Turning Point of Performer Vol.1 | タカハシマイ(Czecho No Republic)

TURNING POINT OF PERFORMER

自分や仲間だけで演奏している“プレイヤー”から、オーディエンスを相手にして演奏する“パフォーマー”。同じ演奏だが、何かが違うはずだ。日本のロックシーンを熱くしているパフォーマーたちは、どうやって“プレイヤー”から“パフォーマー”へとステップアップし、また、パフォーマーであることにどんな魅力を感じているのか。TURNING POINT OF PERFORMERと題したシリーズ1回目は、Czecho No Republicのタカハシマイ(Gt,Syn,Vo)に話を聞いた。

ライヴをして、お客さんと一緒に 音楽を楽しむ瞬間って本当に幸せなんです
 

― 初めてステージに上がった時のことを覚えていますか?

タカハシマイ  たぶん、高校の文化祭だったと思います。楽器は持たずにヴォーカルでした。実は、シンセサイザーを弾き始めたのもCzecho No Republicに加入してからなんです。バンドをやりたくて高校で軽音学部に入って、最初はエレキギターもやっていたんですけど、とにかくギターが下手で(笑)。それで“私は歌だけがいい!”ってわがままを言って、ヴォーカルでそのバンドに残りました。そのバンドで、文化祭…もしかしたら、他の高校の軽音部と合同でライヴイベントを頻繁にやる学校だったので、そのイベントが初ステージだったかもしれません。

― プロとして初のステージは?

タカハシマイ  2012年の夏、渋谷eggmanでのCzecho No Republicのライヴです。でも、まだ正式加入はしていなくて、サポートメンバーとしてステージに立ちました。

― どうでしたか?

タカハシマイ  ステージに立つ前はやる気満々だったんですけど、それまでいたキーボード&ギターが脱退して、その代わりに私が入っての一発目のライヴで、お客さんはまだ私のことを受け入れられなくて、最前列の子が泣いたりしていて…。それを見てすごく緊張したのと、“私なんかが入ったから…”っていうマイナスな気持ちもあったライヴだったのを覚えています。でも、それがあったから“ふざけんじゃねえ!”っていう気持ちにもなり、次のライヴでは泣いていた人たちを見返してやる、やるって決めたんだからチェコとしていい音楽を届けたい、やるからにはいいって思われたいと思ったんです。2回目のライヴはRUSH BALLというフェスだったんですけど、その時は“ふざけんじゃねえ!”っていう気持ちしかなかったです(笑)。おかげで皆ですごくハジけたライヴができて、“めちゃめちゃ良かったよ”って言ってもらえて。だから、1回目の悔しい思いをしたライヴは、すごく大切なものだったと今でも思っています。

TURNING POINT OF PERFORMER

TURNING POINT OF PERFORMER

Czecho No Republicに加入して間もない頃のライブ


― 1回目のライヴで悔しい思いをして、そこで辞めてしまおうという選択肢もあった?

タカハシマイ  高校を出てソロシンガーとして音楽の道に進んだんですけど、自分がやりたい音楽だけをやれていたわけじゃなくて。そんな時に、Czecho No Republicのメンバーが抜けて困っているのを知ったんです。チェコは大好きなバンドだったので、「私でやれることがあれば何でもするよ!」って武井(優心)さん(Vo,Ba)に言ったのがサポートをやるきっかけで。好きな音楽をやれるのはとにかく嬉しかったんです。

― でも、やりたいことをやる覚悟ってそれはそれですごく大変じゃないですか? 上手くいかなかったとしても、誰にも何の言い分けもできないし。

タカハシマイ  性格が楽天的なので、あまり深く考えていないのかもしれないですし、考えても仕方がないと思うんです。だって、失敗することを考えて何の意味があるのかなって。それよりも、やりたいことや好奇心のあることをやるほうが大切だと思うんです。私の場合、自分にできることだったら“やりたい!”って後先考えずにやってきました。それは今も変わらないです。昨年チェコのギタリストが抜けた時も、「ギターやってみなよ」って言われて、「じゃあやってみるか!」って言って後先考えずにギターも始めて、ちょっと後悔するみたいな(笑)。でも、ステージに立ったらめちゃくちゃ楽しかったんですよ。

― なるほど。

タカハシマイ  話していて思ったんですけど、“これはいける!”とか“これ楽しい!”って思うのは、スタジオじゃなくてステージの上なんですよね。そういうのって、スタジオに入ってもあまりわからない気がするんです。ライヴをやって、すごくいいって言ってくれる人がいて、達成感もあったり。大切なことは、ライヴのステージの上にある気がします。

― しかも、学園祭や部室での演奏会ではわからないものが、プロのステージにはありますよね。

タカハシマイ  そうですね。学生の時は、自分のためにしか演奏していなかったけど、Czecho No Republicに入ってからはオーディエンスのために演奏しているというか。ライヴに来てくれた人たちに、少しでも笑顔になってほしいと思って演奏しているんです。みんなもチェコの音楽を純粋に楽しんでくれているので、とにかく多幸感に溢れているんです。そんな時間と空間って他にはないと思うんですよね。

― 一度体感したらやめられないでしょうね。

タカハシマイ  はい。感動しちゃうんですよね、ライヴ中に。本当に鳥肌が立ちますもん、幸せの。

― じゃあ、ライヴで緊張はしないんですか?

