Cover Artist | Nakajin(SEKAI NO OWARI) -前編-

それだけでライヴを通せるぐらいの、強いギターが欲しかった

FenderNewsが毎月1組のアーティストにフォーカスする「Cover Artist」に、SEKAI NO OWARIのNakajinが登場。インタビュー前編では、Fender Flagship Tokyoで出会った、Fender Custom ShopによるDavid Brown Masterbuilt 1963 Stratocaster Relic Aged Olympic Whiteをフィーチャー。〈SEKAI NO OWARI DOME TOUR 2026「THE CINEMA」〉のエレキギターをこの白いStratocasterに託すまでの経緯から、甘く太いトーンと崩れないコード感へのこだわり、そして楽器選びの基準までを聞いた。


自分が本当に好きな音は別にあって、それが今のストラトだった

──今回の撮影でも手にされた白いStratocasterは、Fender Flagship Tokyo(原宿)で購入されたそうですね。まずは、探し始めたきっかけを教えてください。

Nakajin 7月、8月のドームツアー〈SEKAI NO OWARI DOME TOUR 2026「THE CINEMA」〉に向けて、ステージのコンセプトとして楽器を白に統一しようという話があったんです。Saoriちゃんのピアノも、LOVEさんのDJ台も白くしていて。僕も、ドームでやるからにはいい白いギターが欲しいなと思ったんですよね。
普段のライヴでは、曲に合わせてかなりギターを持ち替えるんです。アコギはもちろん、バンジョーやマンドリン、ウクレレ、三味線を使うこともあるので、持ち替えない曲間がないぐらい。でも今回は、アコギは別として、エレキは白い一本でドーンといきたかった。それだけでライヴを通せるぐらいの強いギターが欲しいと思って、フェンダーさんの門を叩きました。

──白いStratocasterを買おう、というところまで決まっていたんですか?

Nakajin そうですね。実は王道ど真ん中の、フェンダー直系のストラトみたいなものは持っていなかったんです。Jazzmasterはかなり使っていましたし、中学生の時におばさんからいただいた日本製のTelecasterも今なお愛用しています。数年前、フェンダーのショールームにAcoustasonicを見に行った時には、奥から出しておすすめしてもらったTelecaster Thinlineがすごく良くて。それも使っているんですけど、ストラトとは意外と縁がなかった。だからこの機会に、めちゃくちゃいいストラトを買おうと思いました。

──実際には、どのように選んでいったのでしょうか。

Nakajin 部屋を一つお借りして、5本を順番に試させてもらいました。個々の詳しい説明はあまり聞かず、音と見た目と、自分にフィットする感じで選んだんです。最初は、今の一本とは別のものを選んでいました。僕たちの曲にはいろいろな曲想があるので、幅広い音を出せるものにしようかなと思って。でも、“本当にそれでいいのか?”と思い直したんですよね。自分が本当に好きな音は別にあって、それが今のストラトだったから。やっぱり、自分がちゃんと好きになれる音のギターを選んだほうがいいんじゃないかと。何度も弾き比べて、最終的にそっちに戻りました。あとから値段を聞いたら、その中で一番高くてびっくりしました(笑)。たぶん、これまで買ったギターの中でも一番高いと思います。

──その“好きな音”を言葉にすると、どんな音ですか?

Nakajin 5本の中では圧倒的に甘くて、太い音でした。特に、ストラトのリアはちょっと使いにくい印象があったんです。ペラペラしちゃうというか。でも、この一本はリアでも鋭さがあって、ちゃんと太さが残っている。以前、人のストラトを使わせてもらう時はフロントやセンターを選ぶことが多かったんですけど、今回は蓋を開けてみたら、リアで使うことが一番多かったんです。
歪みのノリも良かったですね。僕のボードには歪みペダルだけでたぶん6、7個入っていて、音作りでは歪みでキャラクターをつけることが多いんですけど、どれを使ってもベチャッとしない。そこは自分でも驚きでした。
それから、バッキングでコード感が崩れないことも重要視しています。4和音のような少し複雑な和音でも、一つひとつの音がキレイに鳴ること。試奏の時もそこをかなり確かめましたが、その点でもこのギターが一番良かった。いろいろな歪みをかけても、自分の狙った和音感がしっかり出るんです。


トラディショナルなものだけでは、メインストリームであり続けるのは難しい

──マスタービルダーDavid Brownによる一本ですが、弾き心地や仕上がりはいかがですか?

