Fender Flagship Tokyo Special Event with Char & Erino Yumiki

フェンダーの世界初の旗艦店として、連日多くの人々が訪れているFender Flagship Tokyo。8月20日には、〈Fender Flagship Tokyo Special Event with Char & Erino Yumiki〉と題したCharと弓木英梨乃というギター好きには夢のような対談が実現。その模様をレポートする。

フェンダーとともにキャリアを歩んできた二人によるボーダレスな共演

Charと弓木英梨乃という、ともに日本を代表するギタリストだが、実はこの日が初対面だという。「チケットを買ってCharさんのライヴを観に行っていたので、こうしてお話ができるのは光栄ですが、とっても緊張します」という弓木の言葉からイベントはスタート。

まずは、近況を語る二人。Charは7月31日に発売されたニューアルバム『SOLILOQUY』についてユーモラスに語り、会場に集まったオーディエンスを笑わせ会場を和ませる。弓木は9月25日から3期がスタートするNHK Eテレのアニメ『チキップダンサーズ』の主題歌「ボーン! ボーン! ボーン!」の制作、ナレーションも担当していてその話をしてくれたが、トークのバックでCharがギターでBGMをつけるというサービスをしてくれて、弓木も緊張がほぐれたようで最初から楽しいトークを聞かせてくれた。


続いては、フェンダーとの出会いがテーマ。弓木は「ギターを始めたのが中学1年生の終わり頃でした。父がたくさんギターを持っていたので、クラプトンみたいな黒いストラトを父がくれて、最初はそれを弾いていたのですが黒いのが退屈で(笑)。自分で塗ったり、阪神のシール貼ったり、変な絵を描いたりして、それが最初のフェンダーです」と出会いを語り、またフェンダーのギターに対しては「レコードで聴いていた憧れのギターの音が鳴るなって思います。とにかく弾きやすくて音もいいし、自分の力を最大限引き出してくれるギターですね」と語ってくれた。

Charは「本物のフェンダーを見たのは小学生の頃。銀座の楽器屋でショーケースに入っているのを見たの。今みたいに楽器に触らせてくれる時代じゃなかったので、“これがストラトか”と思ったよ。その中に64年製のMustang®️が出てて。その時、たぶんストラトが22〜23万円でムスタングが19〜21万円。ストラトだとお年玉500年分、ムスタングだったら460年分ぐらいで買えるなって。つまり、絶対に自分で買えるものだとは思わなかったよ」と懐かしそうに語ってくれた。

そんな風に出会ったフェンダーとともにギタリストのキャリアを歩んできた二人が、こうして世界初の旗艦店、Fender Flagship Tokyoで初めて会話を重ねていると思うと、ギターやフェンダーは単に音を出すだけの楽器ではないと改めて思ってしまう。


この日、もちろん二人はフェンダーのギターを持って登壇。弓木はAmerican Acoustasonic® Jazzmaster®。Acoustasonicはストラト、テレキャス、ジャスマスターの展開があるが、ジャスマスターを選んだ理由を「全機種を弾いてみて、アコギの時の音色とエレキの時の音色の振り幅が一番大きい」と語りながら、実際に弾いてオーディエンスに聴かせた。うなずくオーディエンスたち。

「同じジャズマスをいろいろと弾かせてもらったんですけど、この個体が一番エレキの音が良くて。これ一本でアコギでジャカジャカ弾いて、バッキングして、いきなりソロでエレキを弾いたり、ライヴで一番使えるなと思ったのでジャズマスにしました」と言うと、エレキモードで強烈な音を出しオーディエンスを沸かせた。

Charは自身のChar Mustangについて「64年に初めてムスタングと出会ってから50年くらい経っているのかな。それからずっとムスタングを使ってきて。オリジナルのムスタングは、いいところもあり弱いところもあって、一番の問題はチューニングだったんですけど、俺はそこも好きだったんです。このChar Mustangはチューニングが狂いにくい。それとストラトのユニットが付いているので、ピックアップは変わらないのにストラトっぽい音が出るんですよ。ムスタングで一番俺が弱いと思っているところは低音なの。でも、このChar Mustangは低音もちゃんと出るんですよ。ストラトで作った曲とムスタングで作った曲があって、ギターを持ち替えるのが面倒臭いんだけど、Char Mustangだと一本でいけちゃう」と説明し、Char Mustangの音をオーディエンスに聴かせた。

さらに「もともとムスタングっていうのはスチューデントモデルと言って、若い子のために作ったモデルだからボディが小さいんですよ。だから女性にはちょうどいいんじゃないかな。交換しよう」と言うと、弓木のアコスタと交換。弓木がChar Mustangを弾き、思わず「うわー、弾きやすい!」と感嘆の声を上げると、CharがAmerican Acoustasonic Jazzmasterを弾きはじめ自然とセッションタイムに突入。


5分ほどのセッションの後、ギターをもとに戻すと再びセッション。実に楽しそうにセッションをする二人。セッションが終わり、オーディエンスから大きな拍手が送られると弓木は「まさかこんな日が来るなんて。ギターを続けてきて良かったなって思いました。友達がいっぱいできたり、いろいろな場所に行けたり、美味しいものを食べられたり。ギターを弾いてきて良かったなと思います。そして、こんな日が来てすごく嬉しいなって。緊張したけど、すごく楽しかったです。ありがとうございました」とビッグスマイルでこの日のイベントの感想を語った。

締めはChar。「ギターを持つと、男とか女とか年齢とか関係なく、持った瞬間に同じギタリストって感じがする。最終的には17歳ぐらいに戻ってしまうね。だから不思議な楽器だなと思って。エレキって“こうじゃなきゃいけない”っていうのがないんだよね。今日Cコードを覚えて、次の日にGコードを覚える。これでもう曲ができちゃうから。二つしかコードを弾けないのに、コンポーザーになれて作詞作曲ができて、印税が入ってお金持ちになれます。変な株を買うよりもギターを買ってください(笑)」と再びオーディエンスを笑わせた。

ステージから降りる二人に、オーディエンスからいつまでも大きな拍手が送られていた。



リリース情報

『SOLILOQUY』2023年7月31日発売
品番:ZRSY-01
価格:3,000円(税込)
収録曲
1. JEFF -SOLILOQUY-
2. BLUE WIND
3. GOJIMADE MATENAI
4. STRA-POLE -PAGE 12-
5. BEYOND THE BEYOND
6. INFANT ELEPHANT
7. MICCA BOZER
8. MY FAVORITE THING
9. VOYAGE
10. KINDESALTER
11. WHEN YOU WISH UPON A STAR
12. I FEEL FREE
https://www.zicca.net/soliloquy/

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