Turning Point of Performer Vol.3 | たかはしほのか(リーガルリリー)

TURNING POINT OF PERFORMER

自分や仲間だけで演奏している“プレイヤー”から、オーディエンスを相手にして演奏する“パフォーマー”。同じ演奏だが、何かが違うはずだ。日本のロックシーンを熱くしているパフォーマーたちは、どうやって“プレイヤー”から“パフォーマー”へとステップアップし、また、パフォーマーであることにどんな魅力を感じているのか。TURNING POINT OF PERFORMERと題したシリーズ3回目は、リーガルリリーのたかはしほのか(Vo,Gt)に話を聞いた。

初めて音を合わせた時、私泣いたんです。 自分の体にビリビリきすぎて
 

― ギターを始めたきっかけは?

たかはしほのか(以下:たかはし)  父親がバンドをやっていて、子どもの時からギターが家にあったんです。それで、小学2年生ぐらいの時に、サンタさんにギターをもらったんですけど、形がどうしても嫌で。というのも小学生だったので、世界が狭く、ギターというものが世界で一番ダサいと思っていたんです。だからギターを弾こうともしなかった。でも中学生の時に、歌うことが好きだと気づいたんです。私は普段ずっと歌っているなって思うようになって、伴奏がほしくて始めたのがギターだったんです。15〜16歳の頃ですね。

― 高校に入って軽音楽部に?

たかはし  小学4年生から学校の授業でドラムをやっていて、その影響で中学生の時に吹奏楽部に入ってパーカッションをやっていたんです。それで高校でも吹奏楽部に入ろうと思ったんですけど、私が行った高校は吹奏楽部がめちゃくちゃ有名な学校で…。迷っているうちに、友達に誘われて男子バスケットボール部のマネージャーになっちゃって(笑)。

― (笑)。

たかはし  軽音楽同好会にも入り、バスケ部のマネージャーと軽音楽同好会を掛け持ちしました。そこで邦楽ロックを知ったんです。ASIAN KUNG-FU GENERATIONとかRADWIMPSとか。それまでは父親の影響もあり、洋楽しか聴いてきませんでした。そして1年生の夏に「閃光ライオット」を観に行ったんです。そこで“このステージに立てる気がする”って思ったんですよね。今まで自分に自信があったことはなく、舞台に立つことも諦めていたんですけど、「閃光ライオット」だけは自分もいけそうって生まれて初めて思ったんです。思ったその日に男子バスケのマネージャーを辞めました。それからは軽音同好会だけをやりました。同好会内で1回だけ学校外でライヴをしました。演奏したのはニルヴァーナ。で、学校外でライヴをしたら四者面談になりました。学業に影響が出るからって。それで高校を辞めました。高校2年生の時でした。何かぐちゃぐちゃすぎませんか(笑)?

― かなりぐちゃぐちゃで好きです(笑)。「閃光ライオット」はなぜ、いけそうだと思ったのでしょうか?

たかはし  理由はわからないですけど、私のほうがカッコいい音楽を作れそうって思ったんです。「閃光ライオット」に関しては、次の年の応募がかかる1カ月前にリーガルリリーを結成したので、まだ応募には早いかなと思い、結成2年後の高3の時に応募しました。ただ、その時は「未確認フェスティバル」という名前になっていましたね。

― 「未確認フェスティバル」の選考会での演奏は緊張しませんでしたか?

たかはし  めっちゃ緊張しました。ファイナルまで行ったんですけど、最後にギターをぶん投げた気がします。何かすみません。ぶん投げるとか言っちゃって(笑)。

― いえいえ。ジミ・ヘンドリックスは燃やしていましたから(笑)。

たかはし  自分の解放ですね(笑)。

― 緊張しながらよくファイナルまで進めましたね。どういう気持ちで演奏していたのか覚えていますか?

たかはし  毎回、キャパオーバーで緊張しすぎて詳細は覚えていないんですけど、とにかく目一杯やってやろうっていう感じでした。誰かに対して歌っている、演奏している感じではなくて、自分の世界しか見えていなかったんです。毎回一緒だった気がします。

TURNING POINT OF PERFORMER

TURNING POINT OF PERFORMER

リーガルリリー結成当初、メンバーが16歳の頃

 

― プロになった今も同じですか?

たかはし  うまく言えないんですけど、普通に渋谷とか街中にいると、ヘンな意識が混ざり合っていて体調が悪くなるというか嫌なんです。でも、同じ人混みでもライヴハウスにいると、何千人という意識がひとつになる瞬間があって、それに感動するんです。そのみんなの目線の先にいるのが私で、私の歌の力で皆にその気持ちを味わってもらいたいというか、気づかせたいって思うんです。何だろう、私の歌を聴いて楽にさせてあげたいなって。私は何のために曲を作るんだろうって考えた時に、誰かを楽にさせてあげたいんだなって気が付きました。

― 素敵ですね。今でもライヴでは緊張しますか?

