Cover Artist | yui -後編-
弾きたい時に弾けるなんて最高の人生だなって今思いました
2021年2月24日、メジャーデビュー15周年を締めくくるセルフカバーミニアルバム『NATURAL』をリリースし、自然体でありながら純粋無垢たる歌声でリスナーを魅了したyui。赤いTelecasterをはじめ、デビュー当時よりフェンダーギターを使用してきた彼女がFenderNewsのCOVER ARTISTに登場。インタビュー後編では、ギターを始めたきっかけ、苦難を乗り越えて見える今の景色、そしてこれから楽器を始めるすべてのビギナーたちへメッセージをもらった。
ギターを強くつなげてくれたのはデビューだったのかもしれない
― 改めて、ギターを始めたきっかけは?
yui 15歳の時ですね。ちょうど路上ライヴが地元・福岡で流行っていた時期に友達が“知り合いが路上ライヴをやるから見にくる?”って誘ってくれて、バイトの合間に見に行ったんです。路上ライヴが終わったあと、“音楽の道に進みたいんです”と演奏していた人たちに聞きに行って、そこで音楽学校の存在を知りました。そこに入校し、ギターを触りだしたのがギターを始めたきっかけです。
― ルーツはアヴリル・ラヴィーンだと伺っていますが、それはもう少しあとのことですか?
yui その時期のことですね。音楽に興味を持ったきっかけはアヴリルです。その後、テレビを観ていたらボン・ジョヴィのライヴ映像が流れてきて。ニューヨークの町並みにステージがドン!とあって、それがめちゃくちゃカッコいいと思ったのも大きかったです。楽器に近づいたのは路上ライヴですね。実際の生音に衝撃を受けたんです。アコギだったのですが、その音の深さにすごく驚きました。
― 音楽学校ではどのようなことを学びましたか?
yui ギターの弾き方も教えてくれるのですが、主に作詞作曲の方法を教えているところで。当時はお金がなかったので、先生のお手伝いさせてもらって、教室が終わったあとの空き時間に置いてあるギターを弾いていました。
― そこでギターの弾き方も教えてもらったのですか?
yui 教えてもらいつつ、教室に通っている人みたいに先生が付きっきりというわけではないので、見よう見まねの部分も多かったですね。路上ライヴをしていた先輩がすごく後輩想いで、“こうやって弾くんだよ”と教えてくれました。
― お金がなく、教室の手伝いをしてまで音楽を身につけようとしたのはなぜだったのでしょう?
yui 高校に入ってから本当に忙しくて、バイトをしながら学校に通っていたので、歌を歌うとか好きなことができなくなっちゃったんですよね。日々に追われて、このままきっと歳を取っていくんだろうなって未来が見えたんです。つまらないままに歳を取って、つまらないままに人生が終わるんだなってその時に思って。そんな時に肺炎に罹ってしまって考える時間ができたんです。
あれ、やばいぞって。好きなことやってないじゃんって思ったんですよね。肺炎で入院する前に応募したオーディションで決勝に行けることになっていたので、じゃあ病気を治して決勝に行こう、もし決勝で落ちたら音楽を辞めようと決意して。それで優勝したので、音楽の道に進んでみたいと親にも話して。始めようと思っても“どこから?”って感じだし、友達に音楽をやりたいと言ったら路上ライヴを教えてくれて、それが未来へとつながっていきました。
― 劇的な人生ですね。
yui 15歳でいろいろなことが起きたんです。音楽塾に入ってお手伝いをさせてもらっていた時も、“通帳記入に行ってきて”くらいのノリで“オーディション行ってきて”と言われて。え?この格好でですか?みたいな。そのままオーディションを受けたらなぜか受かって、15歳の終わりに上京することになりました。何ならギターで指先が痛くて心が折れて、ギターを辞めようかと思っていた時期だったんです。痛いし指先から血が出そうだからって。誰にも言っていないですけど。ある意味、ギターを強くつなげてくれたのはデビューだったのかもしれないですね。デビュー当時、ギターは今よりももっともっと下手だったと思います。
ギターの存在は呼吸みたいなもの
― ギターに関して挫折を経験しましたか?
yui 挫折は多いと思います。上を見れば上手い人が多すぎるので、今でも苦手意識があるというか、私もプロになったので自分の下手さがすごくわかるんです。だけど、音のキレイさとか、瞑想じゃないけれど弾いていて気持ちいいなと思う瞬間があるので、純粋に楽しもうと最近は思えるようになってきました。昔は自分が下手すぎて嫌でしたね。
― でも、いわゆる“ギタリスト”ではないですからね。
yui そうなんですよね。昔、言われてすごく嬉しかった言葉があって。ギタリストの方に、“yuiちゃんのギターってギタリストには弾けないギターだよね”って言ってもらった時に、ちょっと肩の荷が降りたんです。そうか!そういうギターを別に弾かなくてもいいんだって思えたんです。
― 今、 yuiさんにとってギターとは?
yui 昔は“音楽とは何ですか?”って聞かれた時に、“ないと生きていけないもの”と答えていたんです。それは今でも変わっていませんが、ギターもそれに近いと思います。ギターの存在は呼吸みたいなものです。意識しなくても自然としているもの。一生傍にあるし、弾きたい時に弾けるなんて最高の人生だなって今思いました。
― ミュージシャンにインタビューしていると、yuiさんに憧れてギターを始めた女性ミュージシャンに多々会います。
yui ありがとうございます。嬉しいです。
― いわゆる“ギタ女”の走りですからね。
yui “ギター大きいね、イルカさんみたいだね”ってよく言われていました。でも、ギタ女と言われるのはすごく嬉しいですね。女の子でもギターに触っていいんだ、やりたいことに手を伸ばしやすくなる、ハードルが下がるのであれば私的には嬉しいことですね。
― 最後に、これからギターを始める人にアドバイスを送るとしたら?
yui ギターを始めた時、“楽しいと思えば上達する”と言われたんです。私もずっとそうなんじゃないかと思っていて。好きな曲をコピーしてみるとか、自分のテンションが上がることから始めたらいいかなと思います。
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yui
1987年、福岡県出身。2004年、ソニーミュージックグループのSDオーディションに応募し、約2万人の応募者の中から10人の中に残る。2005年2月、「feel my soul」でメジャーデビューを果たす。2004年から2012年までシンガーソングライターとして活動し、2013年からはロックバンド“FLOWER FLOWER”のヴォーカリスト兼ギタリストとして活動。2020年11月に公開されたYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』でのパフォーマンスは、3カ月足らずで430万再生を超えるなど大きな反響を呼ぶ。2021年2月24日、デビュー15周年を記念したセルフカバーミニアルバム『NATURAL』をリリース。
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