Interview | SILENT SIREN -後編-

私たちのポジションやスタイルは、唯一無二と言えるものに近づいてきている

SILENT SIREN

12月下旬、MADE IN JAPANラインナップよりシグネイチャーモデルを発売するSILENT SIRENのすぅ(Vo,Gt)とあいにゃん(Ba)。インタビュー後編では、これまでの10年を振り返ってもらいながら、将来の展望について語ってもらった。一見華やかに見えて、悔しい思いをすることも多々あったという10年を乗り越えてきた彼女たち。生粋のロックバンドであることを、今一度知ってもらえるはずだ。

カッコいいと思ったことは吸収して、それをどうサイサイらしくできるのか
 

―  来年、結成10周年を迎える気持ちを教えていただけますか。

すぅ   軽いノリで始めたので、10年続けようなんて考えていなかったし、思ってもいなかった。バンドをやりたいからやろうって始めて、気づいたら10年経っていて、その10年間の中で悩んだからこそ団結力も強くなったし。唯一無二の存在になりたいと思いながらやってきて、10年経った今、私たちのポジションやスタイルは唯一無二と言えるものに近づいてきていると思います。10周年の記念ライヴが来年の9月20日に山中湖交流プラザ きららであるんですけど、“サイサイはやっぱり唯一無二のガールズバンドだ”ってみんなに思ってもらえるようなライブにしたいと、今それに向けて打ち合わせしているところです。

―  順風満帆に活動してきたように思えて、やはり悩んだこともあったんですね。

すぅ   だからこそ、ここまで続けられたんだと思います。悩むことや悔しいと思うことがなかったら甘えていたし、飽きていたと思うんですよ。でも、悔しい、見返してやろうぜってメンバーだったので、それがすごく良かったし、そういう部分でもメンバーの相性が良かったんだと思います。

―  どんな時に悔しいと思いました?

すぅ   それはもう、結成した時からありましたね。本当は演奏してないんでしょ?とか、大人たちが集めたバンドだろうとか、自分たちで曲を作っていないとか、下手くそとか。そもそものことから勘違いされていることもあったし、実力が伴っていない悔しさもあって、そのたびに見返してやろうって思いました。自分たちで頑張って曲を作ろうとか、歌詞を書こうと思ったし、必死に練習もしたし。そういうことを1つずつやりながら、他のバンドのライヴを観て、カッコいいと思ったことは吸収して、それをどうサイサイらしくできるのか研究しました。

―  自分たちらしいと思えるスタイルが作れたのは、結成からどれくらい経ってからでしたか?

あいにゃん   メンバーが揃って最初にできた「チラナイハナ」という曲が、ポップでもキャッチーでも振り付けもなくて、今とは全然違うというか。ポップでキャッチーな曲がいいじゃんって始めたものの、それだけじゃダメだねって。ライヴをするたびに、録画しておいた映像を見てめっちゃ反省会もして、掛け声を入れ、煽りを入れ、振り付けを加えて…ってなったから、どれくらいから変わっていったのかな?

すぅ   結成当時のライヴは衝撃的でしたね(笑)。みんな棒立ちで、全然動きがなくて、お客さんもどうしていいのかわからない。これじゃダメだ、とりあえずパニエを履こう。パニエを履いたら、横に動いた時に大きく揺れるので、全体的にみんなが動いているように見えるよねって。じゃあみんなでステップを踏もうと、振り付けがそこから始まったんですよ。

―  なるほど。

すぅ   そうしたら、お客さんも一緒に動くようになって、振りを付けられる曲ってどんな曲だろうねって、どんどんポップな曲を作るようになっていったんです。だけどもともとは男臭いバンドが好きだったので、そういうのも忘れたくなかったしやりたかったので、真逆だけどその両方ができてこそSILENT SIRENだってやってきたのがこの10年でしたね。

あいにゃん   最初の頃、特に表題曲はめっちゃキャッチーなキラキラソングだけど、カップリングはドロッとしているところでバランスを取っていたというか。どちらもSILENT SIRENではあるけど、やりたいことと求められていること、いろいろなことを踏まえた上でバランスを取りながらやってきた部分はあります。

―  今現在、バンドがすごくいい状態だと思うのであえて聞きますけど、もうダメだなって思ったことはありましたか?

