Ryunosuke Yamagishi meets Fender Mustang Micro

Ryunosuke Yamagishi meets Mustang™ Micro

12種類のアンプ、12種類のエフェクト、5種類のEQを備え、シンプルながらもハイクオリティなサウンドを可能にするヘッドフォンアンプ“Fender Mustang Micro”。大音量が出せない日本の住宅事情もあり、部屋での練習などに最適なコンパクトなタイプ。Bluetoothでスマートフォンに接続すれば、YouTubeなどの音源を鳴らしながらの練習もでき、さらにUSBでPCに接続すれば録音も可能だ。初心者に限らず多彩なジャンルに対応できるこのモデルについて、山岸竜之介に使用してみたインプレッションを聞いた。


Mustang Microはまさにアンプを通した音が出る。デジタルアンプはすごいところまで来た

―  Mustang Microを使用してみての印象はどうですか?

山岸竜之介(以下:山岸)  まず、アンプの音がいいなというのが第一印象です。夜中に部屋でアンプを鳴らせないのはギタリストとして誰もが悩むことだと思いますけど、Mustang Microだと時間帯を気にしないで済むし、移動先のホテルの部屋でもイヤホンで聴きながら演奏できる。もうひとつ、エレキのチョーキングとかカッティングって、アンプの音を想像して弾くと上達するんですけど、これはまさにアンプを通した音が出ますね。アンプのカラーインジケーターで言うと“ホワイト(’65 Twin+Compressor)”がスタンダードな音で、レコーディングでイヤモニしている感覚に近いです。デジタルアンプはすごいところまで来たなと思いました。

―  Mustang Microにはクリーン/クランチ/ハイゲイン/ダイレクトを含む、全12種類のアンプシミュレーターが装備されています。

山岸  僕が弾く音はクリーン、クランチが多いのですが、いつも悩むのがクリーンなんです。今使っているロジックのDAWソフトのアンプシミュレーターも、他社のアンプシミュレーターも、クリーンの音に必要な低音が聴こえてこないんですよ。ボコッ!とした部分が鳴ってほしいのに、その部分がないせいで物足りなく感じてしまって。でも、これは“ホワイト”と“レッド(’65 Deluxe)”にその必要な部分を感じました。生のアンプの感覚に近い。あと、クランチはいろいろなギターの練習がしやすい音だと思うので、ライヴを想像しながら弾けるのがいいですね。
 ハイゲインは実際、僕はあまり使わないんですけど、“オレンジ(BB15 HighGain)”と“ラズベリー(FBE-100)”は良かったです。でも、やっぱり“レッド”が好きですね。弾いた時に返ってくる音がカッコいいと、練習している時にテンションが上がると思うんです。自分がカッコいい音で弾けているというのがモチベーションにつながるので、それがすごくいいなと。あとは“イエロー(’65 Deluxe+Greenbox OD)”。これもテンションが上がります。聴き馴染みのある音が出しやすいのがいい。それと、ダイレクトにつないだ“シアン(Studio Preamp)”の音もいいです。プリアンプに直でつないだ、いわゆるパッキパキの音がする。個人的にシティポップが好きなんですけど、こういうギターとシンセの間みたいな、クラビネットみたいな音も僕は好きで、その再現性はすごいなと思いました。あと、どのアンプもEQをいじらなくても最初からいい音になっています。

―  エフェクトは空間系のものが多いですが、お気に入りのエフェクトはありますか。

山岸  僕は“レッド(’65 Spring Reverb)”です。ちょっとモディファイをいじって“グリーン(Modulated Large Hall Reverb)”にして弾いてみると、もう生のアンプの音ですよね。さっき言ったように、クリーンの時にボワッとした低音が残っていて、これをイヤホンやヘッドホンで聴いた時に気持ち良くて。シンプルな操作性もいいですね。パラメータの数が多いと、初めてこういう機器を手に取る人やDTMをやったことのない人は、もっと良くなると思っていじり過ぎて、だいたい最後は音がしょぼくなったり、輪郭がわからなくなったりするんです。そこは気を付けないと。あとは、コーラスも気に入りました。“ブルー(Sine Chorus/Large Room Reverb)”ですね。イヤホンをしてステレオでアルペジオを弾くと、80年代のあの音になります。クリスタルクリーンというか、透き通った音。パキッとしたカッティングの練習にいいんじゃないかな。僕は“レッド”と“ブルー”がけっこう気に入りました。推しですね(笑)。

