Cover Artist | Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION) -後編-

フェンダーハ本人ガ思ッテイル以上ニ、自分ノ個性ヲ引キ出シテクレル

1980代後期〜90年代のオルタナロックやミクスチャーを土台に、モダンなサウンドや極上のメロディを奏でる5人組バンドMAN WITH A MISSIONから、ギター/ヴォーカル/ラップ担当のJean-Ken JohnnyがFenderNewsのCover Artistに登場。インタビュー後編では、彼の相棒として長年愛用しているフェンダーギターという存在について、そして未来のバンドマン、ギタリストたちへアドバイスをもらった。(※本文は翻訳した記事を掲載しています)

フェンダーハ他ノ楽器ト比ベテモ明ラカニ尖ッテイル音

──バンド結成当時からフェンダーのギターを使っていたのですか?

Jean-Ken Johnny(以下:Johnny) 当初は他社のギターを使っていました。ただ、初めて手に取ったのはフェンダーのギターでした。

──最初に手にとったギターがフェンダーだったのは偶然?

Johnny はい、偶然です。これをフェンダーさんのインタビューで言うのもどうかと思うんですけど、ストラトが捨ててあったんですよ(笑)。メイプル指板のいいやつでした。僕はそこで初めてギターを触ることになるんですけど、Stratocasterってよく聞くギターだと思って(笑)。

──そんなものが落ちていていいのか?って感じでしたか(笑)。

Johnny はい。で、アンプにつないだら“音鳴るじゃん”と。カート・コバーン(ニルヴァーナ)、J・マスシス(ダイナソーJr.)、ケヴィン・シールズ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)、サーストン・ムーア(ソニック・ユース)。当時、聴いていたバンドの写真とか映像を見るとフェンダーのギターを使っているわけですよ。自分が聴いていた音楽がフェンダーに直結していたから、“このエモーションを出すにはやっぱりこのギターだ!”みたいな憧れで、自分の中で勝手にギタリスト像が出来上がっていました。もし使うのであれば、フェンダーのギターが似合うアーティストになりたいなと。

──拾ったストラトはしばらく使っていたんですか?

Johnny 使っていました。でも周りから言われるじゃないですか。“お前、捨てられていたギターを使うのは良くないんじゃないか?”って(笑)。その後、いろいろな音楽を聴いていく中でJazzmasterに傾倒していきましたね。

──今はフェンダーを愛用してくださっていますが、ずばりフェンダーギターの魅力は?

Johnny 僕が抱いていたイメージのままです。自分だけじゃなく、フェンダーを使っているアーティストさんはみんなそう思っている気がします。フェンダーは本人が思っている以上に、自分の個性を引き出してくれる楽器のような気がするんです。フェンダーは他の楽器と比べても明らかに尖っている音なんですよね。ジミヘンやクラプトンといったレジェンドもいれば、僕がファンだった90年代のアーティストも、エフェクターの力を借りながらフェンダーギターで個性的な音を出している。万能でありながらずっとギターの象徴であるのは、圧倒的な個性が人間と共鳴しているからだと思います。

自分タチガ信ジル音楽ヲ鳴ラシ、新シイ世界ヲ作リ上ゲテイッテホシイ

──MAN WITH A MISSIONは来年15周年ですが、Johnnyさんは多くの曲を書いてきたしメディア対応もやっています。スランプはないんですか?

Johnny スランプは本人がどう定義するかによって変わると思うんですけど、たった15年間でも思うようにいかないことは多々ありました。こういうことがやりたいのにできない、表現しきれていない。曲を書く側は、はみ出ることを多少なりとも目指すのですが、どこかでバランスを取ってしまってせっかく良いものが削がれてしまう場面があるんです。それをハンドリングしすぎると本末転倒になってしまうことがあって、それはおそらくこの先もずっと悩むことなのかなと思います。

──時間を重ねるとどうしてもこなれていくじゃないですか。それと初期衝動を共存させていくことは簡単なことじゃないと思うんです。

Johnny 月並みな回答になってしまうけど、結局のところ、どれだけ音楽を好きになれるかどうかだと思うんですよね。自分たちが作り出す音楽というよりも、音楽そのものをどれだけ好きになれるかどうか。それは決して新しい音楽だけじゃなくて、古い音楽をもう一度掘り返して聴いたり探ったりすると、気づいていなかった愛に気づかされる時も多々あります。新しい音楽を作るためとか、ライヴの動員を増やすとか数字的な目標を掲げるよりも、どれだけその音楽が好きでいられるかに尽きる気がしますね。

──バンドの近況は?

