Fender Workshop -Acoustic Guitars-(東京会場)

2022年12月24日(土)渋谷・池部楽器店イケシブLIVESにて〈Fender Workshop -Acoustic Guitars-〉が開催された。一週間前に福岡の松田楽器でも行われたこのワークショップは、アーティストの体験談を交えながら、楽器の選び方やフェンダーのアコースティックギターの魅力を伝えるもの。アーティストサポートプログラム『Fender NEXT 2022』の日本代表に選ばれたシンガーソングライター、Anlyをゲストに迎えたイベントの模様をレポート。

約1時間、Anlyサウンドの秘訣を惜しみなく披露

フェンダーというとエレキギターのイメージが強いかもしれないが、アコースティックギターも60年代から歴史がある。伝統と革新を両立するフェンダーのアコギの魅力や実践的な内容をお届けするのがこのワークショップで、クリスマスイブに行われた今回は厳選なる抽選で選ばれた観客が渋谷に集まり、ライヴ配信も行われた。

Anlyが登場すると、会場には大きな拍手が沸き起こる。冒頭で彼女は「私はけっこう簡単なことしかしていなくて。今回は“こうやってうまく見せてますよ”っていうのを伝授できたらなと。あまり教えたくないけど(笑)」と、意気込みを見せた。

トークパートでは、まずギターを始めた当時のことを振り返る。小さい頃は父親に買ってもらったギターが遊び相手だったというAnly。「父には最初にコードを教えてもらって、あとはもっと教えてほしいなって思いながら父の部屋の近くでギターを弾いてみるけど出てこない、みたいな(笑)。いっぱい教えてもらったというよりも、背中を見ていた感じでした」と語った。

アコギ選びではまずルックスを重視するそうで、色や形がフィットするギターを見つけたのち、生音とアンプから出力した音、自分が好きなコードを弾いたときの響きや高音~低音のバランスを確認するという。

続いて、ステージに用意された3種類のCalifornia Series™を奏で、インプレッションを伝える。Malibu Playerは「小さいわりに鳴るんですね。曲作りによさそうなサイズ感だし、弾きやすくてこれから初める方にもおすすめ」と、プレイアビリティの高さやハイポジションのチューニングの安定感に言及。Newporter Playerは「ちょっと(音が)太くなった感じ。ネックも握りやすい」と、Cシェイプネックやカラーリングの魅力について紹介。Redondo Playerは「重すぎなくて、軽やかな感じ(の音)」と、ボディが大きめながらも弾きやすいと述べた。

さらに、1本でアコギとエレキ両方のサウンドを楽しめるAcoustasonic®シリーズを演奏。American Acoustasonic® Jazzmaster®は彼女自身も愛用していて、音を鳴らしながら「本来ならアコースティックギター、エレキギターを持ち替えなくてはならないところを、手元の操作で簡単に音色を変えることができる。画期的です!」と絶賛する。

その後はライヴコーナーに突入。この日に先立って福岡の松田楽器で行われた際と同様に、1曲目はNewporter Player(Ice Blue Satin)を手に「カラノココロ」を弾き語りし、歯切れが良く粒立ちのよいサウンドが楽曲を爽快に彩る。「CRAZY WORLD」「IDENTITY」ではAcoustasonicとループペダルを使用し、Anlyが解説しながらトラックを作るという“生・副音声つき”の実演を披露。

ループペダルとは音を録音してループ再生できる機材で、一人でもバンドのような多彩なサウンドでの演奏が可能になる。Anlyのプレイに欠かせないアイテムだ。彼女は1トラックにリズム(ボディを叩く音)やベース音、2トラックにストロークやリフ、3トラックにコーラスとして自身の声を録音している。同じフレーズでも音程や奏法を変えて弾いたり、単音で味付けを加えたりと、緻密に音を重ねていく。幅広い音色を鳴らせるAcoustasonicがあれば、より重層的なアンサンブルが構築できるというのもポイントだろう。Anlyの鮮やかなループさばきに観客は息をのんでいた。

最後は質問コーナー。基礎練習に関する質問では、Cメジャースケールを使った指慣らしの方法やメトロノームでリズム感を養う方法を紹介。また、「単音弾きが苦手」という悩みには「ピックで単音を弾くことに対しての苦手意識ってあると思うんですよ。私もあるし。でも“間違ったとて”と思ったほうがいいです。間違ったくらいで今日や明日が終わるわけじゃないし、ちょっと間違っても大丈夫でしょって気持ちをまず作る」と述べた。

「自身の作品で弾きやすい曲を教えてほしい」という問いには、「意外とどんなコードでも歌は歌えるんです」「私の曲は、自分の弾けるコードで歌ってくださいってスタンスです」と言い、カポタストを使った演奏方法などを紹介。その後、Fコードをセーハを使わず簡単に鳴らす方法も伝授する。質問者と真摯に向き合い、優しく背中を押すようにアドバイスする姿が印象的だった。

約1時間、Anlyサウンドの秘訣を惜しみなく披露してくれた彼女。「皆さんが音楽に関わる中でちょっとでも壁が崩れたらいいなとか、ちょっとでも楽しい時間が増えたら人生が豊かになるんじゃないかなと思っていて。私なりに思ったことをお伝えできたと思います。今後とも一緒に楽しんでいきましょう」とメッセージを贈った。Anlyがこの日伝えたことは、来場者や配信視聴者にとって最高のクリスマスプレゼントとなったことだろう。


店舗情報
(株)池部楽器店 旗艦店「イケシブ(IKEBE SHIBUYA)」
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-7-4 渋谷スクエアB
TEL 03-6433-7984
通常営業時間 11:00~20:00
https://www.ikeshibu.com/

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