
FENDER CAFE × COFFEE BOY スペシャルトーク&ライブドローイングイベント
Fender Flagship Tokyo地下1階にあるFENDER CAFEで、2025年11月19日(水)〜12月16日(火)に開催された人気イラストレーター COFFEE BOYとのコラボイベント『FENDER CAFE × COFFEE BOY SPECIAL POP-UP』。期間中はミート&グリート(サイン会)、コラボレーション商品購入者を対象にしたスペシャルトーク&ライヴドローイングイベントも行われた。ここでは12月7日(日)に開催されたイベントの模様をレポートする。
観る・聴く・描く。FENDER CAFEで共有した幸福なひと時
コーヒーをテーマにしたシンプルで温かみのあるドローイングで人気を集め、SNSや企業とのコラボレーションでも注目を浴びるイラストレーター・COFFEE BOY。今回のポップアップでは、フェンダーカフェとのコラボレーションで生まれた書き下ろし原画の展示販売をはじめ、ジークレー、ステッカー、ポストカードなど、ここでしか手に入らない限定アイテムが販売された。コーヒーの芳醇な香りが漂うFENDER CAFEで、ドリンクを楽しんでいた観客の拍手で迎えられたCOFFEE BOY。

「僕もギターが好きなんです。カッコいいですよね。ワクワクします。Fender Flagship Tokyoは好きなものがいっぱいですし、スタッフの皆さんが優しいです。あと、カフェのコーヒーが美味しい!」
そう店舗の印象を明るく語り、イベントを和やかにスタートさせた。イベント前半はスペシャルトークコーナー。
「インスタグラムで絵を発信してアーティストとして活動しようとしたんですけど、絵が上手い人はたくさんいらっしゃるんですよね。そういう中では何かフックがないと埋もれちゃうなと思って、ふとしたタイミングで“あっ、コーヒーが好きだったな。コーヒーをテーマにアーティスト活動してみよう”と。それでコーヒーの絵しか描かないようになって、ずっと続けていったんです」
COFFEE BOYとしての活動を始めた経緯が語られたあと、フェンダーカフェとのコラボレーションで制作された3作品『LITTLE RED RIDING HOOD loves STRAT』『GHOSTS need TELE』『NAPOLEON BLACKが紹介された。ナポレオンが持っているStratocasterはリバースヘッドなのが目を引くが、ジミ・ヘンドリックスからのインスパイアなのだという。
「ジミヘンは左利きなので、右利き用のギターを弾くとこの向きになるんです。その案を出したらフェンダーカフェのスタッフさんに“マニアックですね!”と爆笑されました」というエピソードで観客を沸かせる。

何かの一歩を踏み出す時に力をくれたり、人間としての気持ちを上げてくれたりもするのが音楽であり、絵を描く際にも常に聴いていると語ったCOFFEE BOY。星野源、いきものがかりなど、好きなアーティストがたくさんいる中、特に創作面に影響を与えている存在として、奥田民生、中村一義を挙げる。
「マインドの部分で影響を受けているのかなと。日常の言葉を紡いでいるようで、本質的な部分を刺しにくる感じというか。かわいらしかったり、ポピュラーだったりする入口からメッセージが伝わればいいなというのは、表現の仕方として影響を受けていると思います」という話を経て、イベントは後半へ。
「みんなで作り上げていきましょうね!」とCOFFEE BOYが呼びかけて、『LITTLE RED RIDING HOOD loves STRAT』のライヴドローイングがスタート。描く手元を間近で見学するのは、観客にとってワクワクする体験だったに違いない。絵筆を動かしながら受けたさまざまな質問への回答も興味深い。
Q:絵を描く時は顔から描くんですか?
A:言われてみればそうですね。顔から描いちゃいます。たぶんですけど、感覚としては早く仕上がりに近づきたいので。顔が見えていると少し安心するんですよね。
Q:赤ずきんちゃんが持っているのは、フェンダーカフェのテイクアウト用のカップですか?
A:はい。テイクアウト用のカップです。赤ずきんちゃんだから店内ではないだろうなと思って。意外と考えているんですよ(笑)。自分の中でこだわりがあると楽しいんです。ナポレオンは革命、ロックスピリットを表現したくてジミヘンのギターの持ち方にさせたかったんですよね。オバケのTelecasterは、抜け感のバランスを考えてシンプルにしています。
などなど、質問に回答しながら作業を続けて30分ほどで絵が完成。「このあとさらに詰めますが、こんな感じで」と赤ずきんちゃんの絵を示すと、観客は歓声を上げた。作品はイベント終了後に販売され、複数の希望者の中から抽選で1人が購入権を得た。世界でただ一つの原画は、このイベントの思い出とともに大切な宝物となるに違いない。


司会者から「フェンダーカフェとのコラボ作品を通して伝えたかったメッセージを教えていただけますでしょうか?」と問われたCOFFEE BOY。「ご覧になった方の思うことが正解だと思うんですけど、僕のメッセージはそれぞれの絵にあって。赤ずきんちゃんはかわいらしくて狼を退治するけど、助けに来るのは猟師さん。弱い存在がギターを持つことによって強くなる。“強くなれるよね?”という想いを込めました。ナポレオンは“革命”“すべてをひっくり返す”というロックが持っているそもそもの強さ。オバケに関しては、“驚かせる”“ちょっと怖いものがおどかしに来る”。そういう“概念をひっくり返す”みたいなテーマで三つのモチーフを描きました。ご依頼をいただいて、ギターを描きたいというのもあったんですけど、僕が10代の頃から触れて憧れてきたフェンダーはスピリット、ロックの姿勢を発信している会社でもあると思って、僕なりのロックの解釈を込めました」という回答からは、COFFEE BOYの創作に込める強い情熱が伝わってきた。
今回のコラボレーションは大好評。豊かな時間を過ごさせてくれるという点で、ギター、絵画、コーヒーには互いに相通ずるものがある。異なるジャンルの幸福な融合に、じっくりと触れることができたイベントであった。






