ジミ・ヘンドリックスの衝撃
※本記事は2018年当時の再掲載記事となります。発売等の情報は当時の情報となります。
ジミ・ヘンドリックス。彼は今もなお伝説のギタリストであり、彼がいなければ今のエレクトリックギター音楽シーンは存在しえなかったほど、衝撃的なサウンドを音楽史に残したと言える。そんな彼の未発表スタジオ音源からなる新作『ボース・サイズ・オブ・ザ・スカイ』が発売となったことで、ジミ・ヘンドリックスは今再び注目を集めている。
彼はその伝説的キャリアの中で、常にある一本のギターに信頼を寄せていた。それはフェンダー製のストラトキャスターだった。
それまでカントリーやポップス、サーフミュージックのプレイヤーたちが使用していたそのギターで、彼は音楽に全く新しい旋風を巻き起こし、歴史を塗り替えたのだ。
ジミにとって、ストラトキャスターは新しい音楽を生むための機械として、フィードバックでノイズにまみれた派手なショーパフォーマンスための装置として、ステージで燃やすための道具として、また、彼の研ぎ澄まされた音景を描く絵筆として、ホワイトホットエレクトリックブルース、21世紀ファンク、そしてプロトメタルを生み出すことに大きく貢献した。
「ジミがモントレーのステージに立った時、彼はまだ無名でオーディエンスもあまり乗り気ではなかったんだ。でも彼がステージを終えた時にはもうロックの歴史が変えられていたよ。フェンダーとヘンドリクスファミリーにとって非常に重要なライブだったね。」 ジミ・ヘンドリックスのシグネイチャーをはじめ、数々のアーティストシグネイチャーモデルを作り出してきたフェンダーカスタムショップ製品の最高責任者であるマイク・ルイスは当時を振り返る。
当時まだ無名だったジミにとって、初めてのメジャーなステージデビューとなった歴史的イベント1967年の MONTEREY POP FESTIVAL。
ザ・フーやグレイトフルデッドのような大スターたちと同じステージで、無名なジミが演奏することを懐疑的に感じていたオーディエンスの前で、彼は堂々と演奏してみせた。そしてその素晴らしいミュージシャンシップとショウマンシップで、瞬く間にオーディエンスを魅了した。さらに、最後にはグランドフィナーレとして彼のストラトキャスターを燃やし、一夜にして彼は伝説のギタリストになったのである。
昨年発売されたJIMI HENDRIX MONTEREY STRATOCASTER®は、セットリスト最後の曲だった「WILD THING」でジミが火をつけたストラトキャスターをもとに再現している。ボディには実機と同様のサイケデリックペイントがハンドメイドで描かれており、発売後は品切れが続出する人気モデルとなった。
1988年、エリック・クラプトンモデルから始まったフェンダーによるアーティストモデルは、今年で30周年を迎えるが、その中でもジミ・ヘンドリックスモデルは今でも根強い人気を誇っていることは言うまでもない。
そして、この記念すべき30周年にあたるThe NAMM Show 2018において、カスタムショップから新しいジミ・ヘンドリックスモデルを発表した。その名も「JIMI HENDRIX VOODOO CHILD」。
ボディにはリアルな打痕や擦り切れたネック指板など、オーナーチェンジを繰り返しながらも丁寧に使い込まれた風合いのJourney Man Relic加工が施されているバージョンと、以前につくられた楽器が時代を経ても新品状態のままで現存した状態を想定したNOS(New Old Stock)バージョンとがラインナップされる。また、左利き用にハンドワイヤードされたピックアップのポールピースも実機同様、上下逆に配置され、ジミ独特のハイを強調したハーモニクスが得られる。ブリッジピックアップについても逆の角度にスラントしており、ジミが愛用していたストラトキャスターと同様のフィールを手に入れることができる。本モデルは2018年の夏に発売を予定しており、ファンにとっては待望の新モデルとなるだろう。
ジミ・ヘンドリックスの未発表スタジオ音源『ボース・サイズ・オブ・ザ・スカイ』でお気に入りの曲を見つけたら、フェンダーのストラトキャスターで彼の熱いサウンドを奏でてみてほしい。