OKAMOTO’S 90’S TOKYO BOYS IN HALL SPECIAL ~アフタースクール~

90年代生まれの新しい感性でロックを奏でるOKAMOTO’Sが7月29日、彼らにとって最大規模となるホール公演〈90’S TOKYO BOYS IN HALL SPECIAL ~アフタースクール~〉をNHKホールで開催した。メンバーたちと親交の深いゲストを迎え、ライヴパフォーマンスのみならず、トークも楽しませた2部構成のステージは3時間に及んだが、オカモトコウキ(Gt)とハマ・オカモト(Ba)がプレイするフェンダーのギターとベースも大活躍。2人のプレイを中心にライヴの模様をレポートする。

厚い歪みのサウンドと、腰高に鳴らすスラップやオブリのカウンターフレーズが体を揺らす観客を直撃

「校歌斉唱。全校生徒起立!」

音楽・トーク番組『ハマスカ放送部』でハマ・オカモトとMCを務めている齋藤飛鳥(乃木坂46)の影アナに導かれ、ライヴは学生服姿のOKAMOTO’Sの面々が歌う私立オカモト高校校歌から始まった。4度目の開催となる〈90’S TOKYO BOYS IN HALL〉。“SPECIAL”と謳った今回は“アフタースクール”とサブタイトルが付いている通り、私立オカモト高校軽音楽部所属のバンド(OKAMOTO’SとサポートキーボーディストのBRIAN SHINSEKAI)がNHKホールでのワンマンを目指すというストーリー仕立ての第1部と、彼らによるNHKホールでのワンマン公演という設定の第2部からなる2部構成で、豪華ゲストを迎え繰り広げられた。

部室を思わせるセットにも思わず胸が躍った第1部の1曲目は、64年製ヴィンテージのStratocaster®️を持ったオカモトコウキが甘い音色で奏でるカッティングに、柔らかい音色で鳴る本人用に制作されたレリック加工ありのHama Okamoto Precision Bass®︎ “#4″(Olympic White)(以下:”#4″)でオブリを加えるメロウなファンクナンバー「NO MORE MUSIC」。

そして、BRIAN SHINSEKAIを含む5人の演奏を聴いたお笑いトリオ、トンツカタンの森本晋太郎が演じる軽音部の顧問による“お前らに足りないものを教えてくれるミュージシャンを、先生が呼んでいるんだ”というセリフから順々にゲストが登場。それぞれがOKAMOTO’Sに“足りないもの”を挙げながら、ゲスト自身の楽曲をOKAMOTO’Sとともに披露していった。

“元気な感じが足りない”と提案したTHE 2の古舘佑太郎は体調不良のため、残念ながら出演が叶わなかったが、代役のメガフルタチ(古館の顔の着ぐるみ)が、THE 2のディスコ調ロックナンバー「恋のジャーナル」を演奏するOKAMOTO’Sの隣で踊るというシュールな光景は、ある意味、この日の見どころの一つだったかも⁉ 「NO MORE MUSIC」のナチュラルな音色から一転、コウキが奏でた64年製Stratocasterの艶っぽい音色と、Custom Shop Master Build Dennis Galuszka 1964 Jazz Bass(3 Tone Sunburst)に持ち替えたハマが歯切れのいいオルタネイトピッキングで鳴らす腰高のサウンドも印象的だった。

そんなコウキとハマは、“ブルーズが足りない”と言ったシンガーソングライター・ギタリストのReiとともに演奏した「Lonely Dance Club」ではミッド/ローを強調したプレイで、高音域の鋭いトーンを際立たせたReiのギタープレイをバックアップ。そこから一転、ソロやサポートでも活躍中のSuchmosのギタリスト、TAIKINGの“コウキに花を持たせたい”というリクエストに応え、コウキは歌とギターをTAIKINGと掛け合いしながら「Easy」をプレイ。TAIKINGのプレイに刺激され、どんどん熱を上げていったコウキのプレイを、”#4″に持ち替えたハマが重心の低いプレイで支えていたことも忘れずに記しておきたい。

