Special Interview | 内田怜央(Kroi)

フェンダーの伝統的な楽器製作の美学と日本のクラフトマンシップを融合させたMade in Japan Traditionalシリーズ。2025年限定モデルMade in Japan Traditional 2025 Collection ‘60s Stratocasterも、フェンダーの正統なDNAを引き継いだ仕様とサウンドをMade in Japanクオリティでよみがえらせている。このギターを手にしたのが、R&B/ファンク/ソウル/ロック/ヒップホップなど、あらゆる音楽ジャンルからの影響を昇華した音楽性を提示する5人組バンド・Kroiの内田怜央(Vo,Gt)。中学生の頃からStratocasterを愛用している彼に、サウンドの印象や魅力について語ってもらった。

Stratocasterを手にして以来、能動的に音楽にのめり込んでいった気がする

──初めてフェンダーのギターを手にしたのはいつでしたか?

内田怜央(以下:内田) 中学2年か3年の時ですね。当時、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテにめちゃめちゃ憧れて、どうしてもフェンダーのサンバーストのStratocasterが欲しくなったんです。御茶ノ水の楽器屋さんを駆け回った時に見つけたAmerican Vintage Series 62 Stratocasterを母親に買ってもらいました。このギターは中学の時からなので、たぶん人生で一番弾いていますね。「Hyper」のレコーディング時に“ストラトを入れたい”ということになって、うちの長谷部(悠生)に貸したのもこのギターです。

──中学の時に初めて弾いたStratocasterはいかかでしたか?

内田 その前からエレキギターは弾いていたんですけど、“フェンダーサウンド”を思い知りました。“なるほど。このギターでこういうセッティングをすれば、いわゆるフェンダーサウンドと呼ばれているものが出るんだ”みたいなことは、実際に弾いてすごくわかったんです。自分のプレイスタイルの中で、大きな要素になっているカッティングを育んだ要素として大きかったのがそのギターです。大人になってからいろいろなギターに触れるようになりましたけど、“やっぱりストラトのカッティングの切れ味って最高なんだな”と実感します。

──プロミュージシャンになる上で重要な出会いだったということですね。

内田 本当にその通りです。あのギターを手にして以来、すごく能動的に音楽にのめり込んでいった気がするので。それまでは“楽器を楽しく弾く”みたいな感じだったんですけど、音楽というものをより意識するようになって、自分も曲を作ってみようと。“このギターに追いつこう”と頑張って練習したところもあるので、やっぱり良い楽器を早い時期に買うのは意味がありますよね。


──新たに手にしたMade in Japan Traditional 2025 Collection ‘60s Stratocasterは日本製のギターです。日本製については、どのような印象がありますか?

内田 ハイエンドではなく、中間の価格帯のギターを買う時は、どのメーカーさんでも国産があるならば国産が欲しいタイプなんです。日本製の造りの良さがあって日本人の職人の魂も感じますし、“この日本で生まれたからこの国で鳴り続ける”という安心感もあるので。

──Made in Japan Traditional 2025 Collection ‘60s Stratocasterは、どのような魅力があると感じていますか?

内田 何と言っても弾きやすいです。あと、ちょうど良いいなたさとモダンさが感じられます。そういうバランスが最高ですね。弾いていて楽しかったですし、育て甲斐がありそうだなと感じています。新品のギターはかなりEQとコンプをかけないと使えない音が多いですけど、これはアンプにそのままつないで鳴らしても良い音が鳴ってくれます。リアピックアップがめっちゃ使えるのも最高です。ストラトのリアって、ボリュームやトーンの操作をしたり、アンプのEQを調整したりとか、作り込まないと使いにくいことが多いですけど、これは例えばセンターピックアップで鳴らすための良い音を作って、その状態からリアに切り替えても違和感なく使えちゃいます。初心者も安心して使えると思います。

──ネックのグリップ感はいかがですか?

内田 最近、太いネックが好きなんですけど、これは弾きやすいんですよね。60年代頃のタイプのネックなんですか?

──そうですね。ネックは薄くないんですけど、ナット幅がちょっとだけ狭いんです。それが日本人の手に馴染みやすい理由だと思います。

内田 なるほど。現代的な狭い度数のヴォイシングも弾きやすいので、プレイヤーとしてすごくありがたいです。

──Black Pearlのカラーについては?

内田 最初に資料で見た時は真っ黒だと思っていたんです。でも、実際に見るとキラキラのラメになっていたんですよね。遠くから見たらわからないという自己満足感があるデザイン、めっちゃ好きです(笑)。あと、ゴールドパーツがアツいです。ロックはもちろん、ジャズバンドでゴージャスなプレイをする人にも合いそうです。

──特にオススメしたいギタリストのイメージはありますか?

内田 現行のギターでトラディショナルなスタイルに寄せ過ぎたものって、嘘っぽかったりつまらなかったりすることがあるんですけど、このギターはちょうど良いんですよ。だからマジでみんなにオススメしたいギターということになりますね。学生が手に入れるギターとしてもオススメしたいです。良い音を出したい人はこういうギターを買って、いろいろな音作りの情報を自分で探していくのが上達の近道だと思います。

──このギターをプレイした動画も公開されましたが、撮影はいかがでしたか?

内田 歌わない仕事、嬉しい(笑)。歌う仕事だと、撮影前にご飯をあんまり食べなかったりするんですけど、今日はお弁当をいただきながら“いいなぁ”と。“ギターを弾き倒したい”という気持ちも自分の中にあるので、こうしてギタリストとして呼んでくださったのが嬉しかったです。撮影した場所は、重要文化財(自由学園明日館)なんですよね。なかなかない機会ですし、めっちゃ楽しかったです。


──Kroiの今後の活動に関しては、ライヴの予定がたくさん発表されていますね。

内田 はい。8月から10月にかけて初のホールツアー〈Kroi Live Tour 2025 – HALL〉、来年の1月には東京と大阪でのアリーナ〈Kroi Live Tour 2026 – ARENA〉もあります。アリーナやホールでの戦い方は、だんだんわかってきました。小さいライヴハウスでのグワッ!っていう白熱感を、どこでも出せるようになりたいんですよね。あと、6月と7月にアコースティックライヴもやるので、“ガットギターを買おうかな”とか、アレンジのことから考えている段階です。アレンジや作る曲の幅を広げられるチャンスだし、気合いを入れて臨みたいと思っています。

Made in Japan Traditional 2025 Collection


内田怜央
R&B、ファンク、ソウル、ロック、ヒップホップなど、あらゆる音楽ジャンルからの影響を昇華したミクスチャーな音楽性を提示する5人組バンドのボーカル / ギター。メンバーは、内田怜央(Vo,Gt)、長谷部悠生(Gt)、千葉大樹(Kb)、関将典(Ba)、益田英知(Dr)。2018年2月に結成し、2021年6月には1stアルバム『LENS』でメジャーデビューを果たす。2024年1月には初の日本武道館ワンマン公演を開催。2026年1月には自身最大キャパとなる、大阪城ホール・国立代々木競技場第一体育館にて〈Kroi Arena Tour 2026〉を開催予定。
https://kroi.net

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