Cover Artist | OKAMOTO’S -前編-

10年間、レコーディングの勉強をしてきた 賜物が今回のアルバムとも言えます

OKAMOTOS

結成10周年イヤーに突入したOKAMOTO’S。その幕開けとしてニューアルバム「BOY」がリリースされた。OKAMOTO’Sのオカモトコウキ(Gt)とハマ・オカモト(Ba)を迎えてのカヴァーインタビュー。前編はアルバム「BOY」について聞いた。

今やりたいことをやっただけ。 制作の時間を潤沢に欲しいと希望したのが、 ある意味裏テーマではありました
 

― 結成10年おめでとうございます。10周年イヤーの幕開けとしてニューアルバム「BOY」を1月9日にリリースしましたが、アルバムを作るにあたってテーマを設けたりしましたか?

オカモトコウキ(以下:コウキ) 前作の「NO MORE MUSIC」は今までのロックミュージックから、もっとファンキーなビートや16ビートなノリを感じさせる楽曲を入れることができて、自分たちとしても手応えが大きく、聴いてくれた人たちからもいい反応が多かったんです。今回も、その延長線上で“NO MORE MUSIC 2”のような作品を作ってもいいんじゃないかと思っていました。曲作りの段階では割とそういう曲が多かったんですけど、いざ作っていたデモをバンドで演奏してみたら、案外自分たちもそのスタイルに飽きていて。それよりも、シンプルな4人で演奏して成立するような曲ばかりが選ばれていき、完成していったのが今作です。

ハマ・オカモト(以下:ハマ) 前作から1年半経っているので、世間的なタームで言うと通常運転かなとは思います。ただ、1年に1枚アルバムを出すということは、1年の半分を費やしてツアーを廻るペースで活動をしていると、僕は表立って作曲をする側ではないですが、やる気や意欲を常にトップギアに入れ続けることは難しいというか。新しいアルバムを作るにあたっては、10周年という節目もあったので、プリプロや制作、アレンジする時間などを今までよりも多めに欲しいと制作に入る前から相談していました。そのおかげもあって、だいぶ冷静に制作ができましたね。10周年だから過去を思い出させるような感じだったり、あえて泣ける演出をしようなど、そういった話し合いは一切なかったです。単純に、今やりたいことをやっただけ。制作の時間を潤沢に欲しいと希望したのが、ある意味コンセプトというか裏テーマではありましたね。

― 制作に時間をかけたことで、どんな変化がありましたか?

ハマ 今までは、ほとんどの曲を一回のプリプロで本番のレコーディングに臨めるところまで決め込んでいたんです。でも今回は、“これは一回置いておきましょう”という作業工程を初めて挟むことができたというか。

コウキ そのおかげで、プリプロから1〜2カ月経ってからまたその楽曲と向き合ってレコーディングすることができました。

ハマ 例えば「Dreaming Man」というリード曲は、プリプロでは全然違う曲でした。最初はリード曲になるとは思えないようなめちゃくちゃな展開の曲だったのですが、時間をかけてアレンジすることでどんどん変わっていき、結果的にリード曲になりました。一方で、“10周年”や“時間をかけて”と言いつつも、プリプロで弾いたフレーズのまま進めた曲もあったりします。

― 例えば?

ハマ 「Higher」のベースはプリプロのフレーズのままですね。クリックを鳴らして“はい!”って言われても、あの感じは絶対に出ないので。そういう実験というか、今までもやってきた“これいいんじゃない?”というものは、周年を気負わずに、何ならいつもよりもふんだんに取り入れていますね。

― つまり、今までの作品の中で一番やりたいようにやれたと?

ハマ そうですね。ある意味、好きなようにレコーディングするやり方をこの10年で練習してきたとも言えるので。今の若いミュージシャンは、音大や専門学校、DTMなどの普及で、ヘッドフォンをして楽器を弾いてトラックを作る経験をしたことがあったり、ある意味レコーディングに免疫がついている状況でデビューする人たちも多い。だけど僕らは、街スタでしかリハをしていなくて、街のライヴハウスでしかライヴをしたことのない人間なので、せっかく大きなスタジオで録れることになっても手探りで進めていくしかない。この10年間、レコーディングの勉強をしてきた賜物が今回の作品とも言えます。


OKAMOTO’Sの音を、ひとつの正解として きちんと受け取ってほしいなと思う
 

― その成果だと思うのですが、「BOY」は人間臭い音と今の音をわかりながら遊んでいる印象があって、その両方を楽しめてすごく良かったです。

ハマ そう言ってもらえるのはとても嬉しいです。

― 曲調やアレンジも幅広くて、「偶然」という曲はめちゃくちゃフリーソウルな曲ですよね。

ハマ はい。やはりこういう曲がアルバムに入ることでアクセントになりますよね。しかも、「偶然」の前にショウ(Vo)の作った「ART(FCO2811)」という、かなりクセのある曲が来て良い対比になっています。コンセプトだったり統一感を気にしだすと、絶対に「偶然」のような楽曲はアルバムには入らないんです。でも、前作からそういうことを考えるのはやめました。以前は、バンドっぽくはないけど音楽的にすごく良い曲は、何とかして他のアーティストなどに提供できないかと頑張っていた時期もあって。でも、やっぱり良い曲は自分たちのアルバムに入れたいし、コウキも歌うようになり、バンドとしての見せ方の幅が広がったので「偶然」も僕ら的には違和感なく収録することができました。

