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Unlimited Expression | 松隈ケンタ

フェンダーが提案する新機軸のギター「American Acoustasonic」シリーズを使って、アーティストが自由に、そして無限の表現を繰り広げる「UNLIMITED EXPRESSION」。今回は、サウンドクリエイターチーム「スクランブルズ」の代表であり、DISH//、BiSH、BiSなど数々のアーティストを手掛ける音楽プロデューサー、松隈ケンタが登場。骨太なロックサウンドを得意とし、“アイドルがエモーショナルなロックナンバーを歌う”というムーブメントの草分け的な存在である彼に、フェンダーへの想い、そしてAmerican Acoustasonicシリーズをどのように楽曲制作に取り入れるか話を聞いた。

American Acoustasonicは、一言で言うとまったく新しい楽器

― 1年間でどのくらい曲を書かれますか?

松隈 一昨年、数えたら年間200曲リリースしていました。コロナの影響でさらに増えていると思うので、昨年は250曲くらい出しているかもしれません。ただ、全部が作曲じゃないんです。作曲とサウンドプロデュースは仕事が別で、僕の場合はサウンドプロデュースのほうが忙しいんです。僕がプロデュースしているのは女性グループが多いのですが、あまり打ち込みを使いたくなくて、ロックを基調としているスタイルなので全部ドラムから録ります。だから、いわゆる音楽プロデューサーさんよりも作業が多いんですよね。アルバム全曲を見るので、もちろんマスタリングもチェックします。

― ギターを始めたのはいつですか?

松隈 高校1年生の時です。中学生くらいの時ってみんなバンドを始めたくなるじゃないですか。高校に上がる時、母ちゃんに“受験に受かったらギター買ってくれ”とお願いして、高校1年生の時に初心者セットを通販で買いました。当時はZIGGYが大好きで、仲間がコピーバンドを組んでワイワイやっているのを見て、僕もやってみたいなと思ったのがギターを始めたきっかけです。

― フェンダーに出会ったきっかけは?

松隈 2本目に手に入れたギターがフェンダーでした。日本製で4万円くらいの赤いStratocasterでした。

― ストラトを選んだ理由は? ZIGGYだとストラトのイメージではないですよね?

松隈 確かにそうですね。初心者セットを買った時もストラトタイプだったんです。今思い出したのですが、友達がバンドを始めて、その友達の家に行ってMr.Children「innocent world」の弾き方を教えてもらったんですよ。友達が“これがエレキだ”とか言って、それで俺もギターだ!と思ったんですよね。その友達がストラトを使っていたので、自然とストラトを使うようになりました。


― さまざまなギターに触れてきたと思いますが、フェンダーはどのようなイメージですか?

松隈 ソリッドで繊細な音を出すイメージです。太い音も好きだし、作っている音は太めなイメージが多いのですが、わりとジャキッとしたフェンダーの音が好きなんですよ。ストラトって、繊細な指のタッチで音を調整するイメージがありますね。強く弾けば歪む、軽く弾けば繊細な音が出るフェンダーが好きですね。

― 松隈さんのサウンド的には、シングルコイルよりもハムバッカーで太い音を出すイメージですよね。

松隈 そうですね。でも実は僕、メタルとかハードロックがあまり好きじゃなくて(笑)。嫌いではないけれど。U2とかが好きなので、フェンダー全般、特にストラトの音が好きなんです。

― サウンドプロデュースで言うと、世界的な潮流としてギターサウンドが少なくなっています。しかし、松隈さんのプロデュース作品にはギターが欠かせないですよね。

松隈 プロデューサーを目指した10年くらい前に、いろいろと試したんですよ。エレクトロを勉強したしR &Bも勉強しました。“すべてを勉強しないといけない”と思っていたし、むしろ“ギターを捨てなきゃ”っていうくらいで。しかも当時はアコースティック系のサウンドが流行り出していたので、約1年くらいシンセとかピアノの曲ばかりを作っていた時期もありました。だけど、“松隈さんが好きな雰囲気の曲をください”というオーダーがあって、それが柴咲コウさんに提供した「ラバソー 〜lover soul〜」だったのですが、久しぶりにロックを作ったら評価されて。その時点で、“俺はロックをやるしかない”と思いましたね。とは言え、アイドルという枠の中で、ギターを中心としながらもチャレンジはしていきたいです。時代の潮流にただ寄せることはしないです。

