Signature Model Interview | Rei -後編-

Rei Stratocaster R246の発売に合わせて公開されたビジュアルや楽曲「GUITARHOLIC」をフィーチャーしたムービー。これらのクリエイティヴには、Reiがギターに向ける深い愛情と、“もっとカジュアルに楽器を楽しんでほしい”というメッセージが込められている。後編では、シグネイチャーモデルの特別な魅力や、ギターに特化したサウンドを目指し昨年リリースされた最新EP『XINGS』での使用感、さらには10周年記念ライヴに向けた展望まで、Reiの音楽に対する情熱を語ってもらった。


Rei Stratocaster R246を弾けば弾くほど、もっと新しい奏法を探求したいという気持ちが湧いてくる

──Rei Stratocaster R246の発売に合わせて公開されたキービジュアルや、動画のクリエイティヴについて特にこだわったことは?

Rei 私は根っからの楽器好きで、ギターは私にとって絶対的な存在です。でも、それだけじゃなく、“もっとカジュアルに楽器を手に取ってほしい”という気持ちもある。なので今回、“ギターっておしゃれだな”と思ってもらえるようなビジュアルを目指しました。特に女性がギターを持つ姿を“カッコいい!”と思ってほしかった。それに私自身、ファッションがすごく好きなので、その感覚をキービジュアルや動画にも取り入れました。

──機能的でありながらファッショナブル、その両立を目指す姿勢もフェンダーの歴史と重なりますね。

Rei はい。フェンダーって、もともと電気屋のおっちゃんが始めた楽器メーカーで、音楽とは少し違う視点からものづくりをしてきた歴史があります。例えば、1960年代にアコースティックギターを作り始めた頃から、ネックをボルトで取り付ける仕様を採用していました。それについては、“アコギにボルト?”みたいな反応もあったらしくて。
でも、それにはちゃんと理由があるんです。カリフォルニアのビーチでアコギを車の後部座席に投げたり、砂浜で弾いたりしても壊れないタフな設計を求めていたっていう。そんな、“楽器を生活の一部にする”という発想が、フェンダーのものづくりには今なお根付いています。今回のキービジュアルには、そんな“ギターをもっと身近に”という想いもありました。

──動画で使用されていた楽曲「GUITARHOLIC」には、シグネイチャーモデルへの特別な思いが込められているそうですね。

Rei 実はこの曲、Rei Stratocaster R246のために書き下ろしました。例えば冒頭の歌詞では、私とギターが部屋で2人きりで過ごす、親密でプライベートな時間を描いています。悲しい時やネガティヴな気持ちの時、ギターはそんな私の感情を音楽として昇華させてくれる大切な相棒。そして、サビではそのギターとともにステージへ向かい、お客さんの前で演奏する場面を描いています。ギターが私の人生においてどれだけ特別な存在であるかを反映させた曲になっているんです。

──なるほど。しかもギターソロには、このモデルでしか弾けない高音域も使われていると聞きました。

Rei そうなんです! このギターでしか表現できない音域を活かしたソロを弾いています。私はいつも“ギターの高音ってカッコいいんだぜ?”と思っているのですが(笑)、この曲は24フレットのスペックを活かし、このギターのポテンシャルを存分に引き出しているので、ぜひ一緒にお楽しみいただけたらと思っています。


──実際のライヴやレコーディングではどのように活用されていますか?

Rei 最新EP『XINGS』でもほとんどの曲でこのギターを使いましたし、ライヴでも大活躍しています。実用的すぎて、他のギターが使えなくなるくらい(笑)。たった2フレット多いだけでも演奏の幅をものすごく大きく広げてくれるんですよ。しかも軽量なので、ライヴ中の扱いやすさも抜群です。

──Rei Stratocaster R246に合わせ、ストラップやサムピックもデザインしたそうですね?

Rei ストラップはフェンダーの歴史をリスペクトして、ツイードをベースに仕上げました。通常の黄色と茶色ではなく、ギターとお揃いの青いツイード(名付けて「Blue Tweed」)です。ギターと同じように、デザインだけでなく機能性も重視していて、ピックを挟めるアタッチメントや、シールドを引っ掛けられるフックを付けました。サムピックにもオリジナルロゴを施し、ピックケースのデザインは私をアメコミ風のキャラクターにしてデザインして、“Fine Electric Lady”というキャッチコピーを入れました。これは、フェンダーの昔の広告をいろいろと調べてみたところ、“Fine Electric Instruments”というフレーズが一時期使われていることを知って、そのオマージュです。

──Rei Stratocaster R246を使って、これからどんな音楽を作りたいですか?

Rei このギターを弾けば弾くほど、自分の未熟さが浮き彫りになる。それが逆に楽しくて、もっと新しい奏法を探求したいという気持ちが湧いてきます。アイディアや感情を音楽で表現するには、ギターとの信頼関係が必要です。だからこそ、ギターと私の“心のパイプ”をもっと太くしながら、自分の表現をさらに広げていきたいですね。

──今年でデビュー10周年を迎えます。最後に今後の展望をお聞かせください。

Rei 2015年に長岡亮介さんと作った『BLU』から始まり、これまで私は11作品をリリースしてきました。それでも探求心や向上心は尽きることがありません。音楽はライフラインではないけれど、人生に欠かせない(窓のような)ものです。私の音楽が誰かにとっての避難場所や、心の拠り所になれたら嬉しいですね。そして、このシグネイチャーモデルをきっかけに私を知ってくださった方も、ぜひライヴに遊びに来てください。10周年記念ライヴ〈Rei 10th Anniversary Live 2025 “BLU CROSSROAD”〉では、これまでの歩みを振り返るとともに、次のステージに向けた新たな一歩をお見せしたいと思っています。(※インタビュー公開時は10周年記念ライヴは終演)

【公演情報】
Reiny Friday -Rei & Friends-
日時:7/11(金)Vol.16 8/22(金)Vol.17 9/12(金)Vol.18
会場:東京キネマ倶楽部
チケット情報:https://eplus.jp/rei/

>> 前編はこちら


Rei
卓越したギタープレイと歌唱力を持つ、シンガー・ソングライター/ギタリスト。幼少期をNYで過ごし、4歳よりクラシックギターをはじめ、5歳でブルーズに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作り始める。2015年2月、長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデュースに迎え、1st Mini Album『BLU』をリリース。FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONIC、RISING SUN ROCK FESTIVAL、SXSW Music Festival、Les Eurockéennes、Heineken Jazzaldiaなどの国内外のフェスに多数出演。2017年秋、日本人ミュージシャンでは初となる「TED NYC」でライヴパフォーマンスを行った。2021年2月26日 1st Album『REI』のInternational Editionが、米国レーベルVerve Forecastより全世界配信。2022年4月 コラボレーションアルバム“QUILT” をリリース。細野晴臣、渡辺香津美、山崎まさよし、Cory Wongを始めとする親交のあるミュージシャンと共に作品を彩る。2022年8月にはForbes JAPAN誌が発表した「世界を変える30歳未満30人の日本人」に選出される。2023年、楽器メーカーFenderとパートナーシップ契約を結ぶ。2024年、フェンダー・ストラトキャスター70周年を記念したスペシャル動画「Voodoo Child: Forever Ahead of Its Time」にナイル・ロジャースをはじめとした各国のアーティストと共演。
https://guitarei.com

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