
SESSIONS in TOKYO | Maya Delilah
フェンダーの次世代アーティスト支援プログラム「Fender Next 2024」に選出された北ロンドン出身のシンガーソングライター、Maya Delilah(マヤ・デライラ)が〈FenderNews Public Recording with Maya Delilah at Fender Flagship Tokyo〉に出演。FenderNewsの人気企画「SESSIONS in TOKYO」の公開収録が行われ、StratocasterとHighwayシリーズを使用した弾き語りで「Actress」「Look At The State Of Me Now」「Breakup season」「Maya, Maya, Maya」が披露された。このイベントでのトークの模様をお届けする。
理論も大事だけど、それを手放した時にこそ本当のクリエイティビティが湧く
──東京へようこそ。日本は初めてですか?
Maya Delilah(以下:Maya) 初めてです。ずっと行きたい場所のトップだったのが日本でした。2日連続でラーメンを食べて、昨晩は回転寿司屋さんに行ったんですけど、とても美味しかったです。
──Fender Flagship Tokyoはいかがですか?
Maya びっくりしました。イギリスでもフェンダーのギターは楽器店で売っていますが、これだけたくさん集まっているお店はないんですよ。ここに住みたいんですけど、いいですか?
──ぜひ住んでください。
Maya ありがとう(笑)。


──(笑)。弾き語りをしていただきましたが、初めての日本でのライヴはいかがでしたか?
Maya 私にとって今年初めてのショウだったんですけど、こんなにも素敵な場所で歌えたのが嬉しいです。



──フィンガーピッキングで演奏していますが、どのようなきっかけでこのプレイスタイルになったのでしょうか?
Maya 理由として一番大きいのは、私の頑固さかも(笑)。最初に手にしたギターがアコースティックで、ずっとフィンガーピッキングで練習していたから、それに慣れてしまったというのが一番大きな理由だと思います。6年か8年くらい経ってからエレキギターを始めた時にピックで弾くかどうかちょっと考えたんですけど、“私は自分のスタイルを貫く!”と思って、それ以降はずっと指で弾き続けて今に至っています。
──ピック弾きの練習をしたことは?
Maya バンジョーの練習をしていた時は各指にピックを装着して弾いていましたし、ピック弾きをしたことがないわけではないんです。でも、ピックは手に持つから落とすこともあるじゃないですか? どこかに飛んでいったり、アコースティックギターのサウンドホールの中に入ったり(笑)。いいことがないという印象です。
──先ほどのライヴではStratocasterとHighwayシリーズをプレイしました。生まれて初めて手にしたフェンダーのギターは?
Maya フェンダーではないのですがスクワイヤーのStratocasterです。3/4スケールで通常のものよりも少し小さいサイズ、ボディの色が黒だったのを覚えています。そこからずっとフェンダーのファンですね。先ほどのライヴで使ったBlues Juniorもずっと愛用していて、アンプはこれしか所有したことがないくらい気に入っています。理想的な音が出せるアンプだから、これだけですべてが事足りるんです。
──普段弾いているフェンダーのギターは?
Maya たくさん持っていますけど、一番よく使っているのはフェンダーのさまざまなモデルの特徴を融合させたParallel Universeのエレキギター。私が使っているのはStratocasterとJazzmasterを掛け合わせたJazz Stratで、ピップアップやトレモロアームはJazzmasterみたいな感じ。温かな音色が素晴らしくてSurf Greenのボディカラーもキレイだから、とてもお気に入りのギターです。最近、Telecasterも手に入れたから早く慣れたくて。新しいギターを手に入れると、弦高を低く調整するんです。チョーキングをするためにも弦高が低いほうがやりやすいですから。
──なるほど。フェンダーの次世代アーティスト支援プログラム「Fender Next 2024」に選出されたという連絡を受けた時は、どのようなことを思いましたか?
Maya 本当に驚いたし“夢が叶った!”と思いました。私の夢のリストに入っていたことの一つでしたから、とても光栄なことですね。
──先ほどのライヴでフェンダーのHighwayシリーズをプレイしましたが、印象はいかがですか?
Maya 10点満点で評価するならば10点。フェンダーのアコースティックギターを弾くのは初めてだったんですけど、音も弾き心地も素晴らしかったです。弦高が低いので、その点でも私の好みのアコースティックギターです。何と言っても音が良いし、ダークなボディカラーがキレイですね。
──ボディ材はトップとバックの両方がマホガニーなんです。
Maya なるほど。とても温かいサウンドが奏でられるギターだと思います。
──Highwayシリーズはアンプに接続して音を出すことができますが、生音もキレイですよね。
Maya おっしゃる通りです。エレキギターとアコースティックギターのいいとこ取りがHighwayシリーズなんだと思います。ネックのグリップの感触も心地良くて、ポジションチェンジがスムーズだし、ボディが薄くてコンパクトだから身体にフィットするのも魅力的です。分厚くて重いギターは弾いていると身体への負担が大きいじゃないですか? そういう点でもフェンダーのこのギターはパーフェクトですよ。
──3月28日にデビューアルバム『The Long Way Round』がリリースされます。どのような作品ですか?
Maya 3年かけて作ったアルバムです。ファンク、アメリカーナ、フォークとか、幅広いサウンドを形にすることができました。私の今までの人生のすべてを込めたし、友だち、家族、周りのみんなの人生も投影されています。
──日本盤には、ボーナストラックが収録されるんですよね?
Maya はい。スタジオライヴが2曲(「Look At The State Of Me Now」「Maya, Maya, Maya」)収録されています。

