The New Inspiration | Chevon
聴く者の感情を揺さぶり、新たなプレイヤーの心を動かし続けるアーティストに脚光を当てる「The New Inspiration」。北海道・札幌を拠点に活動をスタートし、瞬く間に全国のフェスやイベントに出演し話題を集めている3人組バンドのChevonが、去る12月5日に〈FenderNews Public Recording with Chevon at Fender Flagship Tokyo〉を開催。超満員となった本イベントの模様をレポートする。
音楽はどんな感情や場面にも寄り添えるもの
今もっとも注目を集める若手バンドのイベントとあり、会場となったFender Flagship Tokyoの地下1階は開演前から熱気に溢れていた。定刻の18時、MCのコールでChevonが登場すると歓声とともに大きな拍手が湧き上がる。数日前に代々木第一体育館でのフェスに出演したChevon。オーディエンスとの距離が近い空間で、メンバーもオーディエンスもテンションがとても高い。簡単な挨拶をすませると、高いテンションのままライヴに突入。普段とは違う空間を意識してのセトリで4曲を披露してくれた。
──まずは音楽や楽器を始めたきっかけから教えてください。
谷絹茉優(以下:谷絹) 声を出すということで言うと、小さい頃に歌いながら机の回りをグルグル走り回っているホームビデオがたくさんあったりします。音楽を仕事にしたいと思い始めたのは中学校か高校だったかな。ずっと好きで歌っていたのが褒められたりして、音楽を仕事にしたいなと思い始めました!
Ktjm 僕はまったく音楽のことを知らなかったんですよ。だから別に好きな曲もなかったんですけど、兄に“俺ベースやってるから、お前ギターやれ”って言われて、しかもギターを買ってくれたんです。で、兄から“じゃあお前はこの曲をやれ”と言われて、もうされるがまま練習して気づいたらギターがめちゃくちゃ好きになってて。始まりはそんな感じですね。
オオノタツヤ(以下:オオノ) 僕も兄きっかけなんですけと、兄がギターをやっていて、僕はドラムをやりたかったんですけど、ドラムって中学生にとっては高くて手が届かないっちゅうことで、ベースっていうものがあるらしいと。で、ちょっとやってみようと思ったんですけど、三日坊主ですぐにオブジェになりました。高校生の時に、学園祭の有志発表会で“俺ベースやってるんだぜ”って言いふらしていたら“ベースやってくれよ”って言われて、それから猛練習ですね。課題曲の「丸ノ内サディスティック」をひたすら練習しました。
──Chevonの結成は2021年。4年と経っていないのにすでに各地の大きなフェスやFNS歌謡祭にも出演決定し、ドラマの主題歌も担当しています。この勢いはどうやって生まれたのでしょうか?
オオノ まずは楽器を続ける。で、仲間を見つけて、ものごっつい癖の強いヴォーカルを見つける。これに尽きます!
谷絹 もしくは、ものごっつい癖の強いヴォーカルになってください(笑)。
──今日のライヴでKtjmさんはPlayer II Telecaster、オオノさんはPlayer II Precision Bassを使っていただきました。
Ktjm まずは見た目で言うと、かわいらしいですよね。王道のTelecasterの形なんですけど、ハイポジションまでめちゃくちゃ弾きやすいんです。Chevonの曲はほぼハイポジションなんですよ。目立ちたいので(笑)。で、テレキャスってハイポジションが弾きづらいイメージが僕にはあるんですけど、Player II Telecasterはだいぶ弾きやすいです。サウンド面に関しては、嫌なハイが出ないのと音作りが簡単にできちゃう感じです。テレキャスって使い方を間違えると、鼓膜を破るんじゃないかっていうぐらいキンキンなハイトーンなんですけど、Player II Telecasterは雑に音作りをしても簡単にテレキャスのいいところが出てくる。本当に優れものですね。たぶん、Chevonの曲はこれ1本あれば全部いけちゃいますね!
オオノ フェンダーを触らせていただくのは初めてで、“こんなに弾きやすい楽器があるんだ!”って驚いています。このクリーム色(Hialeah Yellow)がめっちゃかわいいです。あと、気に入ったのがメイプル指板。実はメイプル指板を触るのも初めてで、指に触れた時のツヤ感が気持ち良くてすごくいいなぁと。意外と埋もれがちなベースですが、フレーズといいサウンドといい、前にしっかり出てきてくれる印象です。バンドで合わせてこそ真価が発揮されるなって思いました。
──ファンクチューンが多いChevonにおいて相性がいいのでは?
オオノ はい。しかもファンクな楽曲ってピッキングニュアンスがすごく大事なんです。それがはっきり出てくれるというか、再現性もめっちゃ高くて素晴らしいです。
谷絹 リズムとコード感がバシバシ伝わってくるのでヴォーカルからしても歌いやすかったですね。いつもは同期を使っているのですが、それがまったくない状態でもリズムが見えたのは、フェンダーのベースのおかげですね。
──さて、気になる2025年以降のChevonの活動について教えてください。
谷絹 ワンマンの規模をどんどん大きくしていきたくて、2025年はZeppツアーをやらせていただきます。2024年でChevonの第1章は終了。2025年の第2章からは、ジャンルとしてChevonの立ち位置をはっきりさせることを目標に頑張っていこうと思っております。
──最後に、楽器を始めようと思っている人やビギナーへアドバイスを。
Ktjm 楽器全般に言えることですが、最初は音すら出なくて相当苦しいです。でも最初の3ヶ月ぐらいを超えると、嘘みたいに楽しいのでとりあえずそこまでやってみてほしいですね。あと、フェンダーのいいギターを買えばモチベーションにつながるので、ギターを買って始めてみてはどうでしょうか!?
オオノ 本当に好きな曲を、弾けないフレーズがあっても深堀りしてみて、その曲が全部弾けるようになったときに最高の楽器ライフが始まると思います。その先にChevonと一緒にライヴができるかもしれないので、みんなが楽器を始めてくれたら嬉しいです。
谷絹 音楽をやってみようと思う人にとって、今はすぐに始めることができる時代ですから。安い機材でけっこうなクオリティのものができますので、そういうところから入って、私と対バンとかしてくれたら嬉しいなって思います。衣食住はないと生きられないけど、音楽はなくても生きていけるのに、これだけ浸透しているって“どれだけ音楽ってすごいんじゃ!”って話でしょ。それぐらいのものって音楽しかないと思うんですよね。怒っているシーンにも、泣いているシーンにも、1人になりたい時でも音楽って流れているし、どんな感情や場面にも寄り添えるものだと思います。そういった音楽を作る側になるのはね、楽しいもんじゃないかなと思いますのでぜひ頑張ってくだせぇ!
Chevon
谷絹 茉優(Vo)、Ktjm(Gt)、オオノタツヤ(Ba)で構成された3人組のバンド。
2021年6月より北海道・札幌を拠点に活動。平均年齢 23歳。文学的な歌詞のアプローチと、歯切れの良い楽曲が特徴。一聴するとハッと何か気づかされるような歌詞とサウンドにファンが着々と増えている。
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