Code “F” Vol.7 | Billyrrom

ビギナーにとって最初の難関と言えるテクニックが“Fコード”。ミュージシャンやプレイヤー人生においても、難関を超えられずに無限大の可能性を前に挫折してしまう人が多くいる。そんな中、困難を乗り越え、音楽業界の大海原に漕ぎ出した可能性に満ちたミュージシャン/プレイヤーにスポットを当てる「Code “F”」。彼らはどうやって最初の難関を乗り越え、そして今どのような景色を見ているのだろうか。今回はBillyrrom(ビリーロム)からMol(Vo)、Rin(Gt)、Taiseiwatabiki(Ba)が登場。新色モデルが追加されたPlayerシリーズのインプレッションも聞いた。

Fが押さえられたらそこから広がってもっと楽しくもなる。ぜひ体当たりをしてほしいですね(笑)

──楽器を始めたキッカケを教えてください。

Mol もともと父親がパイプオルガンの技師をしていて、家に楽器がたくさんあったんです。中学2〜3年生の時に、家にあったアコギを何となく手に取ったことが始まりでした。音楽は幼い頃から好きで、ギターが上手くなりたいと思うようになって、好きな曲を勉強したりしていました。

──最初はどんな音楽を演奏していたのですか?

Mol 当時流行っていた洋楽のポップスです。簡単なコードで弾けるものを歌いながら弾いていました。

──今は22歳ですよね? 当時はどんな曲が流行っていましたか?

Mol 僕は60〜80年代のビージーズやアース・ウィンド・アンド・ファイアーが好きなのですが、さすがに弾くのはハードルが高いと思って、最初はエド・シーランの「シンキング・アウト・ラウド」とかコード進行が簡単なポップな曲から練習していましたね。

──Taiseiwatabikiさんは?

Taiseiwatabiki 高校の軽音楽部で新歓ライヴがあって、ギターを弾いている先輩を見てカッコいいなと思って。自分がやっていないのは悔しいなと思って軽音楽部に入りました。最初はギターをやろうと思っていたんですけど、ギターとベースの違いもよくわからず、気が付いたらベーシストになってました(笑)。

──当時好きだった音楽やバンドはありましたか?

Taiseiwatabiki いわゆる邦ロックですね。ELLEGARDENとかONE OK ROCKとかMAN WITH A MISSIONを聴いていました。

──Rinさんは?

Rin このバンドをやることになってギターを始めました。Watabiki(Taiseiwatabiki)とは中学校が一緒なんですけど、Watabikiが高校で楽器を始めて、一緒にバンドをやることになって、“じゃあ何をやろうかな?”となった時にギター&ヴォーカルをやろうとしてギターを始めました。母親がコントラバスやピアノをやっていて、若い時って楽器をやりたい時期があるじゃないですか。親族が昔買って使っていないギターがいっぱいあって、それで練習をし始めました。最初はギター&ヴォーカルのつもりだったのですが、ギターがめっちゃ楽しくなって気付いたらリードギターという。

Mol 俺も気付いたらヴォーカルにされてた(笑)。

──みなさん気付いたら(笑)。やはりFコードはつまずきましたか?

Mol まさに挫折しました。一回投げ出したことがあります。エレキギターは歪ませれば何となくそれっぽく弾けるのですが、アコギは素直に音が出るから全然鳴らなくて。それで一回挫折したんです。その時にどうしても弾きたい曲があって、それにはFコードが必要で、意地でも弾いてやると思って練習を重ねて、いつしか弾けるようになっていました。

Rin ギターを始めていろいろと調べていたら、“どうやらFっていうヤバいのがあるらしい”とWatabikiに言われたんですよ(笑)。それで最初から構えていたからめちゃ練習したんです。気合いで何とか乗り越えた時に出会ったのがBコード。そっちのほうが衝撃でしたね。

──Bの衝撃!

Rin マジか!と思って。Bもめっちゃ練習して。結局は気合いです。弾き続けるしかない。

──ベーシストの場合は何が最初の挫折でしたか?

Taiseiwatabiki 右手と左手で同じ弦を弾かないといけないじゃないですか。自分はまずその感覚をつかむところから始まっています。あとは、ワンオクの「Deeper Deeper」っていう曲の代表的なフレーズがまったく弾けなくて。“あ、今日もダメだったな。明日またやろう”みたいな感じでやっていくうちに弾けるようになりました。気合いですね(笑)。

──始めた当時のこだわりの練習法があれば教えてください。

Mol こだわりかぁ…。俺たち体当たりすぎるからな(笑)。僕は最初に言った通りファンクやディスコが好きだから、ひたすらカッティングギターでずっと好きな曲だけを弾いていました。好きな曲を練習するところから、それを自分の持ち味にどう落とし込んでいくかを意識するようになって今のバンドサウンドがあるので。自分の好きなものを極める練習の仕方は、楽しいしすごくいいんじゃないかなと思います。