― プロデュースにも、ギターというものがひとつの芯としてあるわけですね。

松隈 そうですね。持論ですが、カレーとラーメンとギターは絶対に100年後もみんなが食べてる、弾いていると思うんです。トレンドの食べ物はすぐに飽きます。タピオカとか(笑)。そういう考えに近いかもしれないですね。

― そんなギターの中で、今回はフェンダーのAmerican Acoustasonicを弾いていただきました。

松隈 一言で言うと、まったく新しい楽器だなと思いました。シェイプこそJazzmaster、Stratocaster、Telecasterを基にしていますが、エレキギターでもアコースティックギターでもない印象でしたね。

― その新しい楽器を現場でどのように使ってみたいですか?

松隈 ギタリストの方だったら“こういうアプローチができるな”と考えると思うのですが、僕は“ドラムにどう音が乗るかな?”とか“どういう場面でこのギターが使えるかな?”と思いながら弾いて、パーカッション楽器としての使い道があるなと。ギターよりもループ楽器に近いというか、打楽器として取り入れたいなと思いました。さっそくレコーディングで試してみたいです。この楽器から曲のイメージが浮かぶような気がします。

 あと、見た目はウッドな感じでアコースティックなのですが、パソコンに繋ぐとアンプシミュレーターでいろいろなサウンドが作り込めるので、見かけによらずデジタルとの相性が良いですよね。“このモードにはこのアンプが合うな”と試していたら、間違えてベースアンプをセレクトした時があって、“あ、ベースアンプがめちゃくちゃ合うな”と発見した瞬間があったんです。シンプルに見えて、音の可能性がものすごく広がるなと思いました。

― コロナ禍でギターを始める人も増えています。最後に、ビギナーへアドバイスをお願いします。

松隈 ギターとピアノとドラムは絶対になくならない楽器だと思うんです。この先、何十年何百年も。しかも、すべてのジャンルに使われている楽器ってドラムとギターくらいです。おじいちゃんになっても弾ける楽器なので、ちょっとでもやりたいなとかカッコいいと思ったら、F(バレーコード)さえ乗り越えれば楽しくなるので(笑)、ぜひチャレンジしてほしいですね。


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American Acoustasonic™ Jazzmaster® はフェンダーアコースティックギターの進化を加速させ、音楽をさらなる高みへと導きます。フェンダーとフィッシュマン®により共同開発されたアコースティックエンジンは、きっと素晴らしいインスピレーションを与えてくれるはずです。アコースティックのフォーキーなサウンドからエレクトリックギターのリズムトーンまでをこなすこのギターは、無限の可能性を秘め、新しい扉を開く革新的なモデルです。


松隈ケンタ

福岡県出身。

音楽制作集団スクランブルズ代表/作曲家/音楽プロデューサー。日本経済大学 特命教授。

BiSH、BiS、豆柴の大群、EMPiREなどWACKグループのサウンドプロデュースや、中川 翔子、柴咲コウ、Kis-My-Ft2等、数多くのアーティストを手がける傍ら、音楽セミナーを行うなど新人アーティスト育成にも力を入れている。

オンライン番組「iichiko ROCK!」のMCや、NHK福岡にてラジオ番組「六本松サテライト」のメインMCを担当するなど、地元福岡でも精力的に活動。

自身が率いるロックバンドBuzz72+としても活躍している。

https://scrambles.jp
https://buzz72.com

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