たかはし  はい。緊張しないと楽しくないし、緊張しないといいものが出せないし、恐怖っていうものが好きなんです。結局、未知なものとか絶景って全部恐怖から来ていると思うんです。そういうものにすごく惹かれるんです。私は、恐怖への緊張は全然悪いことではないと思うんです。だから、どれだけ恐いかをちゃんと知ればいいと思っています。

― みんな先が見えなくて、将来が恐くて、途中でバンドを辞めてしまうわけですよね。バンドを辞めようと思ったことはないですか?

たかはし  私、何も考えずにポンポン適当にやっちゃうタイプなんです。“高校辞めよう”って辞めちゃうぐらいなので。で、1年半くらい前にベースが辞めちゃったんです。それで、新しいバンドを組もうかなって思っていました(笑)。だけど、リーガルリリーのドラムがすごく好きで、続けてみようと思って続けていたら、奇跡みたいなベーシストに出会って。続けていて良かったって思いました。やっぱり音楽って、嘘をついてはできないなと思いましたね。

― バンドや音楽そのものを辞めようと思ったことはなかった?

たかはし  それはないです。無理ですね。せっかく生まれたので、世界に何かを残したいって思います。何かを残せば永遠に生きられるので。

― 深いなぁ。今、高校の軽音楽部がとても盛り上がっているのですが、みんながたかはしさんのような気持ちで楽器を続けてくれたら、バンドも増えて楽しいのになぁと。どうしたら続けられると思いますか?

たかはし  質問の答えとはズレるかもしれないのですが…。私が高校生の頃、楽器を始める人って2パターンいるなって思っていました。ひとつ目は、ただ仲間や周囲の環境に加入したいから楽器を始める人。ふたつ目は、誰かに憧れてギターなどの楽器を始める人です。どっちも楽器は上達するけど、軽音楽部の場合だと後者のほうが続けられる人が多かった気がします。少なくとも私の周りを見ている限りはそうだったんです。目標がある人、〇〇みたいになりたいっていう明確な目標がある人のほうが上手かったし、ずっと続けていたなぁと思います。

― たかはしさんにも憧れの人がいたと?

たかはし  はい。ジョン・フルシアンテとカート・コバーンに憧れていました。なぜカート・コバーンに憧れていたかというと、ギターがそこまで弾けなくてもステージに立っていたからです。

― ステージに立つってとても大事ですよね。今は高校の軽音楽部が盛んなだけに、部活が充実して、そこで完結してしまっている人も多いみたいで、もったいないなぁって思うんです。だってステージに立つこと、人前で演奏することって本当に楽しいので。

たかはし  本当にそう思います。実は、ドラム、ベース、ギターで初めて合わせた時、私、泣いたんですよ。自分の体にビリビリきすぎて、本当にやられて、本当に楽しくて。それまでゲームにしか趣味がなかったんですけど、すべてが変わるぐらい感動したので、楽器をやったことがない人はまずはバンドで音を合わせてみたらどうですか?って思います。本当に奇跡みたいなことが起きますから。音楽をやる前までは、人と何かを作り出すっていうことは考えられなかったんです。吹奏楽部をやっていたけど、人数が多すぎて自分1人が抜けても関係なかったので。でも、バンドをやった時に初めて何かひとつの魂を作り出したいという感覚が生まれたんです。まずは楽器をやってほしいです。そして、バンドで音を合わせてほしいです。

― 本当にそう思います。

たかはし  バンドって、いろんな段階での楽しさがあるからやめられないんですよね。持っているのはずっとギターだけど、環境はずっと変わり続けるんです。楽器は一緒でもまったく違うものになるから、軽音楽部で終わらせちゃうんじゃなくて、楽器やバンドを続けてほしいですね。バンドをやっていて、同じことなんて何ひとつも起きない。本当に楽しいです。


AMERICAN PERFORMER TELECASTER® HUM

TURNING POINT OF PERFORMER

カリフォルニア州のコロナ工場で製造されるAmerican Performer Telecaster Humは、DoubleTap™ハムバッカーを搭載し、USA製フェンダーならではのオーセンティックなトーンとフィーリング、そしてフォーマンスにインスピレーションを与え新たな次元へと導くモダンスペックを随所にフィーチャーしています。

 

PROFILE


リーガルリリー
メンバーは、たかはしほのか(Vo,Gt)、海(Ba)、ゆきやま(Dr)。東京都出身ガールズスリーピースバンド。儚く透明感のある詞世界を音の渦に乗せて切り裂くように届ける。2014年に当時高校生であった、たかはしほのかとゆきやまが出会い、リーガルリリーを結成。TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」主催、「未確認フェスティバル2015」準グランプリ獲得、カナダ3都市を回る海外公演ツアーに参加する等、10代の頃より精力的にバンド活動を行う。自主レーベルのBiotope recordsよりミニアルバムを3枚リリース、2018年の「スペースシャワー列伝2018」に参加する等バンドの勢いは留まることがない。2018年7月、新メンバーに海が加入をし、ガールズスリーピースとして新体制となる。
› Website:https://www.regallily.com

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