Little Wings -Featuring Made in Japan Junior Collection- Vol.1 | Gyoshi(Klang Ruler)&やすだちひろ(POLY / Klang Ruler)
できない理由よりも、できる理由を見つけることが大事
小さな羽で、音楽シーンを大きく羽ばたいていくアーティストたちにフォーカスを当てたコンテンツ「Little Wings」。記念すべき第1回目は、新世代アーティストとして、2022年より一層注目を集める5人組バンド“Klang Ruler”から、ファッションデザイナー/ソロアーティストとしても活躍するやすだちひろ(POLY / Vo)とYouTubeフォロワー10万人超えのGyoshi(Gt)が登場。フェンダーが提案する新たなショートスケール、Made in Japan Junior Collectionシリーズのインプレッションも交えながら、彼女たちのプレイヤーとしての遍歴やマインドに迫る。
辿り着いたのがフェンダーのMustang Bassでした
― まずは、それぞれの楽器を始めたきっかけから教えてください。
やすだちひろ(以下:やすだ) 東京に出てきて、初めて生でライヴを観たのが21〜22歳なんです。23歳くらいの時に先輩にフェスにたくさん連れて行ってもらうようになって、音楽が持っている人の心を動かす力や、一度にたくさんの人を楽しませることができる空間にすごく魅力を感じて、音楽をやりたいなと思い始めました。当時は歌うことを考えられなかったので、消去法で楽器をやりたいなって。どの音がベースかギターなのかもよくわからない中、大きくて低い音が出るベースがカッコいいなって(笑)。ギターは6弦あるけれど、ベースは4本しかないし、自分でも弾けるんじゃないかと思って手を出したのがきっかけです。
Gyoshi 高校生の時に『けいおん!』というアニメが流行って、たまたまテレビで音楽が流れてきた時に“え!?”と思って。それまでは私も、ベースとギターの違いもわからなかったんです。『けいおん!』のあずにゃんっていう子がすごくギターが上手くて、これはやるしかない!と思いましたね。アニメを観た次の日にギターを買って(笑)、買ったのはいいんですけど、コードも何も押さえられなくて1年間挫折しました。
― わかります。
Gyoshi その後、高校2年生の時に先輩に“ライヴするから来て”と言われて、地元の高校生イベントを観に行ったら、すごく盛り上がっていて再び“ヤバ!”と思って。ライヴに出たいと思って、学校で楽器をやっている人を集めてコピーバンドを組みました。フレーズとかコードとか壁がいっぱいあって、まだ何も弾けないうちにライヴハウスのブッキングの人に“ライヴに出ます!”って言っちゃって(笑)。でも、言ったからにはちゃんと練習しないといけないわけで…。
― 追い込むタイプですね(笑)。“これぞ私のマル秘練習法!”みたいなものを知りたいです。
Gyoshi 難しいフレーズや曲はテンポをすごく遅くして、その速さで弾けるようになったら徐々にテンポを速くしていきました。メトロノーム的にクリック音を出してBPM(テンポ)の調整ができるアプリがあるので、それを使っていました。それと、カッコいいギタリストがいたら、その人になりきって弾いたほうが上手く弾けるんです。
― 誰になりきったのですか?
Gyoshi カッティングはコーリー・ウォンさん(ヴォルフペック)とかですね。自分は恐る恐る弾くタイプなので、ピッキングに感情が出てしまってアタックが弱くなるんです。だから、“今弾いているのは自分じゃない!”と思ったほうが思い切って弾けるんです。
― やすださんのマル秘練習法は?
やすだ 幼少期にピアノを弾いていたので、音階はわかるのですが、弦楽器に置き換えた時に何もわからなくて。知識をつけなきゃと思いつつ、それよりも先に曲を弾けるようになりたいと思って、指板の1フレットの上に“1”というシールを貼って、15〜16フレットまで貼りました(笑)。コードがわからなくても、数字でフレーズをひたすら覚えたんです。その前にコードを覚えろって話なんですけど(笑)。
Gyoshi 私も同じ感じでした。タブ譜は運指のポジションを数字で記しているので、丸暗記していましたね(笑)。
やすだ 丸暗記した部分しか弾けなかったけど、弾けることが楽しいし、気持ちの面ですごくプラスになるので弾くことがより好きになるんです。
― シール作戦、いいですね!
やすだ はい。あとベースはギターと違ってほとんどの場合が1音で鳴っているので、本当に耳コピがしやすいですよね。音を口で発音しながら、同じ音が鳴るポジションを探して、一音一音拾う作業をめちゃくちゃしていました。
― なるほど! ビギナーの人は他に何につまずくのでしょう?
やすだ それこそベースはフレットの間隔が広いから、最初は本当に弾けませんでした。特に最初に手にしたベースはネックが太くて、ネックが太いのは初心者にとって難しいんだと徐々にわかり、辿り着いたのがネックが細くてショートスケールのフェンダーのMustang Bassでした。そういう弾きやすい楽器を挟むことで、ネックが太かったりロングスケールのベースでもスッと移行できたんです。最初に買う楽器はフィーリングだと思うんですけど、まずは弾きやすい楽器を使ってみるのはすごくいい手だと思います。
― ギターの場合はどうですか?
Gyoshi すぐに指先が痛くなるなって。でも、それを乗り越えると指先の皮が硬くなるじゃないですか? 初めて指先が硬くなった時は感動しました(笑)。そこに行くまでがけっこうキツイですよね。先輩の指先を見て、“よし! そこまでならないと!”と思って練習しました。
ジュニア向けとは思えない、プロの現場でも使える音色
― 今回弾いていただいたMade in Japan Junior Collectionのインプレッションについてお聞かせください。Jazz Bassはいかがでしたか?
