TENDRE

Cover Artist | TENDER -前編-

PJ Bassで自然と音の探究心を培ったのかもしれない

ベーシスト/歌手/音楽家/プロデューサーであり、鍵盤やサックスなども自在に操るマルチプレイヤーとして独特の存在感を放つTENDRE(テンダー)が、FenderNewsのCOVER ARTISTに登場。インタビュー前編では、音楽・楽器との出会いからフェンダーの魅力、そして彼が愛用しているフェンダーのAmerican Acoustasonicシリーズについての話を中心に聞いた。

グルーヴって渦の作り方なのかなと思っている

― 『SPACE SHOWER MUSIC AWARDS 2021』でBEST GROOVE ARTISTも受賞もなさったし、TENDREさんの音楽性には“グルーヴ”というキーワードが外せないと思うのですが、TENDREさんの中で“グルーヴ”はどうやって培われていったのですか?

TENDRE  本人的には、あまりグルーヴという言葉を常に意識した人生を送っているわけではないんです。単純に両親が音楽をやっていたことが一番影響があったと思います。わかりやすく言えば、母が聴いていた音楽の影響ですね。母が聴いていたのはソウル、80年代のR&Bとかが多くて、その年代のライヴ映像を昔にビデオで観ていたのもあり、意図せず影響を受けていたんだと思います。中でもスティーヴィー・ワンダーの影響が一番大きいですね。

― なるほど。

TENDRE  グルーヴって、渦の作り方なのかなと僕は思っていて。要はフレージングだったりメロディを弾くにしても、それを大きく捉える捉え方だったり、意識の問題だと思うんです。それは両親がたまたま教えてくれた音楽で、感覚としてつかんだものだったのかもしれない。あとは、周りの人間と音楽を一緒に作ったりする中で芽生えていくものだと思うんです。いろいろな人と曲を作ったりセッションしたりして、人から吸い取ったものだったり学んだものが自然と自分の形になっていた感覚です。

― ちなみに、いつから楽器を始めたのですか?

TENDRE  5歳の時にピアノを始めたのが最初です。好きな曲を両親の知り合いのピアニストの方に、簡単に譜面に起こしてもらって、それを教えてもらうくらいでした。自分から楽器を選び始めたのは、小学校3年生の時に母に初めてアコギを買ってもらった時からです。中学から吹奏楽部で管楽器を始めたのですが、小学校3年生の時のアコギが、何となく自意識として楽器を始めたきっかけになったのかなと思います。

― TENDREさんはマルチプレイヤーですが、ベーシストとして注目されるケースも多いです。ベースを始めたきっかけは?

TENDRE  高校生の時に初めてバンドを組んだんです。それは吹奏楽部と並行して。バンドを始めたきっかけは、高校に入ってすぐ仲良くなった友人が“バンドをやろうぜ”と誘ってくれたから。その友人はドラムをやるということだったのですが、僕は父がベーシストで、そこまでベースを触る機会もなかったのですが何か弾けるだろうと思ってベースにしたんです。

― そのバンドではどんな曲をコピーしていましたか?

TENDRE  ASIAN KUNG-FU GENERATIONなどです。

― ちょっと意外ですね。

TENDRE  そうなんですよ。それまで、ジャパニーズロックバンドというものを何も知らなかったので。Mr. Childrenさえも知らなかったんですよ。そこで“こういう音楽がみんな好きなのか”と思ったし、単純にバンド自体がカッコいいと思いました。それこそ、そこでベースを歪ませるということを初めて知ったし。自分が聴いていたものって、モータウンもそうですけど、エフェクティヴなものよりは、例えばプレベの乾いた音のイメージだったので。“あ、そうか。エフェクターってものがこういう風に使われて…”みたいな発見があって。そこで、音色作りも含めて、ベースしかり楽器の可能性を感じましたね。

フェンダーは音色を探すのが楽しい楽器

― フェンダーを触るようになったのはいつですか?

TENDRE  うちの父が生徒さんにベースを教えているんです。その生徒さんが置いていった、もう使われていないベースがうちの実家にあって。それがたまたまフェンダーの90年代ぐらいの真っ白の、誰かのシグネイチャーモデルのPJ Bassで。父が“生徒さんはもう使わないし弾いていいんじゃない?”って。さすがに、自分のベースは使わせまいと思っていたのかもしれないなぁ(笑)。そこでたまたま触らせてもらったのが最初のフェンダーですね。プレベってどちらかに振り切るわけではなく、絶妙な音色を探すのに適していて、自然と音の探究心を培ったのかもしれないです。音色を探すのが楽しい楽器、という印象から入ったのがフェンダーです。 

