L’Arc-en-Ciel LIVE 2025 hyde BIRTHDAY CELEBRATION -hyde誕生祭-
1月18日、19日に東京ドームで開催された〈L’Arc-en-Ciel LIVE 2025 hyde BIRTHDAY CELEBRATION -hyde誕生祭-〉。1月29日に誕生日を迎えたhyde(Vo)がセットリスト、演出、オフィシャルグッズなど、さまざまな要素のトータルプロデュースを手掛けた2daysライヴとなった。このレポートでは、19日の公演で3本のStratocasterを使用したken(Gt)に焦点を絞ってお届けする。
kenを支える相棒として君臨し続ける珠玉のStratocasterたち
L’Arc-en-Cielが東京ドームでライヴを開催するのは約2年半ぶり。5万人の観客で埋め尽くされた会場内には、開演前から期待に満ちたムードが渦巻いていた。スタートを告げるムービーが流れたあと、鮮烈に響き渡った「DRINK IT DOWN」のイントロ。オープニングを飾ったこの曲では、最近ではお馴染みのプロトタイプのStratocaster(以下:Stratocaster HH Prototype)が使用された。ボディにダイレクトマウントされたフロントピックアップ&リアピックアップ、フィッシュマン製のハムバッカーFluence、アームレスのハードテイルブリッジなど、パワフルなサウンドに適した仕様が目を引く。2曲目「X X X」と3曲目「CHASE」でも芯の太い豊かなディストーションサウンドを放った本機は、強い光を浴びながら、伝統工芸品の漆塗りを彷彿とさせる光沢をきらめかせていた。
メインギターとしてお馴染みのKen Stratocaster Experiment #1も大活躍。4曲目「fate」以降、「花葬」「浸食 -lose control-」「EVERLASTING」「forbidden lover」で連続して使用されたことが示す通り、クリーントーンのアルペジオや空間系のエフェクトをかけたサウンドが抜群にフィットするのがこのギターだ。そして、クランチサウンドやアーミングプレイでも魅力を発揮する。メロディと歌を彩る多彩なニュアンスを表現する際に、kenが圧倒的な信頼を置いているのを改めて感じた。そしてStratocaster HH Prototypeと同様、ステージが似合うギターでもある。金継ぎを施した陶器をイメージしたオリジナルホワイトのボディ&マッチングヘッド、エルボーコンターのゴールド塗装、ゴールドのハードウェア、kenが彫刻を施したSHINING HEARTが美しい。低音域から中音域にかけてのバランスの良い響きを引き出すアルダーボディ&メイプルネック、太目に仕上げられたネックグリップ、ボディに直付けにされたピックアップ、リアとフロントをミックスできるピックアップバランサーなど、膨大な試行錯誤を経て辿り着いた仕様を満載したこのStratocasterは、kenを支える1本としてこれからも君臨し続けるだろう。
Stratocaster HH Prototypeで骨太なリフを刻み、花道へと躍り出た際には華麗なソロを奏でた「接吻」を経て、「In the Air」からは再びKen Stratocaster Experiment #1が活躍。「the Fourth Avenue Café」「metropolis」「get out from the shell」「HONEY」「いばらの涙」「Shout at the Devil」が続けて披露されたあと、メンバーが一旦バックステージに戻ったインターバルで、“ウェーブが見たいなあ。”という文字がスクリーンに浮かび上がる。それに応えた観客のウェーブが広大な客席エリアを何度も巡った風景は、スタジアムライヴならではの醍醐味を感じさせてくれた。
インターバルが明けると、4人がセンターステージに集結。ここでの3曲で使用されたギターは、Ken Stratocaster Paisley Fantasy。2016年にFender Custom Shopのマスタービルダー、グレッグ・フェスラーにより制作されたこのStratocasterのボディとヘッドには、Fender Custom Shopのカスタムペインターとして活動するミルウォーキー出身の女性ペイントアーティスト、サラ・ギャレンバーガーが描いたペイズリー模様が施されている。
センターステージでの1曲目「真実と幻想と」では、kenにレアなハプニングが起こった。ピックを弦の間に挟んだままにしていたらしく、イントロのギターの入りの箇所で音が詰まってしまったのだ。しかし演奏をストップさせずに自然な形でリカバリー。予想外のハプニングが、曲を彩るスリリングなエッセンスに転じられていた。続いて「ALONE EN LA VIDA」も披露されたあと、会場内に鳴り響いたオーケストラアレンジの「Happy Birthday to You」。その音に合わせて歌った5万人の観客は、クラッカーを一斉に打ち鳴らして、誕生祭ならではの温かな空間を作り上げた。そして、センターステージでの4人の演奏を締めくくったのは「雪の足跡」。ギターの表面を彩るペイズリーの幻想的な佇まいによって、清らかなメロディの魅力が倍増しているように感じた。
メンバー同士の和やかな会話が繰り広げられる場面もあったMCタイムを経て、ライヴは佳境へ突入。「YOU GOTTA RUN」でStratocaster HH Prototypeを手にして熱いサウンドを躍動させたkenは、「Caress of Venus」では花道を歩きながらプレイ。観客の力強い歌声が加わった「READY STEADY GO」では、華麗なギターソロが盛り上がりを加速。そしてラストの曲「あなた」では、Ken Stratocaster Experiment #1が再登場した。クリーンサウンド、ロングトーンが神々しかったことが思い出される。間もなく35周年を迎えるL’Arc-en-Cielの軌跡の中でたくさんの人々の心を震わせ、ギターを奏でる喜びを伝えてきたのがkenだ。ギターヒーローとしての姿を堂々と示した東京ドーム公演だった。
【SET LIST】
1. DRINK IT DOWN
2. X X X
3. CHASE
4. fate
5. 花葬
6. 浸食 -lose control-
7. EVERLASTING
8. forbidden lover
9. 接吻
10. In the Air
11. the Fourth Avenue Café
12. metropolis
13. get out from the shell
14. HONEY
15. いばらの涙
16. Shout at the Devil
17. 真実と幻想と
18. ALONE EN LA VIDA
19. 雪の足跡
20. YOU GOTTA RUN
21. Caress of Venus
22. READY STEADY GO
23. あなた
L’Arc-en-Ciel : www.LArc-en-Ciel.com/