チョーキューメイ ワンマンライヴ「超新星は教えてくれる」

「貴方の恋人になりたい」のバイラルヒットによって人気上昇中の四人組バンド、チョーキューメイが12月24日、渋谷WWWでワンマンライヴを開催。現在のバンドの勢いを物語るように見事ソールドアウトで迎えたそのライヴは、バンド史上最大のワンマンライヴのキャパであることに加え、歌詞や映像を映しながらのパフォーマンスやギターの持ち替えといった初挑戦の機会ともなった。2時間を超えたその熱演の模様を、この日、誕生日だったという麗(Vo,Gt,Violin)のギタープレイに注目しながらレポートする。

演奏に共鳴するかのように、しっかりと鳴るVintera II 50s Jazzmaster

れんぴ(E,Pf)が鳴らす跳ねるコードをはじめ、歯切れのいいリズムを持つポップナンバー「眠れる姫」からライヴはスタートした。タイトにリズムを刻む藤井ごん(Ba)のピッキングとは対照的に、手数の多いプレイで演奏をリードする空閑興一郎(Dr)のドラミングとともに麗(Vo,Gt,Violin)はアコースティックギターをかき鳴らしながら奔放な歌声の魅力をアピールしていく。

「チョーキューメイです! よろしくお願いします!」(麗)

エネルギッシュなバンドの演奏に応え、観客が手を振りはじめた「She Side Blue」から「たいむかぷせる」「おやすみパパママ」とつなげていったところで、早くも一つ目のクライマックスが訪れた。

麗がイントロでトラッドフォーキーなバイオリンを奏でるその「おやすみパパママ」は、ライヴバンドとしてのチョーキューメイのポテンシャルをアピールするプログレッシブロックナンバー。長尺のインストパートを持つドラマチックな展開と、四人が繰り広げるエキセントリックな演奏が観客を釘付けにする。

ミュートしたコードをかき鳴らしながらバッキングに徹している麗がこの曲で弾いているのは、新たに導入したフェンダーのVintera II 50s Jazzmasterだ。目に鮮やかなDesert Sandのボディと、照明に映える金色のピックガードというルックスもさることながら、厚みのあるカッティングの音色と伸びやかなコードの響きが手数の多い他の三人の演奏に埋もれることなく、しっかりと鳴っているところに何よりもギターとしての魅力が感じられる。

「早いうちから今日ここに来ることを決めてくれてありがとう!」(麗)

1年前に渋谷WWWワンマン公演を企画した時は、正直、このキャパを埋めるなんて無理だと思い、麗曰く「正直、チキッてた(ビビってた)」という。しかし、蓋を開けてみれば、公演の4カ月前にチケットはソールドアウト。改めて、バンドの人気急上昇を印象づけてみせた。

Vintera II 50s Jazzmasterをメイン機のHighway One Telecaster(3-Color Sunburst、以下:Telecaster)に持ち替え、歪ませたコードをかき鳴らした「PRIDE」から、れんぴのジャジーなピアノでつなげた「ただいま」、麗が精一杯のシャウトで観客を揺らした「37.2」、ミドルテンポの壮大な曲調で序盤以上の盛り上がりを作った「リンカーネション」の4曲では、コードのパワフルな鳴りを響かせ、Telecasterならではの魅力をアピールする。

「チョーキューメイは2023年になってから、あることをきっかけにいろいろな人に聴いてもらえるようになりました。けれども、その中で忘れちゃいけないと思うことがあって、音楽を始めた最初の気持ち…やってやるとか、誰にも負けたくないとか、そういう気持ちを強く持っていた時のことを思い出す必要がある。初心に戻りたいと思うことがありました」

麗がそんなふうに大きな転機を迎えつつある自分たちの現在の心境を語ってから演奏したのは、高校生の時に作ってからバンドでは一回もライヴで演奏したことがないという「狩人」だ。空を自由に駆け巡るイメージで作ったというこの曲を、麗がアコースティクギター、れんぴがシンバル、藤井がスレイベル、チャフチャス、トライアングル、空閑がジャンベを奏でるアコースティックセットで披露。トラッドフォークともフォルクローレとも言える演奏は、麗の歌声に三人が重ねるハーモニーも含め、クリスマスイブに開催したスペシャルなライヴの見どころの一つだったと言えるだろう。

