Chilli Beans. × Klang Ruler Dancing Room 002
Chilli Beans.が親交の深いアーティストとツーマンライヴを行う自主企画〈Dancing Room〉。その第二弾となる〈Dancing Room 002〉で、Klang Rulerを招いた6月19日(日)渋谷 WWW X公演の模様をレポートする。Moto(Vo)の新型コロナウイルス感染により残念ながら大阪公演が開催延期となってしまったが、行けなかった方にも東京公演の熱気を本レポートから感じてほしい。
ずば抜けたメロディセンスとネオガレージサウンドで魅了
はじめに登場したのはKlang Ruler。yonkey(Vo)が“Klang Rulerです。今日はよろしくお願いします”と挨拶し、「iCON」でライヴが開幕。小気味良いリズムとトラックが印象的なアンサンブルを、Gyoshi(Gt)が奏でるフェンダーのAmerican Standard Stratocaster®(Olympic White)の柔らかなサウンドが包み込んでいく。また、ギターソロではサスティンを活かしたゆったりとしたチョーキングが響き渡り、観客を引き込む。続いて「レイドバックヒーロー」では、SimiSho(Dr)が刻むタイトなリズム、かとたくみ(Ba)の深みのあるベースサウンド、そしてGyoshiによる温かさと歯切れの良さを併せ持ったギターの音色が合わさり、ダンサブルなサウンドを作り上げた。
「幻想を買え」を披露したのちのMCでは、やすだちひろ(Vo)がChilli Beans.との出会いを振り返る。2組は2021年12月に渋谷WWW Xで行われた企画で初共演し、幾度かの対バンを重ねて仲を深めていったという。やすだは“Klang RulerにとってChilli Beans.は特別好きなバンドですので、こうして自主企画に呼んでもらえて本当に嬉しいです”と喜びを語った。
その後、この日初披露となる新曲「Set Me Free」や、Stratocasterの甘い音色が楽曲をムーディーに仕立てた「ジェネリックラブ」を演奏。そのままノンストップで「タイミング ~Timing~」へ突入すると、ベースとギターのリズミカルな音色がグルーヴを生み、会場の熱気はさらに上昇。そして、やすだが“チリビにいいバトンを渡せるように、皆さん盛り上がっていけますか?”と煽り、フロアはさらにヒートアップする。「I Think About You Now」では躍動感のあるベースとギターの軽やかな音色がファンキーなノリを生み、「Be fin.」「ミレニアムキッズショウ」では歪みの効いたギターサウンドが楽曲にスパイスを加える中、観客は横に揺れたり手を上げたりと、楽曲と一つになってライヴを楽しんだ。
トラックを軸としながらも、ギター、ベース、ドラムによって有機的なアンサンブルを生み出していたKlang Ruler。その中でGyoshiが奏でるAmerican Standard Stratocasterの音色は大きな存在感を放っており、聴き手を楽曲へ没入させる立役者となっていた。
後半のChilli Beans.は、甘く切ないポップチューン「マイボーイ」でスタート。Motoが手にしていたのはフェンダーのAmerican Performer Telecaster®(Vintage White)で、きらびやかかつ柔らかい音色が無垢な歌声と溶け合い楽曲を彩っていた。2曲目は一転してファンキーなロックチューン「It’s ME」を披露し、Maika(Ba,Vo)によるAmerican Professional II Jazz Bass®(Roasted Pine)の突き上げるように響く低音が力強いグルーヴを生み出す。「neck」ではLily(Gt,Vo)が奏でるAmerican Deluxe Ash Stratocaster®(White Blonde)のエモーショナルな音色が、Motoの艶やかな歌声をプッシュ。楽曲によってガラリと表情を変えるMotoの歌の表現力や、Maikaの盤石なベースプレイ、情熱的にギターをかき鳴らすLilyの姿に観客の目は釘付けになる。
「This Way」ではMaikaがスラップで骨太なサウンドを響かせ、Lilyはチョーキングやカッティングなどさまざまなプレイを織り交ぜながら粘りのある音色でノリを牽引。観客は体を揺らすなどして、ダーティなバンドサウンドに身を委ねていた。
ここでMotoが“最後まで一緒に楽しんで行ってください”と挨拶すると、Stratocasterの美しい高音域が切なさを演出する「アンドロン」を演奏。続く「Vacance」「Tremolo」では、激しく歪みながらも音の芯をしっかりと残したStratocasterの音色が会場を満たす。その深く歪んだ幻想的なギターとメロディックで抜けのよいベースサウンドの対比がアンサンブルにメリハリをつけ、観客の高揚感を煽っていく。
Maikaが“皆さん最高ですね! まだまだ踊れますか? 次の曲も一緒に踊ってください!”と呼びかけた「lemonade」では、観客がステップを踏みながらゆったりと揺れ、会場はダンスフロアさながらに。MCで3人はKlang Rulerとの思い出を語り、出演してくれた彼らに感謝の気持ちを述べた。
ライヴが終盤に差し掛かると、アッパーチューンの「シェキララ」や「See C Love」で畳みかけ、彼女たちのパフォーマンスはさらに熱を帯びる。本編のラストは「Digital Persona」。Lilyが奏でる歯切れの良いギターサウンドに、Maikaのハイポジションが心地良く響くベース、高らかに歌い上げるMotoのヴォーカル、さらに観客のハンズクラップが加わって、この日一番の盛り上がりを見せた。
アンコールでは、Klang Rulerをステージに呼び込んでトークやプレゼント企画を実施。その後、7月13日発売の1stフルアルバム『Chilli Beans.』に収録される新曲「L.I.B」を披露する。また、11月から始まる初の全国ツアー〈Chilli Beans. one man live tour「Hi, TOUR」〉の詳細をアナウンスすると、ラストナンバー「School」を演奏。再びTelecasterを手に取ったMotoが柔らかなギターサウンドに乗せて優しく歌い上げ、温かな空気でライヴを締めくくった。
ずば抜けたメロディセンスとネオガレージサウンドで魅了したChilli Beans.。シンプルながらもこだわりを感じるサウンドメイクや、安定感のあるプレイ、そして調和のとれたアンサンブルが心地の良いグルーヴを生み出していた。ネクストブレイクアーティストとして名を連ねるその実力を存分に感じさせたパフォーマンスだった。
【SET LIST】
Klang Ruler
1.iCON
2.レイドバックヒーロー
3.幻想を買え
4.Set Me Free
5.ジェネリックラブ
6.タイミング 〜Timing〜
7.I Think About You Now
8.Be fin.
9.ミレニアムキッズショウ
Chilli Beans.
1.マイボーイ
2.It’s ME
3.neck
4.This Way
5.アンドロン
6.Vacance
7.Tremolo
8.lemonade
9.シェキララ
10.See C Love
11.Digital Persona
ENCORE
1. L.I.B
2. School
Klang Ruler:https://www.klangruler.com/
Chilli Beans.:https://chilli-beans.amebaownd.com/