンスが光る4人組バンド、DYGL(デイグロー)が登場。フェンダーの新製品、Vintera®︎ IIシリーズのインプレッションとともに語ってもらった。


練習よりも“何を作りたいか”が大事だと思っています

──まずは音楽に目覚めたきっかけ、楽器を始めたきっかけを教えてください。

秋山信樹(以下:秋山) 音楽に目覚めたきっかけは、いくつかのことが重なって。今の音楽スタイルが本当に好きだなと気づけたのは、ザ・ビューというスコットランドのバンドに出会ったのがきっかけでした。その前にもBUMP OF CHICKENやASIAN KUNG-FU GENERATIONなんかのJ-ROCKも好きだったし、自分はクリスチャンホームで育ったので、毎週教会で賛美歌を聴いて育ったのも大きかったかもしれません。2〜3歳の頃は父親がザ・イーグルスをずっと流していて何かいいなと思ったり。いろいろな変遷があって最後はザ・ビューで開眼しました。

──ギター&ヴォーカルになったきっかけは?

秋山 最初の楽器は電子ドラムだったのですが、いろんなバンドを聴くうちにフロントに立ってギターを弾きながら歌うのがカッコいいし楽しそうだなと思ったのがきっかけです。それが中学1年生の時ですね。

──下中さんは?

下中洋介(以下:下中) 父と母が音楽好きで、車ではザ・ビートルズとかCCRが流れていて音楽には親しみがありました。父がアコースティックギターを弾いていたので家にギターがあって、何の気なしに始めたのが13歳ですね。アコギは弦のテンション(張力)が強くて弾けなかったのですが、父が廉価なエレキを買ってくれて、それからギターを弾き始めました。

──加地さんは?

加地洋太朗(以下:加地) 小学生くらいでJ-POPを聴き始めて、家族や友達の影響でBUMP OF CHICKENにハマったのが、ロックがカッコいいなと思った最初のきっかけだと思います。そこから今につながる趣味で言うと、友達のお兄ちゃんがザ・ストロークスを教えてくれて。その頃は音楽を聴くのも好きでしたし、同時に服にも興味を持ち始めた頃だったんです。で、ストロークスってそういう方面にも通ずるカッコ良さがあってドハマりしました。

──嘉本さんは?

嘉本康平(以下:嘉本) 音楽が好きになったのは兄貴と姉ちゃんの影響です。秋山と加地はBUMP OF CHICKENとかスピッツなんですけど、僕は兄貴がDragon Ashなどのミクスチャーを聴いていたり、エミネムもけっこういいなと思って。ギターを始めたきっかけは、兄貴がターンテーブルを持っていて、“お前はギターを買ったら?”と言われて買いました。それから、中学校の友達とエリック・クラプトンとかラリー・カールトンをセッションしてました。

──当時のギターの練習方法教えてください。

秋山 ザ・ビュー経由でゼロ年代のポストパンクリバイバルなるものを好きになった時、技術以上に大事なものがあると気づいたんです。下手だけどすごくアイディアが良かったり、表現したいものの質感が良かったり。ヘロヘロなギターだけど、表現しているものが楽器が上手な人よりも圧倒的にカッコ良いと思うことがよくあって。ギターじゃないけれど、例えばザ・ホワイト・ストライプスのメグ・ホワイトとか。自分は練習して上手くなっていくことよりも、“どういうものを表現したいのか”に賭けたいなって。当時は上手くなったら何かを失ってしまうんじゃないかっていう強迫観念がありました。下手なら下手であるほど良くて、ギターも安ければ安いほど良くて、その上で上手くて高いギターを使っている奴よりも絶対にカッコいいことをしたいっていう極端に偏ったモチベーションがありました。でも気づいてしまったのですが、メグ・ホワイトは確かにヘロヘロだったんですけど、ジャック・ホワイトはめちゃくちゃ上手かった。スキルによって生まれる説得力もあるなと思って、最近は練習しようと思うようになりました(笑)。でも、まずは何を表現したいのかが大事だと思ってます。

嘉本 僕はセッションですね。

加地 タブ譜に合わせてBUMP OF CHICKENとかを練習していました。ストロークスを教えてくれた友達のお兄ちゃんが楽器をやっている方だったので、ベースの相談をしたら“耳コピができるようになったほうがいいよ”と教えてくれて。それから自分の好きなバンドを耳コピしていましたね。

下中 僕はお兄ちゃんがすごく教則本を買う人で、それを片っ端から弾いていましたね。一日2〜3時間とか。当時は野球部だったんですけど、家に帰って泥だらけのユニフォームのままギターを弾いていました。

Vintera II 50s Jazzmaster(Desert Sand)

Vintera®が新しく楽器を始める子たちの希望になってくれたらいいなと思います

──さて、フェンダーの新シリーズ「Vintera II」を使っての演奏ありがとうございました! 素晴らしかったです。各自が使用した楽器の印象を教えてください。秋山さんはVintera II 50s Jazzmasterですね。

秋山 ルックスで言うとゴールド(ピックガード)は今まで持っていなくて、最初は“自分が持ったらどんな風になるんだろう?”ってあまりイメージができなかったんですけど、思ったよりも落ち着いたトーンで、かなり自分に馴染んでずっと弾いちゃいましたね。基本的にバッキングを弾くことが多いのですが、Vintera II 50s Jazzmasterの最初の印象は温かみがあるけれどキレが良くて、バッキングで使いやすそうだなと思いました。

──どんな場面で使っていきたいですか?