Telecasterでアルペジオを奏で、メランコリックなロックサウンドの中で一本一本の弦の鳴りをしっかりと伝えた「promise you」以降の後半戦。ノスタルジックなバラードの「また、夏になる」、ハイトーンの歌声の魅力をアピールしたポップソングで、現在TVアニメ『ゆびさきと恋々』のエンディングテーマとして起用されている「snowspring」とバンドが持つレパートリーの振り幅を印象づけつつ、客席を沸せたのはやはりストレートにキュートなポップソング「貴方の恋人になりたい」だ。跳ねるピアノとオリエンタルなメロディの組み合わせの心地良さを考えれば、国内のみならず、アジア各国でバイラルヒットになったことも頷けるが、面白いことにこの日、麗が客席に問いかけたところ、同曲をきっかけにチョーキューメイの存在を知ったという観客が思ったほど多くなかったことだ。

つまり、「貴方の恋人になりたい」もさることながら、それだけに頼らずにチョーキューメイは精力的にライヴ活動を通して、地道に動員を増やしながら、知名度を上げてきたということだろう。

その矜持をアピールしたのが、アーバンなポップソングの「心を照らせ!」からつなげたダンサブルな「故のLOVE」。“もっとラブリーな曲があります!”と同曲を紹介した麗の言葉から、チョーキューメイは「貴方の恋人になりたい」だけのバンドじゃないという思いを聴き取った観客は少なくなかったはずだ。

そして、本編最後を締めくくったのは、願いは叶えるものだというヒリヒリとした感情をたたみかけるように歌ったロックナンバーの「十三月の銀河」。「心を照らせ!」から麗は再びVintera II 50s Jazzmasterを手にしていたが、この「十三月の銀河」ではコードの鳴らし方なのか、アンプなのか、ギターなのかわからないが、伸びやかに鳴らしたクリーントーンのコードに後から加わる歪みに、この歪みの乗り方はすごいとそのインパクトにびっくりさせられた。

“あっという間だった。楽しかった”とメンバーそれぞれに異口同音にこの日のライヴの感想を語ってからアンコールの一曲目に演奏した「孵卵」は、麗がギターを持たずに両手を翻しながら歌った人力レイブとも高速ファンクとも言えるダンスナンバーだったが、“もう一曲歌いたい曲があります!”と最後に披露したアップテンポのギターロックナンバー「涙と羽根のピアス」では、Telecasterでクリーントーンのコードをかき鳴らした。

「この曲を作って、この四人じゃなきゃ届けられない曲があることがわかった。これからもこの四人で音楽を作っていきます!」(麗)

そんな新たな決意とともにタイトな演奏が駆け抜けていった。そして、パワフルなTelecasterの音色は、全然歪みは必要ないと思わせるほどの存在感を最後の最後にアピールしたのだった。


【SET LIST】
1. 眠れる姫
2. She Side Blue
3. たいむかぷせる
4. おやすみパパママ
5. PRIDE
6. ただいま
7. 37.2
8. リンカーネーション
9. 狩人
10. promise you
11. また、夏になる
12. ユウ
13. snowspring
14. ジングルベル(カバー)
15. 君は一人だ
16. 貴方の恋人になりたい
17. 心を照らせ!
18. 故のLOVE
19. 十三月の銀河

ENCORE
1. 孵卵
2. 涙と羽根のピアス


●リリース情報
New Single『promise you』(神宮前レコード)
初回限定盤(CD+DVD) POCE-92157 / ¥4,400(税込)
通常盤(CD) POCE-12201 / ¥1,100 (税込)
配信リンク:https://choqmay.lnk.to/promiseyou

Digital Single 『snowspring』(神宮前レコード)
TVアニメ「ゆびさきと恋々」エンディングテーマ
配信リンク:https://choqmay.lnk.to/snowspring

●公演情報
「超新星は教えてくれる」追加公演「銀河、離れ離れにならないで」ツアー
2024年2月3日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
【愛知】 名古屋ell.SIZE(ワンマン)
2024年2月4日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
【大阪】 心斎橋Live House Pangea(ワンマン)
2024年2月17日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
【宮城】 仙台MACANA(※ゲストバンド:神聖かまってちゃん)
2024年3月1日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
【東京】 渋谷Spotify O-crest(ワンマン)

チョーキューメイ オフィシャルサイト:https://choqmay-official.com/

Related posts