Another Myself | ユメノユア(GANG PARADE)

ANOTHER MYSELF

“ANOTHER MYSELF=もう1人の自分”。俳優、モデル、タレント、アイドル、作家、芸人など、さまざまな芸術活動を行う傍ら、音楽やギターに熱い想いを持つアーティストをフィーチャーする新企画。1回目は、アイドルグループ“GANG PARADE”のユメノユアが登場。


コミュ力が低い私にとって、みんなとコミュニケーションを取るための手段がギターでした

去る5月26日、日比谷野外音楽堂でのワンマンライヴの即完、大成功に続き、11月の中野サンプラザでのワンマンも即完。今もっとも勢いに乗っているアイドルグループ、GANG PARADE(通称・ギャンパレ)。10人組のアイドルグループなのだが、坊主頭のメンバーがいたりと、メンバー10人全員が強烈な個性の持ち主。そして“みんなの遊び場”というコンセプトを掲げ、“遊び人”と呼ばれるファンと一緒に作り上げていくライヴも含め、変化し進化し続けるアイドル業界の最前線にいる。

そんなギャンパレの中で、ロックスピリット全開なのがユメノユアだ。

インタビューの冒頭で、ギャンパレ内でのユメノのポジションについて聞くと“常に一番ロックでありたいと思っています”とすぐに答えが返ってきた。“ロックであるとは?”と少し意地悪な質問を続けると“その時の気持ちを飾らずそのまま表現することだと思います。私もステージの上では何も考えないようにしていて。湧き上がる感情をストレートに歌とダンスに乗せています”と、淀みなく答えが返ってきた。

これにはもちろんわけがある。ユメノは学生時代からライヴハウスに通い、自らも友達とバンドを組みギターを弾いていた。つまり、アイドルが生業だが“ロック”がユメノの“もう1人の自分”ということになる。

ユメノがギターを弾くようになったきっかけは、学生時代にテレビで観たYUI。1人でギターを弾き歌うYUIの姿に心奪われ、ギターを手にしたいと思ったという。幸いなことにユメノの父親が趣味でアコースティックギターを弾いていたので、父親のアドバイスでアコギを買ったのがギター歴のスタートだった。

最初は家でアコギをポロポロと弾いては歌っていたユメノ。しかし、他のギターも弾いてみたくなり、兄がエレキギターを持っていたのでほどなくしてエレキを弾くことになった。初めてエレキを弾いた瞬間を、ユメノは嬉しそうにこう振り返った。

「アコギを弾いていた時は1人で演奏していても楽しかったんですけど、エレキを弾いたら誰かと一緒に演奏したくなったんです!」

エレキを手にしたユメノは学校の友達とバンドを結成。クリープハイプやASIAN KUNG-FU GENERATIONなどをコピーし、学園祭で演奏していたという。また、授業が終わると下北沢のライヴハウスに通い、ブレークする前の若いバンドのライヴを真剣に観て回った。なぜ、そこまでバンドに惹かれるのだろうか?

「学校生活でも、みんなとひとつのことをやるのが本当に苦手で。そんな中、バンドが初めて他の誰かと一緒に出来たことなんです。コミュ力が低い私にとって、みんなとコミュニケーションを取るための手段がギターでした。あと、考えてみたら、小さい頃にピアノやバレエを習っていたんです。同じ表現をするためのものなのに、ピアノとバレエは長続きしなかった。ギターだけは弾きたいと思ったし、今でも弾いているんです。不思議ですね」

答えは神のみぞ知る。ロックの神様がユメノに微笑んでいるのだろう。話を時系列に戻すと、バンドを結成して、初めて買ったエレキギターがフェンダーのTelecasterだという。

ANOTHER MYSELF

「とにかく、フェンダーのギターに憧れていたんです。理由はシンプルでカッコいいから。アメリカ製のテレキャスの音が、ジャキジャキし過ぎずに好きなので買いました。本当にいい音で、アンプにつながなくても好みの音が出るので、生音で弾いているだけでも幸せな気持ちになります」

Telecasterという最高の相棒を手にしたユメノだったが、バンドでプロの道を考えることはなかったという。

「いわゆる学祭バンドで、ライヴハウスには出ていなかったですし。それに、当時の私ってとにかく自分に自信がなかったんです。敷かれたレールの上を行く人生だと思っていて、普通に就職をするつもりでした。でも、就活に失敗して(笑)。それで、1年だけ好きなことをやってみようと思って、WACK(ギャンパレの事務所)のオーディションを受けたら受かってしまって(笑)」

そう屈託なく語るユメノ。バンドからアイドルというのは少し突拍子もない感じがするが、なぜアイドルのオーディションを受けたのだろうか?

「音楽をやりたいという気持ちはあったんです。その中でアイドルを選んだのは、今の年齢でしかできないことだと思ったので」

アイドルの道で成功を収めつつあるユメノ。だが、今のポジションに甘えてはいない。

「日本武道館を即完できたとしても、それすら通過点だと思いたいです。今のギャンパレは、音楽業界全体で言ったらまだまだです。もっと国民的な存在になりたいんです。そして、アイドルという枠を超えてギャンパレを見てくれるような存在になりたいです」

さらに、ユメノはこう続けた。

「もちろん、ギャンパレがいつまでも続いてほしいですが、いつまで続くのかは誰にもわかりませんし、続いたとしてもそこに私がいるかはわかりません。いずれにしても、未来を考えた時に、今の歌とダンス以外にギターがちゃんと弾けたら、自分が進む選択肢は広がるなぁと思っています」

そう、ひと際真剣な表情で語ってくれた。ギターのことを話すユメノはとても幸せそうだ。

「ギターを弾くのが仕事ではないので、いつもギターと一緒ではないのですが、疲れて家で何もしたくない時も、ギターなら弾けるんです。不思議ですね。そう思うと、仕事でギターを弾かなくても、おばあちゃんになっても家でポロンポロンとギターを楽しめますよね!」

将来、ステージの上のギターを弾くユメノを見ることがあるのかもしれない。あるいは、今と変わらず、歳を重ねても家で好きな時に憩いとしてユメノはギターを楽しんでいるのかもしれない。ロックの神様は、どうサイコロを振るのだろうか?


GANG PARADE
カミヤサキ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソン、ハルナ・バッ・チーン、月ノウサギ、ナルハワールドからなる10人組アイドルグループ。メンバーチェンジや改名を経て、2018年5月より現体制で活動をスタート。4月17日、シングル「ブランニューパレード」でメジャーデビューを果たす。 今年秋からは全国10箇所12公演を巡るワンマンツアー「PARADE GOES ON TOUR」を開催予定。更に2019年11月13日にメジャー1stアルバム『LOVE PARADE』をリリース予定。
› Website: https://www.gangparade.com 

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