Rei Release Tour 2024 “VOICE MESSAGE”

シンガー・ソングライター/ギタリストのReiが、最新作『VOICE』を携えて〈Rei Release Tour 2024 “VOICE MESSAGE”〉を開催。ツアーファイナルを2024年3月1日(金)渋谷クラブクアトロにて実施した。フェンダーとパートナーシップを結ぶ彼女の愛機が多数登場した公演の模様をレポートする。

キレのあるラップとつんざくようなDuo Sonic IIの音色、そして圧巻のソロが観客の感情を高ぶらせていく

サポートメンバーのTAIHEI(Kb/Suchmos、賽)、澤村一平(Dr/SANABAGUN.)、真船勝博(Ba/UNDER CURRENT、FLOWER FLOWER等)がメロウなインストナンバーを奏でる中、Reiがステージに登場。ミニアルバム『VOICE』の1曲目である「Love is Beautiful with Ginger Root」でライヴは幕を開ける。Reiが爪弾くフェンダーのDuo Sonic IIの粒立ちが良く、硬質な音色が甘いメロディと絡み合い、観客の体を揺らしていた。続く「Sunflower」では、爽やかなクリーントーンが会場の隅々まで心地の良いノリを届けていく。

Stratocaster Lead II(以下:Lead II)に持ち替えると「COLORS」へ。リズム隊が繰り出すファンキーなグルーヴに乗せてギターを高く掲げながらソロを弾くReiの姿に、フロアが沸き立つ。全帯域のバランスが良く、1本で幅広いプレイに対応するLead II。「COCOA」ではその特徴が顕著で、バッキングでは重厚感のある音色でアンサンブルの土台を支え、時には上モノとしてアンサンブルに彩りを添える。さらにソロでエッジの効いたサウンドを響かせるなど、オールマイティに活躍した。

最初のMCでReiは、チケットがソールドアウトし超満員となったフロアを見つめて“こんなにお客さんが来てくださって、ビックリだよ”と嬉しそうに述べる。そして“(この会場の)一人ひとりに音楽を手渡せるような一夜にできたらなと思います”と宣言した。

ここで、ゲストであるバイオリン奏者の須原杏を呼び込み、「CITY」「Call My Name」を披露。Reiはアコースティックギターを奏でた。サンバーストのTelecaster Thinlineを手にした「Don’t Mind Baby」では、温かくエアリーな音色が歌とバイオリンを立てつつ、抜群の存在感を発揮。「RICH KIDS」ではアコギを弾いていたが、途中でLead IIに持ち替えて情熱的なソロを披露する場面も。さらにシンガロングを行い、会場は一体感に包まれる。

澤村のドラムソロから始まった「QUILT」では、ReiのキレのあるラップとつんざくようなDuo Sonic IIの音色、そして圧巻のソロが観客の感情を高ぶらせていく。高揚感をもたらしながら耳に痛くないギリギリの鋭さを保ったそのギターサウンドは、Duo Sonic IIのポテンシャルとReiのサウンドメイクの妙があってこそ成せるものだろう。「My Runway」でもそのシャープな音色が、ギターリフをファンの耳と心に深く刻みつけた。

Telecaster Thinlineを手にしたReiが「Lonely Dance Club」のダーティなリフを奏でると、フロアから歓声が上がる。ブルースやロカビリーの要素を取り入れた楽曲と、Telecaster Thinlineの歯切れが良くパワフルな音色は相性抜群。そこにReiの艶やかな歌声が乗り、スリリングなパフォーマンスを展開する。演奏が終わると会場は再び歓声と拍手で溢れた。

本編ラストは再び須原を迎えて「朝」を披露。Lead IIの明瞭かつリッチなサウンドを生かして繊細に音を紡ぎ、丁寧に歌い上げていく。終盤に向けてバンドメンバーの演奏はどんどん熱を帯びドラマチックに。その中で、鋭利な音色で奏でる泣きのギターソロが観客の心を揺さぶっていたのは間違いない。

アンコールでは、10月〜11月に全国10都市を廻るツアー〈Rei AUTUMN TOUR 2024〉を開催すると発表。さらに今回のツアーを振り返って“ステージが自分の居場所なんだなっていうのを再確認させてもらった”と語る。一通り感謝の気持ちを伝えたのち、“いい子ちゃんじゃ終われないから”とTelecaster Thinlineを激しくかき鳴らすRei。力強くソロが明瞭に冴えるクランチサウンドで「What Do You Want?」を演奏。会場の熱気を最高潮に持ち上げ、コール&レスポンスでファンの心を一つにし、ライヴを締めくくった。

この日、数々のギターを持ち替えたRei。多彩なプレイを要する時や極限までエッジを効かせてエモーショナルに展開したい時は帯域のバランスが取れたLead IIを、同じくソロやサウンドにスパイスを加えたい場面では粒立ちの良いDuo Sonic IIを、温かくパワフルな音色が求められる際にはTelecaster Thinlineやアコギを…など、ギターの個性を熟知した上で竿をセレクト。ギターソロをはじめ重要なシーンでは、いつもフェンダーのギターを手にしていた。MCでReiは、最新作『VOICE』が歌やソングライティングをフィーチャーした作品であると話していたが、この日の彼女のギター選びはプレイを活かすだけでなく、楽曲の魅力を最大限引き出すためのものだった。そういった観点でも、“ソングライター兼ギタリスト”という地盤を固くしたツアーだったと言えるだろう。

【SET LIST】
1. Love is Beautiful with Ginger Root
2. Sunflower
3. COLORS
4. COCOA
5. CITY
6. Call My Name
7. Don’t Mind Baby
8. RICH KIDS
9. QUILT
10. My Runway
11. New Days
12. RUN, RUN, RUN
13. Lonely Dance Club
14. 朝

ENCORE
1. What Do You Want?


Rei:https://guitarei.com/

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