タカハシマイ  それが…緊張はめっちゃします! でも、緊張していないように振る舞います。それで、本当は自分に言ってほしいことをメンバーに言うんです、“やったろうぜ!”みたいな(笑)。でも、やっと最近緊張よりもお客さんのことを考えられるようになってきました。以前は本当に頭の中が真っ白になることもあったり、お腹が緩くなったりしてました(笑)!

― (笑)。さっきも言っていましたが、最近はバンド内でギタリストとして二度目のデビューも果たしていて。

タカハシマイ  そうなんです! すごく大変なんですけどめちゃくちゃ楽しいです! 最近はライヴでシンセを弾きたくないぐらいギターが好きになっちゃって。アハハハ!

― そうですか!

タカハシマイ  ギターを弾いている時間は性格的に合っているなと思うんです。というのも、シンセのバンドというよりもギターロックのバンドを聴いてきたので、ギターを弾いている時に自分の感情を乗せやすいし、歌もすごく歌いやすいんです。シンセを弾いている時は、わかりやすく言うとすごく女の子らしく歌えているんです。でも、ギターを弾いている時は、自分の中の男を出せる感じです。それがすごく気持ち良くて。“ここにいるメンバーより一番カッコいい!”っていう気持ちになれて(笑)、それがすごく楽しいです。ギターは感情を爆発させやすい気がしますね。

― そんなマイさんを観て、“私もマイさんみたいにギターを弾きたい”って思う女子がたくさんいると思うんですけど、何かアドバイスはありますか?

タカハシマイ  歌はずっとやりたいと思ってきましたけど、シンセもギターもやってこなかったのに、今はパフォーマーとしてステージに立てているわけです。私にできるんだったらみんなにもできるよって言いたいです。もし音楽や楽器がすごく好きだったら、好きっていう気持ちがあればできますよ。楽器やバンドをやってみて楽しい、飽きない、一番好きって思えるんだったら、それを職業としてみて、最初は上手くいかなかったとしても、好きという気持ちにブレがないんだったら最終的には上手くいくと思うんです。そして、それはどんな仕事にも当てはまると思います。

― 今、高校の軽音楽部には女子部員が多いそうなんです。その子たちが“バンド好き”っていう気持ちを大切にして楽器やバンドを続けてくれたら、将来的にはガールズバンドのほうが多くなる時代が来るはずなんです

タカハシマイ  わっ! それは面白いですね。

― 最後に、軽音楽部などで頑張っている学生バンドに応援メッセージをお願いできればと!

タカハシマイ  AAライヴをして、お客さんと一緒に音楽を楽しむ瞬間って本当に幸せなんだよっていうことを伝えたいですね。軽音楽部でライヴをやっているとは思うんですけど、自分たちの音楽が多くの人に伝わって、しかもその人たちが幸せそうな顔をしていたり、みんなが多幸感に包まれているところまで目撃できちゃうんです。それって本当にすごいことだし幸せなことなので。もし、少しでもバンドをやってみたいと思っているんだったら、私は声を大にしてその道に進んでほしいと言いたいです。でも、卒業してもバンドを続けるって難しいですよね。お父さんやお母さんにも心配されるだろうし。でも、私は音楽を続けて本当に良かったと心から思っています。そして、私ができるんだからあなたにもできるよって言いたいです。


AMERICAN PERFORMER MUSTANG®

TURNING POINT OF PERFORMER

カリフォルニア州のコロナ工場で製造される24インチショートスケールのAmerican Performer Mustangは、USA製フェンダーならではのオーセンティックなトーンとフィーリングを提供し、パフォーマンスにインスピレーションを与えるモダンスペックを随所にフィーチャーしています。

 

PROFILE


Czecho No Republic
メンバーは、武井優心(Vo,Ba)、山崎正太郎(Dr)、タカハシマイ(Gt,Syn,Vo)、砂川一黄(Gt)。2010年、武井と山崎が中心となり結成。”チェコ”という語感の響きの良さ、志向する音楽の方向性などからCzecho No Republic(チェコノーリパブリック)と命名。2013年1月、サポートとして参加してきたタカハシマイと砂川一黄が正式メンバーとして加入。同年10月、1stアルバム「NEVERLAND」でメジャーデビュー。2018年8月、配信シングル「Baby Baby Baby Baby」リリース。
› Website:http://c-n-r.jp

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