やすだ ショートスケールでネックも細いから弾きやすいですよね。弾きやすさで言ったら、私が今まで触ってきたどのベースよりも圧倒的に弾きやすかったです。テンションも柔らかめだし。だからと言って音が弱いわけではなくて、上のポジションでも下のポジションでも音がちゃんと抜けてくれるのが魅力的だと思いました。ベースソロを入れる時、トラックの中で馴染むベースラインを弾きたいと思うことも多いので、そういう場合に馴染みやすい音作りができるなとすごく感じました。
― 動画ではスラップも弾いていましたね。
やすだ スラップもしやすいんですよね。ネックは細いけれど、ネック幅と弦と弦の距離はロングスケールと変わらないので、指が入りにくいこともありません。むしろ、どんな演奏も弾きやすい感覚ですね。
― ファッションリーダーでもあるやすださんから見たルックスは?
やすだ ローズウッドの指板と、べっ甲柄のピックガードが個人的にめちゃくちゃ好きなので、この状態でカッコいい!というのが第一印象でした。あと、ボディがサテン仕様でサラサラしているのですが、今までツルツルとしたフィニッシュのボディしか使ってこなかったので、手触りがすごく良くて新鮮だと思いました。
― どんなファッションを合わせられそうですか?
やすだ このOlympic Whiteは何にでも合うと思います。ちょっと黄色みがかっているので、古着だったり色褪せたカラーの洋服に合わせたいですね。
― Made in Japan Junior CollectionのStratocasterはいかがでしたか?
Gyoshi 私も、ショートスケール&ナット幅が狭いので弾きやすさが第一印象でした。見た目はそんなに小さくないけれど、持ってみると“あ、すごく弾きやすい”というサイズなんです。しかも軽いので、ラクに持ち運べるのもいいなと思いました。
― 音はどうでした?
Gyoshi 弾き心地は柔らかいのですが、音はすごく芯があります。カッティングもキレが良くて、弾いていて楽しいですね。あと、さっきも話したようにギターを始めたての頃は指先がすぐに痛くなるのですが、Made in Japan Junior Collectionは痛くなりにくいと思います。
― 初心者の方にぴったり?
Gyoshi そうですね。私は普段ストラトを使っているのですが、Made in Japan Junior Collectionはビギナーの方だけではなく、プロの現場でも使えるんじゃないかなと思える音色です。
― ところで、楽器を始めたいのに第一歩を踏み出せない人はどうしたらいいと思いますか?
Gyoshi 理想になりたいと強く思うこと。目標とする人と自分が、どのくらい離れているかをまずは確認して、挫折しそうになりますが(笑)、ちょっとでも近づいた時に“あ、自分でもできるんだ”という自信がつくんです。私も、そういう存在になれたらいいなと思います。
やすだ まずは“買ってみな!”と言いたいです(笑)。手元にないと妄想ばかり。“難しいんだろうな”とか、“指先が痛くなるんだろうな”とか、弾かない選択をもたらす情報も入ってくると思うんです。深く考える前に買っちゃえば、“弾いてみよう”の思考に切り替えるしかないので。私も“高いなぁ”と思っても、けっこう投資しちゃう癖があって。
Gyoshi せっかく買ったし、弾かないともったいない!と思うので。少しでもやりたいと思ったら、すぐに買ったほうがいいです(笑)。
やすだ うん。買っちゃえばいい(笑)! このシリーズはどのくらいの価格帯ですか?
― 11万9千円です。(税別 / JAZZ BASS モデル)
やすだ アルバイトやお仕事を頑張れば買えます!
― 最後に、ビギナーへメッセージをお願いします。
やすだ 一番伝えたいのは、年齢は関係ないということ。私もベースを始めたのが23歳と遅いので、楽器を始める年齢の相談がよく届くんです。答えは、買っちゃえばいい。人それぞれ、やりたいと思うタイミングも出会うタイミングも違って当然だから。どうしよう?と悩む前に、“やりたい”という気持ちに従って動いてみるのがいいと思います。
Gyoshi 友達がいないからバンドが組めない…という人も多いと思うのですが、ギターでもベースでも、一人でできることはたくさんあって。例えば、演奏動画をSNSにアップしたら誰かが見てくれて、それがきっかけでメンバーが集まることもあります。動画などに記録すると、自分の成長が目でも耳でもわかるのでオススメです。できない理由よりも、できる理由を見つけることが大事なのかなと思います。
Gyoshi: Made in Japan Junior Collection Stratocaster® | POLY: Made in Japan Junior Collection Jazz Bass®
Klang Ruler
AAAMYYY、Ace Hashimoto(ex. Odd Future)、足立佳奈など新進気鋭のアーティストをフィーチャリングしたリリース、88risingから全米デビューしたATARASHII GAKKO!(新しい学校のリーダーズ)の1stシングル「NAINAINAI」、山本彩等数々のアーティストプロデュースも手掛ける、Z世代No.1のプロデューサー/トラックメイカーyonkey(Vo)を中心に、POLY(Vo)、Gyoshi(Gt)、かとたくみ(Ba)、SimiSho(Dr)からなる5人組バンド。ライヴをメインに活動を続け、2019年よりYouTubeにて『MIDNIGHT SESSION』をスタート。2020年、1stシングル「iCON」、空音をフィーチャーした「Be Fin(feat. 空音)」など、計4曲のオリジナル曲をリリース。同年12月には、渋谷WWWで自主企画ライヴ〈Magnet+〉を開催。2021年夏、『MIDNIGHT SESSION』でも共演したアーティスト/ファッションデザイナーのPOLYと、サポートギターとしてバンドに参加していたGyoshiが正式加入。11月、Rin音をフィーチャリングに迎えた「ビビビバビビ」でメジャーデビューを果たす。https://asobisystem.com/talent/klang-rular/