すぅ   ありました。バンドがダメというわけではなくて、個人的にはメジャーデビューの時が一番しんどくて。

―  そうなんですか⁉

すぅ   毎日、マネージャーとケンカしていました(笑)。“やりたいことは売れてから”って耳にタコができるほど言われていたんですよ。やらされていると思いながら、嫌々やっているって、聴いてくれている人に対しても超失礼じゃないですか。それも嫌でしたね。でも、大人たちが言うことをやると評価が良かったりするので、大人たちが言っていることが正しい時もあるなっていうのがわかって。それまでは反抗してばかりだったんですけど(笑)、いろいろと納得できることがあって、ちょっとずつやりたいこととやらなきゃいけないことを踏まえたサイサイの音楽ができていった気がします。すごく難しかったです。今、やっていることがやりたくないわけじゃないんだけど、もうちょっと私たちの考えていることもわかってほしい。何で大人たちはみんな、売れてからやれって言うんだよ。やりたいことをやって、売れたいからバンドをやってるのにみたいな(笑)。

あいにゃん   悔しかったね。

すぅ   すっごく悩みました。

あいにゃん   すぅはけっこうぶつかって戦うタイプだから。でも、それがないと私たちはバランスが取れないので、やれ!行け!って感じでしたけどね(笑)。

すぅ   大人の言うことに納得できる自分もいたんです。でもメンバーは、“すぅはそのまま尖ったままでいいよ”という感じだったので、そこは救われましたね。

あいにゃん   でも、いまだに“大人に作られているようなバンドにはなりたくない”と思いますね。もちろん正解もいっぱいあるから、意見は聞きますけど、その上でバトルしながらどんどんチームの力を高めていけたらいいですね。


常に楽器に触っていないと、ライヴの時に裏切られるんです
 

―  ガールズバンドと言われることに抵抗はないですか?

すぅ   めちゃめちゃあります。というのも、サイサイはもともと5人編成だったんですよ。いま作曲してくれているクボ(ナオキ)君がギターで、キーボードも別の子だったんですけど、メジャーデビューのタイミングでキーボードの変更とクボ君が裏方に回ることになって。それが本当に嫌で、全否定されている気がしたんです。“絶対に4人のほうが売れるから”って言われた時は“もう無理”と思ったんですけど、小さいライヴハウスでやっている頃から面倒を見てくれたマネージャーが“信じてついてこい”という感じだったので、渋々ガールズバンドになりましたけど…結果良かったです(笑)。

あいにゃん   当時のすぅとマネージャーは、反抗期の娘と頭ごなしにダメって言う口下手なお父さんみたいな感じでしたね。でも、本当によく面倒を見てくれたと思います。私たちがライヴを終えて疲れたと言ったら、“こんなことで疲れていたらダメだよ。もう何年かしたらもっと忙しくなっているんだから”って、その時に言ったことが何年かしたら実現していたので。ちゃんと将来のことを見据えて言ってくれていたんだなって、信頼が増しました。

すぅ   同じバンドマンとして女の子だけ括られること自体は、どうなんだろうと思います。だって、ボーイズバンドとは言わないじゃないですか。実際にガールズバンドの強みって絶対にあるし、私はガールズバンドをやっている子はすごくカッコいいと思うんです。かわいいことをやっていてもカッコいい。なにくそ根性がある子たちが、たぶんバンドをやっていると思うんですよね。だから、ガールズバンドと括られることが嫌だって思わないような時代になったらいいなと思いますね。私たちも“読モバンド”と言われるのが嫌だったんですけど、いつしかそれを強みにできたらいいねって思うようになったんですよ。だからみんな、自信を持って“ガールズバンドです”って言えたらいいと思います。

―  サイサイにそう言ってもらえると、見方が変わっていくんじゃないかなって思います。

あいにゃん   見方はいろいろなので、ガールズバンドって印象でライヴに行って、思ったよりもカッコいいじゃん!って思ってもらえたらプラスに変わるじゃないですか。

―  そんなことも乗り越えながら10年やってきて、楽器との付き合い方はどう変わりましたか?

