Fender 75th Anniversary Charity Project – We Love Music
2021年に創設75周年を迎えたフェンダーが、日本全国の公立・国立の小学校・中学校・高校を対象にしたチャリティプロジェクト『Fender 75th Anniversary Charity Project – We Love Music』を実施。選抜された学校には、音楽教育のための助成金、フェンダーの楽器、アーティストによる特別ギターレッスンを無償で提供。 昨年11月にはハマ・オカモト(OKAMOTO’S)とReiが福井県、そして今年の5月にはMIYAVIが奈良県の学校にゲストとして往訪、特別授業を行った。今回はその模様をお届けする。
ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)とReiによるこの日限りのスペシャルセッション、
そして予定外の弾き語りを披露したMIYAVI
創設75周年企画として行われた『Fender 75th Anniversary Charity Project – We Love Music』は、Charが作った同名の曲にフェンダーアーテイストたちが集結し、その音源の収益を音楽教育のために寄付するチャリティプロジェクト。※「WE LOVE MUSIC」の楽曲はこちら
全国から希望する中学校を募り、その中から2校を選出。選出された学校には、フェンダーの楽器を贈呈するだけではなく、音楽教育としてフェンダーゆかりのミュージシャンが学校に赴き特別授業をするというスペシャルな企画だ。
最初の学校に選ばれたのが、JR福井駅から車で30分ほどの場所にある福井県坂井市立丸岡南中学校。応募してくれたのは森山先生という体育の先生で、自身がバンド活動をしていた経験もあり、今も楽器を演奏しているミュージックラバーな先生だ。今回、丸岡南中学校に赴いてくれたのはOKAMOTO’Sのベーシスト、ハマ・オカモトとシンガー・ソングライター/ギタリストのRei。
二人が学校に到着したのは朝の9時。近代的な校舎に魅了されながら“特別授業”の時間を待つ。その特別授業は3時間目と4時間目に体育館で行われることになっていた。対象は全校生徒。3時間目の開始前に体育館に集合する生徒たち。事前に特別授業のことは聞いており、体育館に集合した生徒たちの表情は興奮気味だ。
そして、3時間目開始のチャイムとともに特別授業がスタート。学校の先生、フェンダースタッフからの挨拶を経て司会者が登壇し、早速、ハマ・オカモトとReiを呼び込むと生徒たちから大きな拍手が起きた。
3時間目はトークによる授業だが、まずはステージに並べられたフェンダーを手にし、挨拶代わりに音を出す二人。生徒たちから大きな拍手が起きたのはもちろん、みんな前のめりの姿勢になり、楽器をやっていない生徒たちもあっという間に楽器の魅力に取りつかれた様子だった。
そのまま二人によるトークが展開。楽器を始めたきっかけ、学生時代の音楽の授業について、楽器や音楽が自らの人生に与えた影響などを熱く語る二人。さらに、事前に生徒たちから集められた質問がぶつけられた。ハマ・オカモトはどんな質問にもユーモアを交えて答え、Reiは海外育ちの経験を交えた話で生徒たちを惹きつけた。あっという間にチャイムが鳴り、3時間目のトークは終了となった。
4時間目はいよいよ演奏の時間。まずは生徒たちのバンドが演奏し、ハマ・オカモトとReiがアドバイスを行うというもの。演奏したのは2バンドだが、実は丸岡南中学校には軽音楽部がないため学校で活動するバンドがいない。そのため、今回の授業用に吹奏楽部の生徒たちがバンドを組み、懸命の練習をして演奏を披露してくれた。演奏ではこのプロジェクトで寄贈されたフェンダーのギター、ベースが使用された。
ひと組ごとにハマ・オカモトとReiが感想を語り、演奏のアドバイスをする。第一線のプロの言葉に生徒たちも熱心に耳を傾ける。2バンドともこの日のために結成されたバンドとは思えないほど堂々とした演奏で、ハマもReiも関心しきりだったし、気持ちのこもった演奏に生徒たちからも大きな拍手が惜しみなく送られた。
これだけでは終わらない特別授業。何と、ハマ・オカモトとReiによるこの日限りのスペシャルセッションが用意されていたのだ。演奏したのはロバート・ジョンソンの名曲をクリームがカバーしたことでも有名な「クロスロード」。その圧倒的な演奏力に、知らない曲ながらも演奏に引き込まれていく生徒たち。そして、演奏が終了すると体育館が大きな拍手に包まれた。両先生から生徒たちへメッセージが送られ、この日の特別授業は終了となった。
終了後に生徒たちに感想を聞いたところ、異口同音に「楽しかった」「ライヴがすごかった!」「楽器を始めてみたい!」と興奮冷めやらぬ表情で答えてくれたのが印象的だった。
1校目の訪問から約半年。2校目に選ばれたのは奈良県天理市立福住小中学校。最寄り駅の近鉄天理駅から車で1時間ほどの場所にある、全校生徒合わせて100名ほどの小さな学校だ。今回の特別授業の先生はMIYAVI。今回のプロジェクトに応募してくれた音楽の犬塚先生は偶然にも熱烈なMIYAVIファンということだった。
世界中を飛び回っているMIYAVIだが、音楽のために、楽器のために、子どもたちのためにとオファーを快諾。給食の時間のあとにMIYAVIを迎えての特別授業が行われるということで、給食の時間の校内放送ではMIYAVIの曲が流され、学校中がこの日の特別授業を楽しみにしているのがわかる。
特別授業の1コマ目は体育館で行われた。まずは東京から駆け付けたフェンダーミュージック株式会社 代表取締役社長・アジアパシフィック統括のエドワード・コール氏がユーモアたっぷりの挨拶をし、緊張気味の生徒たちをリラックスさせる。そして、MIYAVIの登場だ。そのオーラの強さに自然と歓声が上がる。1コマ目の授業はトークのみを予定していたが、MIYAVIは壇上に並ぶギターをさっそく鳴らし、生徒たちを惹きつける。トークではギターを始めたきっかけから、UNHCR親善大使に任命された彼だからこそ出来る、世界で起きている戦争を音楽で止められるかもしれないという話をわかりやすく、かつ丁寧に語りかけた。
これだけでも素晴らしい授業だが、急遽、その想いを歌に託し、予定外の弾き語りを披露したMIYAVI。音楽に乗ったメッセージと平和への想いは、小学生にもしっかりと届いたように感じた。
2コマ目の授業は音楽教室で開催された。楽器を弾く生徒たちが集まり、全校を代表したバンドが演奏し、それを見てMIYAVIがアドバイスをするという内容。生徒たちはMIYAVIの前で緊張しながらも、楽しそうに演奏をしてくれた。それを見たMIYAVIは「感想は不要だよね。それよりも一緒に演奏しよう!」と自らもギターを持ち、生徒バンドと一緒に演奏を始めた。笑顔で演奏する生徒バンド。教室にいる他の生徒たちも、まるでライヴハウスに来たように楽しんでいる。
演奏が終わり、生徒たちとハイタッチを交わし、教室を後にしたMIYAVI。まるで魔法にかかったような面持ちの生徒たちは楽器を抱きしめ、この日の特別授業を噛み締めていた。
こうして終了した『Fender 75th Anniversary Charity Project- We Love Music』。子どもたちに楽器という羽を与えた今回のプロジェクト。このプロジェクトを目撃した子どもたちの中から、5年後、10年後、20年後に音楽という無限の空を飛ぶ鳥たちがいることは間違いないだろう。
2022年11月18日(金)福井県坂井市立丸岡南中学校
2023年5月30日(火)奈良県天理市立福住小中学校