The Rock Freaks Vol.17 | Yosh(Survive Said The Prophet)

ROCK FREAKS VOL.17

アーティストとフェンダーによるケミストリーを写真で切り取るエキシビジョンシリーズ「THE ROCK FREAKS」。第17回目は、Survive Said The Prophetのヴォーカリスト“Yosh”が登場。


ギターにひと目惚れした瞬間に、その楽器の音を自分のアイデンティティにしたくなる

日本のみならず海外でも活躍するロックバンド、Survive Said The Prophet(以下:サバプロ)のフロントマンYosh。インタビューで向かい合うだけで、フロントマンらしいオーラに引き込まれる。しかも、話し出すとトークも熱い。インタビューが始まると同時に話してくれたのが、楽器店でアルバイトをしていたという意外なエピソード。当時を振り返り、懐かしそうに語り出した。

「アメリカの大学に行ったんですが、日本語と日本のシステムをもう少し勉強したほうがいいなと思い、経験としてバイトをしようと。楽器店にこだわりはなかったのですが、コンビニからファーストフード店からどこも雇ってくれなくて。楽器店を受けたのは7つ目ぐらいで、“どんなバイトが見つかるんだろう?”という旅になっていた時に、ある楽器店さんが立川で新店をオープンさせるということで。楽器店さんのことをわかっていなくて、面接にスーツで行っちゃいました(笑)」と無邪気に笑う。

場違いなスーツで行ってしまった面接だが、好きな音楽を語ったあたりから面接もいい雰囲気になり採用。そして働き始めると、音楽と楽器に愛情をもって接客することで、周りのベテランスタッフも驚くようなギターを販売したこともあった。

「高校生を相手に夢を語って、お年玉をもらった時に僕のところへ来て、あれも欲しいこれも欲しいって。他のスタッフも“そういうやり方もあるんだ!”ってビックリしていました。やっぱり音楽は愛なんだなと実感しましたね」

サバプロではヴォーカルを担当するYoshだが、楽曲のコンポーザーも担当。作曲ではギターをはじめ、鍵盤、ベースも弾く。先述の楽器屋でのバイトだけではなく、プロになる前のアメリカ在住時代にも楽器に関する仕事をしていたため、実は相当な機材に関する知識を持っている。そんなYoshがいま愛用しているのが、この日の取材にも持ってきてくれたフェンダーのMADE IN JAPAN MODERN TELECASTER® HH。

「先日レコーディングしたリテイクベストアルバム『To Redefine / To Be Defined』でも、このギターを弾いています」と、撮影の時だけではなくインタビュー中もギターを抱えて愛用のギターについて語るYosh。ちなみに、このMADE IN JAPAN MODERN TELECASTER® HHとの出会いは、去年にいろいろなギターを試している時期だったそうだ。これまでStratocasterを買ったことはあったが、ソリッドな音と向き合ったことがなく、ギターテックの紹介でこのギターに辿り着いた。

ROCK FREAKS VOL.17

Photograph by Maciej Kucia

「新しいギターを手に入れても、今まで弾いてきたギターの音とどうしても比べちゃって、“何か違う”から始まっていたんです。でもこれは、“あれ?違うけど、とてもフィットする。すごい!”って。今ではコイツをリサって名付けてかわいがっています(笑)」

愛用するまでに至ったポイントを、Yoshはこんな風に語ってくれた。

「ギターについて、知り過ぎちゃったところがあったんです。その“知り過ぎブレーン”をシャットダウンした瞬間に恋に落ちましたね。楽器にひと目惚れってあるし、それってすごく正しいものだと思っていて。ひと目惚れした瞬間に、その楽器の音を自分のアイデンティティにしたくなる。実際にこのギターを弾いているうちに“コレじゃん!”と思ったし、“コイツが弾けなくなったらダメだな”と思ったんですよ」

さらに、ギターキッズへのメッセージもくれた。

「ギターに惚れてそのギターの音が俺の音なんだと言って、その楽器を愛して自分の音を確立して、夢のステージに立った時、みんながそいつを真似したくなる。そういうサイクルが音楽のジャンルになっていくと思うんだよね。逆に、同じ音を出している人が少ない時には新しいジャンルを作るチャンスだと思ってほしいな。トレンドに乗らず、自分のアイデンティティと向き合っていけば、いつかは誰かに評価されるから。Dコードひとつ鳴らした時に、“これってYoshのDコードだよね”って言われたら勝ちだと思うからね。それを忘れちゃいけないし、機材のせいにしちゃいけない。自分が直感で選んだ楽器を愛してあげないと」

世界で活躍し、来年に結成10周年を迎え、多忙な時間を送るYosh。しかし、今でも楽器店に足を運んでいるという。そんなYoshに楽器店に行く時のアドバイスを聞いた。

「“ビギナーなんてどうせ適当にあしらわれる”と、“どうせ”で終っているお客さんも多いと思うんです。でも、まずは店員に知識を伺いに行っていることを忘れちゃいけない。ギターを選ぶ主導権は自分が持っているけど、ナイスに質問すればいろいろなことを教えてくれるので。お店の人も、お客さんに合っている楽器を渡したいと思っている人が多いから。未来につながる、自分の音となる楽器に出会ってほしいな」

楽器店でのアルバイトから十数年。楽器や音楽への情熱、愛はまったく変わっていない。


Survive Said The Prophet
通称「サバプロ」は2011年、東京にて結成。ネイティヴな英語を操るバイリンガルのヴォーカリストYoshの圧倒的な歌唱力とカリスマ性を筆頭に、確かなスキル、ミュージシャンシップ、そして個性的なキャラクターを持った5人のメンバーからなる奇跡のインターナショナル・ロック・バンド。その異彩を放つ音楽性はロックに限らず、ポップ、エレクトロ、ヒップホップ、R&Bまで幅広いバックグラウンドをベースに、既存のシーンの枠に収まらないダイバーシティを武器にさまざまなフィールドを活動の場とし、日々進化し続けている。
› Website: survivesaidtheprophet.com/

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