― アルバムのラスト「Dancing Boy」はジャンルを超越したとても壮大な曲です。

ハマ 「Dancing Boy」は、ツアーファイナル(日本武道館ワンマン)が決まる前にできた曲で。武道館が取れなくても大きな会場でのファイナルをやろうという話はしていて、“アンセム的”と言うと安っぽいですが、大きな会場でたくさんのお客さんの前で歌い上げるような楽曲が1曲はあったほうがいいよねと話していました。そんな中で、ショウが弾き語りでいくつか送ってきた中で一番感触が良かったのがこの曲で、メロディはほぼ原形のままです。聴いた瞬間に“これじゃん!”と思いました。基本的にこのアルバムは4人だけのセルフプロデュースなのですが、「Dancing Boy」だけはLOVE PSYCHEDELICOのNAOKIさんにプロデュースをお願いしました。1曲目から9曲目は僕ら主導で進めて、お昼にスタジオに入って夕方には終わって帰るというレコーディングスケジュールでしたが、「Dancing Boy」の1曲だけで1カ月はかかりました(笑)。

コウキ 「Dancing Boy」はフレーズによってギターのチューニングを変えているんです。“開放弦を使った方が響きがいいから、ここだけギターを替えよう”など色々と試行錯誤した記憶があります。NAOKIさんと一緒に「Dancing Boy」を作ったことは、本当に貴重な体験で勉強になりました。

― そうやってレコーディングに費やした手間や工夫がアルバムの節々からきちんと伝わってくるのが、OKAMOTO’Sの魅力でもありますよね。

ハマ ありがとうございます。自分たちの意識としてずっとOKAMOTO’Sの音楽を聴いてくれている人のことだけではなく、これからバンドを始める人のことも考えるようになってきました。次世代の人たちにもきちんと影響を与えたいというか。OKAMOTO’Sの音を、ひとつの正解としてしっかりと受け取ってほしいなと思います。“OKAMOTO’Sはやっぱり音が好きじゃない”と思ってもらっても構いませんが、きちんと他と比べる対象になってほしいですし、そういう作品ができたらいいなと思っています。

› 後編に続く


【OKAMOTOSの所有ギター】

OKAMOTOS

HAMA OKAMOTO PRECISION BASS® #4
「ありそうでなかった弾き易いプレシジョン・ベース」をテーマに、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)が提案するシグネイチャー・モデル、HAMA OKAKMOTO PRECISION BASS® #4(ナンバーフォー)。ジャズベースのスリムなネック・シェイプを採用し、スムーズな演奏性とプレベ特有のサウンドを備えたユニークなモデル。ハマ・オカモト印ともいえるパドルペグ、ブリッジカバーを採用し、ボディ材には、発色の明るいバスウッドを使用。
› HAMA OKAMOTO PRECISION BASS®製品ページ

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MICHAEL LANDAU SIGNATURE 1968 RELIC STRATOCASTER®
1980年代以降、ジョニ・ミッチェルやマイケル・ジャクソンをはじめ、多くのアルバムでプレイしてきたトップセッションギタリスト、マイケル・ランドウのシグネイチャー モデル。本モデルはラージヘッドが印象的な1968年仕様。そのルックスはもちろん、Custom Shop Fat ’50s特有のコシのあるサウンドで、国内でも愛用しているミュージシャンは多い。

PROFILE


OKAMOTO’S
中学校からの同級生で結成された4人組ロックバンドOKAMOTO’S。 メンバーは、オカモトショウ(Vox)、オカモトコウキ(Gt)、ハマ・オカモト(Ba)、オカモトレイジ(Dr)。全員が岡本太郎好きで、ラモーンズのように全員苗字はオカモト姓を名乗る。

2010年、日本人男子としては最年少の若さでアメリカ・テキサス州で開催された音楽フェス「SxSW2010」に出演。アメリカ七都市を廻るツアーや豪州ツアー、香港、台湾、ベトナムを廻ったアジアツアーなど、海外でのライヴを積極的に行っている。

これまでシングル8作品、アルバム7作品を発表。2015年9月にはメンバー渾身のロックオペラアルバム「OPERA」を発売。2016年6月3日からは「OKAMOTO’S FORTY SEVEN LIVE TOUR 2016」と題した、キャリア初の47都道府県ツアーを敢行し、ツアーファイナルは日比谷野外大音楽堂にて開催された。

2017年8月2日には約1年半ぶりとなるオリジナルフルアルバム「NO MORE MUSIC」をリリース。また、同年10月には中野サンプラザにてキャリア初のホールワンマンを開催し、チケットは瞬く間に即完。その後アルバムを引っ提げ全国23カ所を廻るツアー「OKAMOTO’S TOUR 2017-2018 NO MORE MUSIC」を敢行。2019年1月9日にはニューアルバム「BOY」をリリース。4月より全国ツアー「OKAMOTO’S 10th ANNIVERSARY LIVE TOUR 2019 “BOY”」を開催し、6月27日(木)日本武道館ワンマンでファイナルを迎える。
› Website:http://www.okamotos.net

New Album
BOY
【初回生産限定盤】¥4,104(tax in)
【通常盤】¥3,564(tax in)
【完全生産限定アナログ盤】¥4,860(tax in)
Ariola Japan
2019/01/09 Release

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