― 最近もAmerican UltraシリーズのPrecision Bassを使っていただいていますね。

TENDRE  はい。なので原点回帰みたいなところもあります。そのAmerican Ultraを2020年のアルバム『LIFE LESS LONELY』では多用しました。時期ごとのモードがあって、去年はAmerican Ultraで多くの曲を成り立たせたゆえに、今年に入ってギラッとしたJazz Bassの音がほしいなと思っています。音楽性って輪廻転生じゃないですけど、いろいろなところに回り回っていくものだと思うので。American Ultraは使い勝手が良かったというか、自分がもともと使っていたタイプからすごくグレードがアップしていて、一個一個のパーツのクオリティが上がってすごく使いやすくなって、自分の今の肌に合っているなと思って使っていました。

― ギターも普段から弾いていますか?

TENDRE  今年はギターを弾く機会が多いですね。それこそフェンダーの企画の映像で、American Acoustasonic Stratocasterを弾かせてもらいました。去年は特に海外のシーンを見ても、割とギターサウンドが多くて、“人間味があっていいな、ギター”みたいなことを最近はすごく思っていて。最近はわりとギターの音の探求をしています。

― 映像で参加していただいたAmerican Acoustasonic Stratocasterはどうでしたか?

TENDRE  馴染みがすごく良かったです。追求している音探しで言えば、柔らかい音色が出ますね。例えば落ち着いたサウンドを作りたい時、アコギトーンにしてクリーンの艶やかさをすごく綺麗に録れました。その一方でルームの音も試したのですが、音色の探究が面白かったです。普通のアコギよりも鳴りは少ないので、実際に部屋録りでマイクで録ると独特だったり。今までにない薄さだと思うので、それが意外と面白くて、探求にはこと欠かさないですね。

― 今回は、American Acoustasonic Jazzmasterを試奏していただきました。

TENDRE  もともとAmerican Acoustasonic Stratocasterを弾いていたので、それとの比較になるのですが、ボディがちゃんとJazzmasterならではの重みがあって、それが音にもよく現れていますね。Acoustasonicってある種、抽象的で、そこにすごく惹かれるんです。PJ Bassもそうですけど、音を無限大に探究できる。ちょっとしたブレンドの塩梅で、その人のキャラクターみたいなものが出てくるだろうし。その中で、今回のJazzmasterモデルに関しては、ひとつ歪みの要素が強くなった印象がありますが、音楽性の幅がより広がるギターになった印象もあります。それこそ、ギターの音を探究している最中の自分にとっては、すごく願ったり叶ったりのギターですね。これ1本で何でもこなせるくらいの素質がある。そういう意味では、ギターを始める人が触っていろいろな音を探すこともできるし、どこのステージに持って行ってもちゃんと格好がつくだろうし。Acoustasonicが始まってどんどん可能性を見出していき、このAmerican Acoustasonic Jazzmasterでシリーズ3本目ですが、本当にフェンダーらしい。だけど、時代の音楽作りにもフォーカスが当たったような、いいクリエーションだなと弾いていて思いました。

― 実戦でも使えそうですか?

TENDRE  はい、ごりっごりに歪ませて(笑)。フェンダーの映像を観ていたら、Acoustasonicでソロバトルみたいなものをやっていたんです。無理をしている感じがまったくなく、通常のエレキギターでバトルしているように捉えたので、本当にいろいろなシーンで使われていくだろうし使っていきたいと思います。

後編はこちら

American Acoustasonic™ Jazzmaster® はフェンダーアコースティックギターの進化を加速させ、音楽をさらなる高みへと導きます。フェンダーとフィッシュマン®により共同開発されたアコースティックエンジンは、きっと素晴らしいインスピレーションを与えてくれるはずです。アコースティックのフォーキーなサウンドからエレクトリックギターのリズムトーンまでをこなすこのギターは、無限の可能性を秘め、新しい扉を開く革新的なモデルです。


TENDRE
88年生まれ。2017年より、河原太朗のソロプロジェクト“TENDRE”(テンダー)を始動。同年12月6日にソロでの初EP「Red Focus」をリリース。2018年にはシングル、10月24日に初のアルバムとなる『NOT IN ALMIGHTY』を発表。『ampel』のベース&ヴォーカル、作詞作曲を担当する。2019年8月に最新EP「IN SIGHT」を発売。Charaや堀込泰行、三浦透子といったアーティストへの楽曲提供・プロデュース、SIRUPやオランダのシンガーソングライター、ベニー・シングスとのコラボレーションなどを行う他、J-WAVE “TOKYO MORNING RADIO”では別所哲也氏の代打としてナビゲーターを務めるなど、その活動は多岐に渡る。
› Website:http://tendre-jpn.com

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