―  イヤホンだと音像の定位がわかるので、より立体的に聴こえてピッキングのタッチも明確に伝わるから、いい練習になりますね。

山岸  本当にそうです。こういう新しい機材を買う時って、まず一番大事なのはテンションが上がるかどうかなんです。新しいギターを買った時って、そのためにお金を貯めたという努力もあるから、めっちゃ練習すると思うんですよ。それってテンションが上がっている状態で、それがすごく大事だと思う。テンションが上がると、弾きたくなるジャンルが増えて、歪みを弾いたことなかったけれど、この機材で弾いてみたらメタルやハードロックも弾いてみたくなったり。それに、エフェクターって1台1~2万円ぐらいするので、いきなり10個も20個もなかなか買えないじゃないですか。そういう時に、こういうわかりやすくて1台で網羅できる機材があると、オールマイティにいろいろなジャンルを演奏したくなるんじゃないかな。

―  きっかけづくりになればいいですね。しかもEQは5段階だけというシンプルな構成です。

山岸  その潔さもいいですね。“ホワイト”がフラットで、あとは足すか引くか。まずはアンプのタイプを選んでから、もうちょっとトレブルがあったほうがいいのなら“イエロー(明るい)”にしてみるとか、もうちょっとダークにしてみたければ“ブルー(暗い)”にしてみるとか。でも、イヤホンの中で音作りを頑張るより、ギターの練習を頑張れって思いますね(笑)。僕が知っているギタリストで本当にいい音を出している人って、意外とシンプルな考え方をしているんです。ギター、アンプ、エフェクトをいろいろいじることよりも、素早く自分のプレイに集中できる環境を用意することにすごく準備をしている。その準備をしていない人は、いろいろといじりたくなるんです。アンプを選んでEQをいじるのは、極めれば極めるほどシンプルなほうがいい。かつ操作性がわかりにくくないというのは、この機材にとって一番魅力的な部分ですね。ギターの練習をする時、いちいち設定をしないといい音にならないんじゃなくて、つないだらすぐにいい音が出る、というのがいいです。

―  練習が楽しくないと続かないですから、いい音で気持ち良く弾けることは大事ですね。

山岸  家で弾く時にパッとスイッチをつけるだけで弾ける、ベッドの横に置いて寝る前の15分ぐらいでも弾ける。だけど、イヤホンして弾いていたら時間を忘れるんですよ、要注意なぐらい(笑)。コーラスをかけてアルペジオ弾いていたら、あれ、もう1時間経ってた、みたいなことが絶対にあると思う。いい音過ぎて注意(笑)。それくらい好きになりました。

―  プロとして今後、どういう使い方ができるでしょうか?

山岸  プロ、アマ、初心者、上級者関係なく、弾いてて楽しいと思える道具が増えるのはいいことだと思います。練習だけじゃなく、何か弾いてみたいと思った時にいい音で聴こえる環境があるわけですから。外出先のホテルとか新幹線の中でオケを作り、ホテルの部屋でそのトラックに合わせてギターの練習をすることが可能になる。ライヴの前日入りした時にホテルの部屋で弾くとか、リハと本番の間に弾けたりする。どの世代でも楽しめて、かつノイズのストレスなしでギターを弾けるというのは、今のコロナ禍を超えて外出が増えると重宝すると思います。


MUSTANG™ MICRO 人気のMustang™アンプシリーズの豊富なプリセットトーンをフィーチャーした、場所を選ばないポケットサイズの超小型アンプ。簡単に素晴らしいトーンを得ることができ、おうち時間の合間でも、外出先でも幅広く活躍します。


山岸竜之介
幼稚園年長の頃、『さんまのスーパーからくりTV』にてCharとギターセッションをし一躍注目の存在となる。その後、プロのアーティストと共演を重ね、ギターの殿堂、EXPERIENCE PRS in JAPANへの出演も果たす。KenKen、ムッシュかまやつとともに結成したファンクバンド“LIFE IS GROOVE”では、RISING SUNやSUMMER SONIC、台湾の大型フェスにも多数出演。10代にして、音楽の聖地であるBlue NoteやBillboardでのバンドとして単独ライヴも果たした。これまでにソロアルバム 1 枚、シングル 3 枚を発表。 全ての楽曲の作詞・作曲は山岸自身が行なっている。 また、ギタリストとしても数々のミュージシャンとコラボレーションしている。
› Website:https://ryunosuke-gt.com

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