
THE ORAL CIGARETTES AlterGeist0000 LIVE HOUSE TOUR 2025
1月27日、Zepp Osaka Baysideを皮切りに、全国ツアー〈AlterGeist0000 LIVE HOUSE TOUR 2025〉を9都市で開催したTHE ORAL CIGARETTES。その直後に行われた〈ARENA TOUR 2025 AlterGeist0000〉は、彼らにとって久しぶりのアリーナ会場でのワンマンライヴとなった。初日の4月12日、横浜アリーナ公演の模様を山中拓也(Vo, Gt)が愛用しているTelecasterに注目しながらレポートする。
THE ORAL CIGARETTESの多彩な作風に相応しいAmerican Ultra II Telecaster
オープニングムービーがスクリーンで流れ、立ち込めた大量のスモーク。山中拓也(Vo, Gt)、鈴木重伸(Gt)、あきらかにあきら(Ba, Cho)、中西雅哉(Dr)が登場すると、センター席、アリーナ席、スタンド席の全エリアから押し寄せた歓声がステージを包んだ。スタートを飾った1曲目は「Bitch!!」。何本もの火柱が上がる中、4人が一丸となって響かせた爆音の熱量がものすごい。続いて「DIKIDANDAN」と「BUG」も披露されると、激しく手拍子をしながらますます興奮を露わにした観客。凄まじい熱気が会場内に漂い始めていた。
「横浜アリーナでワンマンをやるのは久しぶり。2019年のツアーぶりだと思う。来てくれてありがとうございます!」
最初の小休止で観客に明るく呼びかけた山中。彼が長年にわたって愛用しているギターは、やはり何と言ってもこの日のライヴでも大活躍していたTelecasterだ。あきらかにあきらのスラッププレイが起爆剤となり、激しい縦ノリのダンスを巻き起こした「容姿端麗な嘘」。“もっと飛べるか?”という言葉に煽られた人々が夢中になって飛び跳ねた「What you want」。ゲストのKamuiによるラップがビートをひと際躍動させていた「ENEMY feat.Kamui」。トップギアに入った演奏の連発を経て、「SODA」でAmerican Ultra II Telecaster(Avalanche)を手にした山中。観客による大合唱が起こる中、まさしくジャキジャキという擬音が当てはまる Telecasterならではサウンドを響かせていた。芯の太さとシャープさを兼ね備えた音色が、鈴木が随所で奏でるアルペジオと相性が抜群だったことも思い出される。続く「GET BACK」では、アグレッシヴなディストーションも放っていたこのギター。伝統的なサウンド特性を大切しつつも現代のプレイヤーのニーズにも柔軟に対応しているAmerican Ultra IIシリーズは、ラウドロック、デジタルミュージックなども吸収しているTHE ORAL CIGARETTESの多彩な作風に相応しいと実感した。
「見えるこの世界が俺の世界やなと思う。見えている世界のあなたたちを大切にしていきたいし、信頼をお互いに築いていきたいと思っています。いつでも救ってくれたのはあなたたちでしたし、いつでも救ってくれたのは自分の世界にいる仲間。俺の世界、俺たちの世界にいる人に向けて作った楽曲を聴いてください」(山中)
そんな言葉が添えられた「愁」を観客はじっくりと耳を傾けながら受け止めていた。そして、この曲のあとに届けられた「気づけよBaby」は、中西のエネルギッシュなドラミングが先陣を切り、他のメンバーたちのプレイが合流。ダンス衝動を自ずと誘うサウンドがドラマチックに構築された。この曲で山中が奏でたのは、大学時代に“音楽で生きていく”と決意した頃に2年ローンで購入したという黒色のAmerican Deluxe Telecaster。長年にわたって愛用しているこのギターは、もはや身体の一部なのだろう。歌声と一体となって刻まれるシャープなカッティングが、観客が打ち鳴らす手拍子を力強くリードし続けていた。
「アリーナでもライヴハウスと同じ感じでやる。そういうアリーナを作ることを次の目標にします。あともう一つの目標は、俺たちの後輩に夢を見せたい。ひねくれたロックでも、ゴリゴリの感じでもアリーナをやれるっていう背中を見せたいんです」(山中)
今後の活動への意欲を示したMCを経て突入した後半戦は、「狂乱 Hey Kids!!」やSKY-HIをゲストに迎えた「カンタンナコト feat.SKY-HI」など、アグレッシヴなナンバーを連発。「Red Criminal」では山中のAmerican Ultra II Telecasterが、鈴木の7弦ギター、あきらかにあきらの5弦ベースの重低音に埋もれることなく爆音を轟かせた。演奏の中盤で一旦着席した観客は、山中の合図でジャンプ。客席の全エリアで人々が一斉に飛び跳ねる風景は壮観だった。
「ライヴ活動休止期間の3ヶ月の間、すごく報われて助けられました。たくさんのファンが俺らの曲をかけてくれたり、たくさんのバンドが俺らの曲をカバーしてくれた。選んでくれたのが俺が一番つらかった時に書いた曲やったから、すげえ報われた気がしました。仲間とファンのみんなに感謝の気持ちを込めて、この曲を歌わせてください」
そう山中は語り、クリーントーンでコードを奏でながら「5150」を歌い始めた。この曲でも彼はAmerican Ultra II Telecasterをプレイ。バンドサウンドが激しさを帯び始めてからも、ブライトで抜けの良い音色が歌声を豊かに彩っていた。そして曲を締めくくったのは、彼の優しいタッチのコードストローク。穏やかな残響を噛み締めた直後、観客は大きな歓声をステージ上の4人に送っていた。
本編は「See you again」で締めくくられたが、特大級の手拍子に応えて行われたアンコール。恒例となっている中西によるオリジナルグッズの紹介コーナーの後、山中、鈴木、あきらかにあきらもステージに戻ってきた。“楽しかったぜっていう人、スマホのライトを掲げて”と山中が呼びかけると、星空のような無数の光で彩られたセンター席、アリーナ席、スタンド席。
「すごい! これを見たくて! 何事も自分の好きな人とやったらいいよ。好きな時間を共有して心が豊かな人生にしていってください。もしそういう場所がないって思ったらここに遊びにおいで。いっぱい愛で満たしてやるから」
そしてアンコールでは「YELLOW」が披露された。American Deluxe Telecasterを奏でながら歌い、光で満たされた風景を眺めた山中は、満面の笑みを輝かせていた。鈴木、あきらかにあきら、中西も心の底から嬉しそう。観客による大合唱も加わりながら素敵な空間が作り上げられていた。演奏が幕切れる直前の“マジで感動した! ありがとう!”という山中の言葉は、伝えずにはいられない強い実感だったのだと思う。
こうして終演を迎えた〈ARENA TOUR 2025 AlterGeist0000〉の初日。THE ORAL CIGARETTESは、アリーナ会場でもあらゆる曲を活き活きと躍動させていた。このツアーでメンバーたちが感じた手応えは、今後の活動を後押しするエネルギーとなっていくに違いない。










Photo by Ryotaro Kawashima & SHOTARO
【SET LIST】
1. Bitch!!
2. DIKIDANDAN
3. BUG
4. 容姿端麗な嘘
5. What you want
6. ENEMY feat.Kamui
7. SODA
8. GET BACK
9. UNDER and OVER
10. 愁
11. 気づけよBaby
12. Naked
13. Savior Of My Life
14. 狂乱 Hey Kids!!
15. カンタンナコト feat.SKY-HI
16. DUNK feat.Masato (coldrain)
17. Red Criminal
18. See you again
ENCORE
1. YELLOW
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