あいにゃん   変わらないと思います。私はベースしか弾けないので、常に人に接するように向かい合っているというか、常に触っていないとライヴの時に裏切られるんですよ。サウンド的にも心地いいから、弾きながら寝落ちすることも多くて(笑)。寄り添うようにずっと一緒にいましたね。これからも相棒のように、恋人のように寄り添って、うまく付き合っていきたいという気持ちは変わらないです。もちろん、まだまだの部分が多すぎるので、修行に行きたいと思うこともありますけどね(笑)。

―  すぅさんはいかがですか?

すぅ   私はギター&ヴォーカルだけど、以前はバッキングぐらいでそんなに弾いていなかったんですよ。クボ君もいたし、クボ君が裏方に回ってからはサポートギターの子が入ったので、その子に任せきりだったんです。でも、ライヴを初めて観た人は、メンバーは4人のはずなのに“あの子は誰?”って思うじゃないですか。それに、耳に残るフレーズをメンバーである自分が弾かないでどうするんだって思うようになって、成長のために「Silent Siren 2015年末スペシャルライブ 覚悟と挑戦」のタイミングで、大好きだったサポートギターの子に抜けてもらったんです。その時は本当に苦しかったです。ギターと真剣に向き合うようになったのは正直、そこからでしたね。好きなフレーズなのに弾けないから悔しくて、毎日、泣きながら弾いていました。それから“365日運指”みたいな教則本を買って練習を重ねて、それからさらにリフやソロも弾けるように練習をして。いま楽しく弾けているのは、その時のつらさがあったからこそだと思います。

―  最後に、サイサイのこれからの夢、野望を教えてください。

すぅ   とりあえず、来年9月の10周年記念ライヴを成功させることですね。ガールズバンドという括りで言うなら、10年続けているバンドはそんなに多くないので、誇りに思って続けて、ガールズバンドの希望とか憧れになれるように、抜かされないように頑張りたいと思います(笑)。昔、あいにゃんが“出産しても赤ちゃんを背負いながらベースを弾く”って言った時、最高だなって思ったんですよ。

あいにゃん   どうやって背負うんだろうね(笑)

すぅ   それはわからないけど(笑)、それくらいのパッションでやりたいですね。

あいにゃん   女性としての幸せも手に入れつつ、バンドも頑張ろうっていうスタンスはいいなと思います。ファンにも言われるもんね、結婚してもいいんだよって(笑)。

すぅ   逆に心配されるっていうね(笑)。


› インタビュー前編はこちら


SILENT SIREN TELECASTER®

SIRENT SIREN

カラー:ARCTIC WHITE WITH VIOLET DECORATION STRIPE
仕様:ALDER BODY, MAPLE NECK, MAPLE FINGERBOARD, SLIM C NECK SHAPE, 6-SADDLE STRINGS-THROUGH-BODY HARDTAIL BRIDGE, SHAWBUCKER™ BRIDGE PICKUP, VINTAGE SINGLE-COIL TELE® NECK PICKUP
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メーカー希望小売価格:125,000円(税抜)
2019年12月26日発売


PROFILE

SILENT SIREN
Vo&Gt.すぅ(吉田菫)、Dr.ひなんちゅ(梅村妃奈子)、Ba.あいにゃん(山内あいな)、Key.ゆかるん(黒坂優香子)の4名からなるガールズバンド。 2012年11月、シングル「Sweet Pop!」でメジャーデビュー。 通称”サイサイ”として親しまれ、原宿を中心に女子中高生に人気が広がり、LINE公式アカウントの登録者数は55万人を超える。 2015年には、メジャーデビュー後、ガールズバンド史上最短で武道館単独公演を行い、翌年には横浜アリーナ公演、2016年からはアジア・アメリカを周るワールドツアーも開催している。 2016年年末、ユニバーサルミュージック / EMI Recordsへの移籍を発表。 同時にロゴ、バンド名表記を全大文字へと一新。 2017年にはデビュー5周年記念日にツアーファイナルとしてバンド初となる武道館2Days公演を成功させ、2018年自身最多公演となる全国ツアーも大盛況の中終了した。そして2019年5月に行われたメットライフドームでの対バンライブも大成功を収めた。 2018年から全国ラーメンチェーン「天下一品」のイメージキャラクターも務め、テーマソングも提供し同CMに出演中。 2020年のバンド結成10周年に向けて唯一無二の存在となったガールズバンド「サイサイ」の勢いは止まらない!
› Website:https://silent-siren.com

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