第1部を締め括ったのは、“スパイシーな感じが足りない”と言ったターバン&スーツ姿のシンガーソングライター、マハラージャンと演奏したファンキーな「セーラ☆ムン太郎」。再度Stratocasterに持ち替えたコウキは、ミッド/ローを強調したウェットな音色で奏でたスピーディーなカッティングに加え、マハラージャンとのツインリード、さらには歪みを加えながらチョーキングでフレーズを泣かせたソロをキメ、存在感をアピール。トレモロピッキングで轟音を鳴らしたコウキに煽られ、白熱していったバンドの演奏に写真部の部員という設定で、バンドの演奏を見守っていたモデルの三原勇希(『スペシャのヨルジュウ』でハマと共演)と森本晋太郎がそれぞれに“ピリッと来たよ!”“完成した! もうNHKホールに行けるよ!”と快哉を叫んだ。

セットチェンジの間、OKAMOTO’Sのメンバーに加え、古館佑太郎、三原勇希も受けた抜き打ち学力テストの珍回答を森本晋太郎が紹介する映像で楽しませてから、コウキがStratocasterでトレブリーなトーンのソロを弾いた「90’S TOKYO BOYS」、オカモトショウ(Vo)とコウキが歌を掛け合った「Young Japanese」のファンキーな演奏でいきなり熱を上げた第2部は、第1部とは逆にゲストとともにOKAMOTO’Sの新旧のレパートリーを披露していく。

“一番盛り上がるやつやって!”と声を上げたReiに応え、コウキがReiとハードロッキンなリフを掛け合った「Border Line」では、コウキのStratocasterから繰り出される厚い歪みのサウンドと、ハマが65年製ヴィンテージのJazz Bass(Black)で腰高に鳴らすスラップやオブリのカウンターフレーズが、体を揺らす観客を直撃!

「踊る準備はできてますか⁉」(オカモトショウ)

マハラージャンを迎えたファンキーでセクシーなソウルナンバー「Dance To Moonlight」。“何でこの曲、忘れてたんだろ?”とショウが言いながら、久しぶりに演奏したというラップロックの「Burning Love」と快調に曲をつなげ客席を盛り上げたところで、オカモトレイジ(Dr)が私服を提供したというラッパー風のファッションでキメた森本晋太郎とともに、エミネムの「Lose Yourself」からメドレーでメロウなラップロックナンバー「NEKO」を披露。ハマが、モダンなルックスがステージ映えするAmerican Professional Jazz Bass(Sonic Gray)の弦をしならせるように太い低音を鳴らした。

そして、古館のリクエストに応え、懐かしい60’s調のロックンロール「笑って笑って」で観客を沸かせてから、TAIKINGを迎えてSuchmosのヒットナンバー「STAY TUNE」を一緒に披露するというサプライズに観客は大喜び。コウキはStratocasterでミッド/ローを効かせたウェットなカッティングを貫き、ハマは”#4″でソリッドなトーンのベースフレーズを奏でる。

“昔、一緒に部室で作った曲です。踊ってくれないか?”とショウが観客にリクエストした「Beek」は、60’sの香りも漂うロックンロールだ。ファンキーな演奏が観客を存分に踊らせる。コウキが奏でるカッティングに加えられた歪みが心地いい。ハマが同じく”#4″で差し込むカウンターフレーズのインパクトもさることながら、音圧で圧倒するような音色もまた迫力満点なのだった。 そして、最後はBRIAN SHINSEKAI、Rei、TAIKING、マハラージャン、森本晋太郎、三原勇希、そしてメガフルタチも迎え、全員でバラードナンバー「Dancing Boy」を歌って3時間に及ぶ熱演は幕を下ろした。

“この曲をやれるのがけっこう嬉しい”とショウは語ったが、それは踊ることしかできなかった過去を振り返りながら、その時の気持ちのまま進んでいこうと歌うこの曲を、ほぼ同世代と言える仲間たちと一緒に歌えたからこそ。《手と手を取り合ってTry 今も変わらない想いはLove Love…》という歌詞が染みる。そんな心憎い幕の下ろし方が、特別な夜になったことをより一層印象づけたのだった。

【SET LIST】
1部
1. NO MORE MUSIC
2. 恋のジャーナル(w/古館佑太郎)
3. Lonely Dance Club(w/Rei)
4. Easy(w/TAIKING)
5. セーラ☆ムン太郎(w/マハラージャン)
2部
1. 90’S TOKYO BOYS
2. Young Japanese
3. Border Line(w/Rei)
4. Dance To Moonlight(w/マハラージャン)
5. Burning Love
6. NEKO(w/森本晋太郎)
7. 笑って笑って(w/古館佑太郎)
8. STAY TUNE(w/TAIKING)
9. Beek
10. Dancing Boy(w/全員)


OKAMOTO’S:https://www.okamotos.net/

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