秋山 僕自身もそうですけど、ヴィンテージ楽器は投資の対象にされちゃったりして、若い子が音楽を始めたいと思った時に、どんどん遠い存在になっていると思うんです。値段的にも希少価値的にも。だから新しい楽器で、値段設定にも流通的にも手が届くところに良い音がする楽器があるのはすごく大事なことだと思っています。このVinteraもそういう意味では、新しく楽器を始める子たちの希望になってくれたらいいなと思います。

Vintera II 60s Telecaster(Fiesta Red)

──嘉本さんにはVintera II 60s Telecasterを弾いていただきました。

嘉本 弾いてみた率直な感想は、めちゃくちゃ弾きやすいです。個人的にはあまりギターの種類を持っていなくて、Telecasterは家に一本あるんですけどそんなに弾かないんです。これはすごく弾きやすいし、演奏していてすぐに馴染む感じがありました。あと、見た目がめちゃくちゃ好きです。オレンジがかった赤(Fiesta Red)というか、ヴィンテージライクなところがめちゃくちゃ好きです。

──どんなプレイヤーにおすすめしたいですか?

嘉本 それこそ僕みたいにヴィンテージギターに手が届かないけど使ってみたい人や、そうじゃなくてもすごく弾きやすいギターではあるので、万人というかいろいろな人が弾けるギターだと思います。

Vintera II 70s Jaguar(Black)

──下中さんにはVintera II 70s Jaguarを弾いていただきました。

下中 最初に見た印象は、完璧なデザインだなって。特にネックのブラックのバインディングが意外でした。最高っす。あまりJaguarを触ったことがなくて、慣れるまでは特徴がある音だなと思ったのですが、バンドで合わせているとけっこう手元でトーンが変わる楽器だなと。バンドに馴染ませたい時は手元でトーンを抑えて、前に行きたい時はガッといける。すごく臨機応変なギターで、弾いていて楽しいギターだなと思いました。

──どんなプレイヤーにおすすめですか?

下中 万能だと思います。ルーツっぽい音楽もいけますし、僕らみたいな掻き鳴らすギターでもいけます。やっぱりロックなギターだと思います。衝動的なものを受け止めてくれるし、ピッキングも自分の弾き方にすごく反応してくれる。見た目もカッコいいですし、演奏してて熱くなる人とか、ロックを鳴らすのにいいんじゃないかなと思います。

Vintera II 60s Precision Bass(Olympic White)

──加地さんにはVintera II 60s Precision Bassを弾いていただきました。

加地 しっかりと中音域も出るし、同時にレスポンスがすごく良くて、弾いててすごく楽しかったです。

──どんなプレイヤーにおすすめですか?

加地 正直、人を選ばないベースだと思います。ヴィンテージ志向というのはもちろんですが、良い意味でモダンで扱いやすさもあるんですよね。今回、エフェクターを踏んで演奏する曲もあったのですが、エフェクトの乗りがすごく良くて、なおかつハイファイ過ぎないんです。いい部分の落ち着きがあって、そこを狙って使いたい人にもおすすめできます。全体としてはかなりスタンダードな魅力があるので、初めてプレベを使う人にもおすすめできる楽器だなと思いました。

──今後、どんなシーンで使っていきたいですか?

加地 日頃使っちゃいますね(笑)。家でもライヴでも、いつでもどこでも持っていけるベースだと思います。

──海外からも評価が高いDYGLですが、バンドとして今どんなアクション中ですか?

秋山 最近、事務所から独立して環境も変わり、一番わかりやすい目標としては、海外フェスへの出演が大きいですね。今まで何枚かアルバムを作ってきたけれど、もっと自分たちの納得のいく1枚はできる気がするので、もう一度初心に返ってバンドとして表現したいアルバムをやり切る。それに合わせて、目標とする海外フェスに出ることをこの2〜3年でやっていこうというモードです。制作もぼちぼち始めていますし、海外でのライヴもすでに再開しています。

──楽しみです。最後に、これから楽器を始める人に向けてエールをお願いします。

秋山 僕も練習は全然足りてないですし、ビギナーみたいなものなので一緒に頑張ろうって感じです(笑)。

下中 始めたばかりの頃って、可能性が無限に開かれている状態じゃないですか。何にでもなれると思うので、好きなものを自分に問いかけながら、やりたいことをやってください!

加地 僕も秋山君と近くて、エールを送るというよりは、一緒に頑張ろうタイプなんです。ベースって、ギターと比較するとエフェクトをそんなにかけなかったりして、生の音が如実に出るんです。僕はピック弾きと指弾きの両方をするし、ピックの弾き方も変えたりしますが、その都度発見があるというか奥深いなと思っているんです。考えるのが好きな人だったら絶対に楽しめるし、一緒に頑張りましょう!って思います。

嘉本 楽器は“みんなで楽しもう!”ですね。一人で家で弾くのもいいですけど、誰かと一緒にやると“あいつを驚かせたい”とフレーズを考えたり、逆に影響を受けてめっちゃ上手くなったりするので、秋山君と加地君が言っていたようにみんなで楽しむことが、これから楽器を始める人たちにいいことなんじゃないかなと思います。

Vintera IIシリーズについて詳しくはこちら


DYGL
2012年結成。秋山信樹(Vo,Gt)、下中洋介(Gt)、嘉本康平(Gt)、加地洋太朗(Ba)、からなる4人組バンド。2017年4月、ストロークスのギタリストであるアルバート・ハモンドJr.がプロデュースを手掛けた1st ALBUM『Say Goodbye to Memory Den』をリリース。2018年には活動拠点をイギリス・ロンドンに移す。2019年に2年ぶりとなる全国ツアー〈DYGL JAPAN TOUR〉を開催。2022年12月9日に4作目となるアルバム『Thirst』をリリースした。
https://dayglotheband.com/

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