Taiseiwatabiki Billyrromの楽曲のベースって16分のフレーズが多くて、感覚で弾くと微妙なんです。それをメンバーにも言われて(笑)。“もっと16分を感じろよ”みたいな。周りは簡単に言うんですけど、どうしたらいいんだ?っていろいろと考えて。1年前くらいから、紙に“どこを弾いてどこを弾かない”っていうのを考えて書いています。ここは表拍だから人差指で弾く、ここは裏拍だから中指で弾く。それを遅いテンポから練習して…みたいな感じです。16分のノリをいかに出すかをずっと考えていた気がしますね。それをわかっていても右手が動かなきゃ意味がないので、右手を動かす練習をYouTube動画を見ながらやっていた気がします。

Rin 動画を見ながらブルースを弾く練習をやっていて。YouTubeにB.B.キングとジョン・メイヤーが一緒に弾いている動画があって、勝手に僕も参加していました(笑)。

──いいですね! 大御所と勝手にセッション。

Rin クラプトンもあります(笑)。やっぱり楽しいのが一番で、そういうのをやっていると“あ、こういうフレーズを弾くんだ”みたいな発見もあって。


──さて、今日チョイスしていただいた楽器の印象を教えてください。

Mol 僕はPlayer Telecaster®(3-Color Sunburst)を選びました。実はテレキャス派なんです。ストラトほど尖っていない音というか、程よい丸みのある音の印象です。僕が好きなカッティングはストラトの人が多いんですけど、やっぱりテレキャスの音が好きで。それで言うと、このPlayer Telecasterは良い意味でクセがないというか、これぞTelecaster!っていう音がする。リズムギター、カッティングに向いているし、ビギナーからプロまで全然いけると思います。僕はクリーントーン派ですが、ドライブ(歪み)をかけてもすごく良い音を鳴らしてくれそうです。弾いてみて、すごく良い一本だなと思いました。

──RinさんはPlayer Jazzmaster®︎(Candy Apple Red)を。

Rin 普段はストラトを使っていて、それこそ初めて買ったギターがフェンダーのAmerican Professionalシリーズのストラトなんです。今日もストラトを試奏しましたが、意外とJazzmasterを弾いたことがなくて。で、今日弾いた時にめちゃめちゃいいなと思って。ストラトにはない板鳴り感もあって。あと、自分が持っているAmerican Professionalシリーズとグリップが違うんですよね。Player Jazzmasterのほうが丸みがあって薄いんですよね。どちらがいいかは個人差があると思うけど、自分はこっちのほうが弾きやすいと思いました。もう一つ、トーンノブを引っ張るとハムバッカーとシングルコイルを切り替えられるんですよ。それがすごい! リズムギターを弾くことが多いですが、曲によってはがっつりと歪ませてバーン!といきたい時もあって。そういう時にこの切り替えがあると、ライヴでも絶対に活きるなと思います。

──TaiseiwatabikiさんはPlayer Jazz Bass®(Black)をセレクト。

Taiseiwatabiki パワフルでローがガツンと来るのが最初の印象です。それだけじゃなくて、Jazz Bassの良さというか、発音が良くてシャープネスがしっかりとわかる。この値段でマジか!みたいな感じです(笑)。あとはすごく弾きやすい。指板がフラットになっているので、速いリフがめちゃめちゃ弾きやすいです。スラップもしっかりと出るのですごく良かったです。

──最後に、ビギナーへメッセージをお願いします。

Mol これは共通して言えるんじゃないですかね?

全員 体当たり!

Mol あとは、好きなことはとことんやる。

Taiseiwatabiki 難しいことはたくさんあるけどね、とりあえず楽しく。

Mol Rinも話していたけど、Fが押さえられたらそこから広がってもっと楽しくもなる。ぜひ体当たりをしてほしいですね(笑)。

>> 取材時のオフショットブログはこちら


Billyrrom
2020年結成。東京都町田市出身の6人組。
メンバーは、Mol(Vo)、Rin(Gt)、Taiseiwatabiki(Ba)、Leno(Kb,Syn)、Shunsuke(Dr)、Yuta Hara(DJ/MPC)。2022年から本格的に活動開始後、初のワンマンライブ〈Billyrrom First One-Man Live〉を開催した渋谷WWW、追加公演の渋谷WWWXもソールドアウト。2023年5月17日には5thデジタルシングル「Time is Over」をリリース。前作「Solotrip」に続き「Time is Over」のMVも100万回再生を突破。2022年9月の1stシングルリリースから、わずか9ヶ月の間で注目度と人気が急上昇。〈FUJI ROCK FESTIVAL ’23〉にも出演が決定しており、10月からは東阪での初ワンマンツアー〈noidleap〉を控えている。
https://www.red-hot.ne.jp/sp/billyrrom/

Related posts