Johnny ヨーロッパツアーを終えて帰ってきたところで、このあと友達のバンドのフェスなどに出させていただきつつ、そのあとはアジア公演ですね。中国、韓国、台湾のフェスに参加させていただいて、今年は一旦おしまいです。来年、もしかしたら全国ツアーがなされるかもしれない。

──バンドとしての今後のビジョンや目標は?

Johnny 具体的なものはなくて…それこそ15年前から一つもなかったんです(笑)。こればかりはいつまで経ってもぼやけているんですよね。1万人の前でやりたい、5万人の前でやりたいって数字で言うのは簡単ですが、数字以上のイメージは自分の中で勝手に出来上がっているんですよね。それをただひたすら追いかけるのが唯一の原動力なのかなと思います。最終目標を決めちゃうと、そこだけに向かってしまう気がして。そうではなくて、何かを夢見るのが純然たる原動力として存在してくれればやっていけるなって、15年前からずっと思っていました。例えば〈グラストンベリー・フェスティバル〉みたいな海外フェスって、一番ボーダレスな瞬間だと思うんです。ヘッドライナーを務めるようなバンドを見た時に、もうどこの国から来たとか関係なくごったになる、あのボーダーレスな感じがものすごく好きで。そういった場面を生んでくれるのは、唯一ではないけど音楽だと思うんですよね。 そういう音楽を作りたいっていう漠然たる思いが昔からあります。それが唯一じゃないかもしれないけど、動機の真っ先に来るものなのかな。

──夢を追い続けるのって素敵ですよね。そんな夢を抱いている若いバンドマンにメッセージをお願いします。

Johnny 自分たちがやっている音楽があまり受け入れられない、そういう場面っていくらでも目の当たりにすると思います。でも不思議なことに、年を重ねれば重ねるほど自分が信じたものが絶対的なものだったって気づかされる場面がいっぱいあります。バンドというものを選んでくれたことに感謝したいですし、僕らも同志です。そのまま突き進んで、自分たちが生きている時代で自分たちが信じる音楽を鳴らし、新しい世界を作り上げていってほしいなと思います。

──最後に、これからギターを始めようとしている人たちにアドバイスお願いします。

Johnny 僕自身も、この楽器に魅了された単なる音楽小僧だったんです。ギター自体が、ロック史において代えがたい発明の一つだと思うんですよ。ギターに限らず、音楽はゼロから新しいものを生み出せる偉大さがあります。同時に、1でも10でもいいけど、それを継承しつつ増幅させて新たなものを作ることもできる。あと、ロック史を辿れる楽器ってそうそうないと思うんです。できるだけ多くの音楽を聴いて、新しい扉を開いて、たまに振り返ってみて、とにかく好きになってほしいですね。ロックというものを、バンドというものを、そしてギターというものを。

Player II Jaguar(Aquatone Blue)

>> 前編はこちら

ジャケット ¥59,400-(税込)、パンツ ¥35,200-(税込)/F IS FOR FENDER(エフ イズ フォー フェンダー) ギター ¥108,900-(税込)/Fender(フェンダー)


Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)
頭がオオカミで身体が人間という“5匹”組ロックバンド、MAN WITH A MISSIONのギター、ヴォーカル、ラップ担当。2010年よりバンドを本格始動し、同年11月に 1stミニアルバム『WELCOME TO THE NEW WORLD』を発表。2011年6月、アルバム『MAN WITH A MISSION』でメジャーデビュー。その後、数多くの夏フェスに出演し注目を集め、2012年7月にはフランスで行われた〈JAPAN EXPO 2012〉に出演する。2013年には初の日本武道館公演、初の横浜アリーナ単独ライヴを敢行。その後、全米、ヨーロッパツアーも積極的に行うなど活動はワールドワイドに拡大。2015年1月に活動5周年を記念したアルバム『5 Years 5 Wolves 5 Souls』を発表。2016年にはアルバム『The World’s On Fire』を発表。2017年1月にはFall Out BoyのPartick Stumpと共作し、シングル『Dead End in Tokyo』をリリース。
https://www.mwamjapan.info

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