
Cover Artist | Nakajin(SEKAI NO OWARI) -後編-
プレイする喜びがある限り、人はギターを弾くのをやめない
メジャーデビュー15周年を迎えても、SEKAI NO OWARIの挑戦は続いている。バンドでもソロでも制作を重ねるNakajinは、新しい音楽との出会いを楽しみながら、ギターならではの表現を追い求めてきた。インタビュー後編では、白いStratocasterがレコーディングでも選ばれたエピソードから、自らの手で弦を弾いて音を生み出す喜び、そしてギターが与えてくれた自信と経験までを聞いた。
毎日たくさんの刺激があるのは、すごく幸せだと思っています
──ドームツアーを終えた今、バンドやご自身の音楽活動はどんな状態ですか?
Nakajin バンドで制作している新曲もいくつかありますし、僕個人でもエレクトロミュージックの曲を作っています(2025年からソロ活動を本格的に開始)。メジャーデビュー15周年を迎えましたけど、メンバーもスタッフもそれぞれに向上心を持っていて、いまだにやっていてワクワクするチームなんですよね。みんなから出てくるアイデアがすごく面白いし、そういう環境ってめちゃくちゃありがたいなと思って活動しています。
僕がただのリスナーだった頃、15周年のバンドというと、ちょっと落ち着いてくるようなイメージがあったと思うんです。でも、僕たちは一向に落ち着くところがなくて(笑)。いまだにどんどんチャレンジングなことが出てきて、毎日が新鮮です。来年、再来年の話もしていますし、すごくポジティブに考えていますね。
──ご自身の興味の幅も、意識的に広げているのでしょうか。
Nakajin 意識的な部分もありますけど、好きでやっているんですよね。新しい音楽ってこんなにたくさん出てくるんだなと、自分でも驚いています。新しく出てくるアーティストや音楽にワクワクできるのは、自分の状態も良くないとできないことだと思うし、そこはありがたいですね。今は手軽に情報を調べられますが、SNSのおすすめって自分の好みだけで固められがちでもあると思うんです。その中で新しいものに出会うことは、実はそんなに簡単じゃない気もしていて。それでも毎日たくさんの刺激があるのは、すごく幸せだと思っています。
──今回のDavid Brown Masterbuilt 1963 Stratocaster Relic Aged Olympic Whiteは、すでにレコーディングでも使っているそうですね。
Nakajin ドームツアーの合間だったと思うんですけど、「Supermarket」(日本テレビ系水曜ドラマ『メリーベリーラブ』メインテーマ)という曲のレコーディングがあって、そこでも使っています。いつもレコーディングでは、持っているギターの中からその曲に合いそうなものを4〜5本用意して、一旦全部当ててみるんです。それをメンバーみんなで聴いて、どれが良かったか決めるんですけど、今回はこのギターが“コンペ”で圧勝して(笑)、“やっぱりな”と思いました。自分が好きな音を、メンバーにもいいと認めてもらえたので、これからも各方面で大活躍してくれるはずです。今までみたいにコロコロ持ち替えなくても、こいつだったらいける気がしていて。〈SEKAI NO OWARI DOME TOUR 2026「THE CINEMA」〉では白い楽器というコンセプトがありましたけど、音でも一切妥協していなかったので、今後もめちゃくちゃ使っていくギターになると思います。
ギターは自信を持たせてくれた恩人のような存在
──さまざまな音をコンピューターで作れる今、ギターに求める表現はどんなものですか?