──ファンクもマヤさんの音楽のルーツの一つだと思うのですが、ディアンジェロやプリンスとかからの影響は受けていますか?
Maya ディアンジェロやプリンスはずっと好きで聴き続けてきましたから、間違いなく私に影響を与えてくれた存在だと思います。
──ギタリストで影響を受けた人はいますか?
Maya デレク・トラックス、ジョン・メイヤー、B.B.キング。彼らが一緒に演奏しているライヴの動画を観たんですけど、本当に素晴らしかったです。
──マヤさんに憧れているファンがたくさんいますが、ギターの初心者に何かアドバイスはありますか?
Maya 大好きな曲を一生懸命練習したり、理論を一生懸命勉強したりするのも大事ですけど、それを手放した時にこそ本当のクリエイティビティが湧くんじゃないでしょうか。
──イギリスの有名な芸術学校、ブリット・スクール出身ですよね?
Maya はい。16歳から2年間通ったんですけど、“どういう勉強をするのかは、あなた自身が決めなさい”という指導方針の自由な学校でした。学生の自主性に任せてバンドを組ませるのが先生たちの方針で、定期的にバンドを組まされて、自分たちでライヴのブッキングとチケットの販売もして…という感じで、音楽活動に必要なあらゆることを体験できたのが刺激的でした。音楽の理論的なことももちろん教わったんですけど、それは私の糧になったものの1割にも満たない気がします。
──では最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。
Maya もしかしたら、この会場には私とSNSでメッセージのやり取りをしたことがある人も来てくれているのかもしれないですね。今日は素敵な時間を過ごすことができました。またお会いするのを楽しみにしています!

Maya Delilah
北ロンドン出身。アデル、エイミー・ワインハウスなど多くのアーティストを輩出した名門、ブリット・スクール出身のシンガー・ソングライター/ギタリスト。TikTokやInstagramで計100万人を超えるフォロワーを獲得し、同世代の共感を呼べる等身大の歌詞と、R&Bやソウルなどの音楽をオーガニックなポップへ昇華したサウンド、そしてトム・ミッシュを思わせるギター・スタイルで注目される一方で、2020年には音源のリリースを開始。サム・ヘンショウとのコラボ曲「Breakup Season」をはじめ、「Tangerine Dream」、「Moonflower」など、リリース後早々に数百万再生を記録するなど大きな注目を集める。2022年にはブルーノート/キャピトルと契約し、デビュー・シングル「Pretty Face」をリリースした。また、ブルーノートのカタログを再構築し、英国シーンの新進気鋭のアーティストをフィーチャーしたコンピレーション『ブルーノート・リイマジンド II』に「ハーヴェスト・ムーン」のカヴァーで参加。ショーン・メンデスやメーガン・トレイナー、ジェイムス・ベイなどからも支持を集めるシーン最注目株。フェンダーの次世代アーティスト支援プログラム「Fender Next 2024」や、注目アーティストにフォーカスしたSpotifyのキャンペーン「Artists To Watch 2025」などにも選出されている。
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