Nakajin 最初から体に馴染む感じがありました。ライヴで弾き倒してもしっくりくるし、指板の感じも快適で、音が詰まることもない。シンプルによくできたギターだなと思います。レリックも美しくて、最近作られたとは思えないほどヴィンテージらしい仕上がりです。今回の衣装は黒いスーツだったんですけど、そこにものすごく映える白で。ドーム公演は写真撮影OKだったのですが、お客さんが撮った写真をSNSで見てても、“見た目的にも決まってるな”と確認できたのも良かったですね。

──ドーム公演で、特にこのギターの良さを感じた曲はありますか?

Nakajin 本当にどれも良かったんですけど、パッと思いつくのは「ANTI-HERO」ですね。オートワウのかかったリフが出てくる曲で、普段はフルアコを使うんです。今回はトーンを絞って、どのぐらいの音にするか、テックさんや客席の音を作るPAさんと話し合いながら決めていきました。フルアコで弾いていた曲をストラトで弾けていることに、“すごいな、こいつ”と思いましたね。いろいろな曲に対応できるかなという不安はあったんですけど、リハーサルで試したら、全曲で自分の満足する音が出せた。“これでいける”と思えて、良かったです。

──一本で多彩な曲に対応するための音作りは、大変でしたか?

Nakajin 大変という感じはなくて、楽しかったです。歪みペダルで一曲ずつキャラクターをつけていっても、コード感が崩れないので、特別困ったことはなかったですね。強いて言えば、トーンをどこまで絞るか。絞ると張り感は少し失われるけど、温かみが出てくる。どちらもいい音なんですよ。デビューしたての20代だったら高めにしたかもしれないけど、40歳になった今、この曲をやるなら5ぐらいまで絞ろうかな、とか(笑)。どちらが正解というより、今の自分ならこっちを選ぶ。そういう判断を、スタッフのみんなと楽しみながらやっていました。チーム内でも評判が良くて、本当にいい買い物をしたと思います。

──普段、新しい楽器が欲しくなるのはどんな時でしょうか。

Nakajin 何かしらの必要性を感じた時が多いですね。“この曲にはこのギターだな”と思って、手持ちでは少し心もとない時に買うことが多いです。一方で、新しいものも好きなんです。Acoustasonicが出た時は、“マジかよ、めっちゃ便利じゃん”と思いました。一本でエレキの音もアコギの音も出せるのは、自分の制作ツールとしてすごく頼もしいなと。新しいものはチェックしますし、自分の制作スタイルにフィットしそうなら、試したり買ったりしますね。

──フェンダーというブランドには、どんな印象を持っていますか?

Nakajin ギターをやっている人なら誰もが知っているブランドですよね。今も、すごくメインストリームにあると感じます。昔から、丈夫で修理がしやすく、カスタマイズ性も高いというイメージがありますね。その一方で、最新のテクノロジーにも貪欲に挑戦している。DAWソフトのStudio One(現:Fender Studio Pro)に関するニュースを見た時にも、“この分野までフェンダーが入ってくるんだ!”と驚いて、そういう印象がさらに強くなりました。トラディショナルなものだけでは、メインストリームであり続けるのは難しいと思うんです。自分が作る音楽でも、そこは意識するところですね。

David Brown Masterbuilt 1963 Stratocaster Relic Aged Olympic White

>> 後編に続く(近日公開)


Nakajin(SEKAI NO OWARI)
2010年、4人組バンドSEKAI NO OWARIとして1stアルバム『EARTH』をリリースし、2011年にメジャーデビュー。ポップとダークを行き来する幅広い音楽性と、テーマパークを思わせる世界観あふれるライヴ演出で、世代を問わず多くのリスナーを魅了。2022年には『Habit』で日本レコード大賞を受賞。これまでに7枚のオリジナルアルバムを発表している。メジャーデビュー15周年を迎えた2026年には、京セラドーム大阪と東京ドームで〈SEKAI NO OWARI DOME TOUR 2026「THE CINEMA」〉を開催。2027年4月からは〈SEKAI NO OWARI ARENA TOUR 2027〉の開催が決定している。Nakajin個人としては、2024年にProducer/DJ/Songwriter/Multi-Instrumentalistとしてのソロプロジェクトを始動し、2026年9月16日に新曲『Pocket』を配信リリースした。
https://sekainoowari.jp/
https://nakajin-official.com/

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