Nakajin ソフト音源やAIで音を作れる時代ですけど、ギターの生々しさを表現するのはすごく難しいと僕は思っています。他のプロデューサーたちと話していても、ギターはデジタルで再現しにくいという話はよく出てきますね。
ギターらしい表現って、ものすごく多いと思うんです。だから、曲にギターを入れる時はギターでしかできないプレイをめっちゃ入れるようにしていますね。スライドとか、ハンマリング、プリング、チョーキングとか。カッティングでグルーヴを作ることもそうかもしれないですけど、他の楽器には真似できないことをやろうと思って、フレーズを作っているところがあって。そういう意味で、ギターはギターであり続けるだろうし、不要になることはないと思います。
──弾く楽しさという面でも、ギターならではのものがありますよね。
Nakajin プレイする喜びがある限り、人はギターを弾くのをやめないと思います。特にギターって、指で直接弦に触れるじゃないですか。弦を弾くと、ボディが鳴っている感じが体に伝わってくる。体で感じる音もあるんですよね。自分の手で音を鳴らしている、生み出しているという感覚は、大きな魅力の一つだと思っています。たとえAIでそれっぽいフレーズを作れても、その喜びには代えられないです。高校生の時は、学校から帰るとずっと部屋に閉じこもって、CDを流しながら好きな曲をコピーしていました。とにかくそれがやりたくて。ずっと独学でしたけど、ギターの練習が嫌だと思ったことは一度もないですね。
──今のNakajinさんにとって、ギターはどんな存在ですか?
Nakajin 一言で言うのは難しいですけど、恩人のように思っています。始めたのは中学生の頃で、学校生活は楽しんでいましたけど、自分には何か一つ誇れるものが特になかったんです。それが、ギターを始めたことで自信を持たせてもらった。当時は周りに弾ける人がそんなにいなかったので、“ギターを弾ける人だ”と言ってもらえることが、自信につながったんですよね。メンバーと出会うきっかけにもなって、仕事にもなった。インディーズでデビューしたのが2010年なので、もう16年間それで飯を食わせてもらっている。振り返ると、やっぱり恩人のようでもあるなと思います。
──楽しみながら弾き続けるうえで、大切にしていることはありますか?
Nakajin 僕は本当に、自分の好きな曲をただプレイしていたんです。練習してできるようになる喜びが大きかった。技術向上のためにめちゃくちゃ頑張ろうとしたら、きつい時もあるかもしれないですけど、僕は好きなことをやっているだけだから、つらくなかったんだと思います。
20歳ぐらいの時はメタルやジャズ、クラシックギターにも興味を持って、楽譜を買って練習したこともありました。弾けたら楽しいだろうなと思って練習して、できるようになったものもあれば、できないこともすごくあった。楽しいと思える範囲で頑張ってきたんです。今は技術的に新しい表現を求めるより、ギター本来の良さを生かして曲作りやライヴをしたい気持ちが強いですね。楽しくやれることが、すごく重要だと思っています。
それに、いろんな音楽を聴いてコピーしようとしたことは、確実に糧になっています。すべて弾けるようになったわけじゃなくても、ちょっとトライした中で掴めることってめちゃくちゃある。そのエッセンスは自分の身になっていて、音楽を作る時にも感じます。完璧じゃなくても、経験があるのとないのとではアウトプットが全然違う。トライした過程が今の自分を助けてくれているなと思うことはありますね。

David Brown Masterbuilt 1963 Stratocaster Relic Aged Olympic White
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Nakajin(SEKAI NO OWARI)
2010年、4人組バンドSEKAI NO OWARIとして1stアルバム『EARTH』をリリースし、2011年にメジャーデビュー。ポップとダークを行き来する幅広い音楽性と、テーマパークを思わせる世界観あふれるライヴ演出で、世代を問わず多くのリスナーを魅了。2022年には『Habit』で日本レコード大賞を受賞。これまでに7枚のオリジナルアルバムを発表している。メジャーデビュー15周年を迎えた2026年には、京セラドーム大阪と東京ドームで〈SEKAI NO OWARI DOME TOUR 2026「THE CINEMA」〉を開催。2027年4月からは〈SEKAI NO OWARI ARENA TOUR 2027〉の開催が決定している。Nakajin個人としては、2024年にProducer/DJ/Songwriter/Multi-Instrumentalistとしてのソロプロジェクトを始動し、2026年9月16日に新曲『Pocket』を配信リリースした。
https://sekainoowari.jp/
https://nakajin-official.com/

