Code "F" Vol.4 | 岡田安未(なきごと)

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ビギナーにとって最初の難関と言えるテクニックが“F Chord”。このコードを上手く押さえられずにギターを辞めてしまう人が多いが、ミュージシャンやプレイヤー人生においても、難関を超えられずに無限大の可能性を前に挫折してしまう人が多くいる。そんな中、困難を乗り越え、音楽業界の大海原に漕ぎ出した可能性に満ちたミュージシャン/プレイヤーにスポットを当てる『Code “F” 』。彼らはどうやって最初の難関を乗り越え、そして今どのような景色を見ているのだろうか。第4回目は、平均年齢22歳の2人組ロックバンド“なきごと”から、ギター&コーラスを担当する岡田安未が登場。


1曲を通して弾けるようになることが大事。気楽に楽しくやっていきましょう

―  ギターを始めたきっかけは?

岡田安未(以下:岡田)  もともと両親が若い頃に音楽をやっていて、家にギターがあったんです。小さい頃は触らせてもらえなかったんですけど、すごく興味があって、小学校の卒業アルバムで“将来なりたいもののコスプレ”というテーマの写真を撮った時も、ギターを持っていたくらいで。

―  実際に弾くようになったのは?

岡田  中学校に上がって、吹奏楽部に入部したのがきっかけでした。部活の先輩が、休み時間に音楽室にあるギターでドラマ『ガリレオ』のテーマソングを弾いていて、それを見てカッコいいなと思って、父のギターを貸してもらって弾き始めました。

―  ビギナーの最初の壁、Fコードはどうやって乗り越えましたか?

岡田  私の場合、FだけじゃなくてGコードも弾けなかったんです。6弦から1弦って距離があるじゃないですか。手が小さいのもあって、あれが難しくて。もともとそんなに練習熱心なほうではなかったので、一度弾いてみて、できなかったらF(もしくはG)を使わない曲を弾いたりして、しばらく経ってまたチャレンジして…というのを何回か繰り返しているうちに、気づいたら弾けるようになっていました。あんまり本気になりすぎると嫌になっちゃいそうなので、そこは気楽に考えるのがいいと思います。

―  なるほど。ちなみに最初に買った楽器は?

岡田  実はエレキベースだったんですよ。中3の頃に『BECK』という漫画の実写映画がやっていて、それを観てベースを買いに行きました。

―  BECKの平くんのようなクールなベーシストに憧れて?

岡田  はい(笑)。

―  では、最初にフェンダーの楽器を買ったのは?

岡田  わりと最近で2018年の末くらいです。Made in Japan HybridのStratocasterを購入しました。

―  フェンダーの魅力ってどんなところだと思いますか?

岡田  フェンダーの楽器ってハズレがないというか、何を買ってもいいものを提供してくれるイメージがありますね。今使っているストラトもとにかく音がいいんです。それに、ボディが軽くて体に馴染んでくれて、すごく弾きやすいので気に入っています。

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―  “なきごと”は今ものすごく勢いのあるバンドですが、どうやって可能性を拓いてきたのでしょうか?

岡田  正直、運が強いところもあるんですけど、私の性格的に“こうあるためにはこうしたらいい”とか、いろいろとビジョンを組み立ててから行動するタイプなので、そうやって進んできた結果と、何よりボーカルの作る曲の良さかなと思います。

―  具体的にどんなビジョンで?

岡田  なきごとの初ライブ1ヶ月前に活動開始報告とともにティザーをSNSにあげ、1週間くらい前に「メトロポリタン」という曲のMVを出して、それを見てもらうことでなるべく初日の動員を増やそうと思いました。あと、音源の質によってもお客さんが離れていったり、興味を持ってくれたりけっこう変わるじゃないですか。だから、最初からなるべく音源は質の良いものを作るようにしていました。

―  世の中にはMVがたくさんある中、再生回数を伸ばすのは簡単ではないと思います。

岡田  それも音源と同じで、なるべくクオリティの高いものを作るようにしました。あとは、TwitterなどのSNSを使って拡散して。それでも、正直あのMVがここまで伸びてくれるとは思っていなかったです(2020年8月上旬現在で約49万回再生)。

―  でも、いいものが作れたという自信はあったわけですよね?

岡田  そうですね。そもそも曲をレコーディングした段階から“いいものができた”という実感があったので、それを映像にすることでもっと良くなったと思っています。

―  楽曲作りはどんな風に?

岡田  基本的にはヴォーカルの水上えみりが原案を持ってきて、それを2人で膨らませていきます。でも、ヴォーカルの中で“こうしたい”という具体的なイメージがある時もあれば、“好きにやっちゃっていいよ”と言ってくれる時もあるので、それに沿って色付けをしていく感じです。“ここらへんにいっぱいある星の役目ね”とか、“後ろから吹く風の役目ね”とか言われて(笑)。

―  難しい!

岡田  さすがに“えぇ!?”ってなるけど(笑)、慣れてきました。

―  “なきごと”として、今後の野望はありますか?

岡田  今の勢いを止めずに進んでいきたいですね。それと、えみりの中に“日本武道館でライヴをできるようになりたい”という思いがあるので、実現できるように2人でやっていきたいなと思っています。

―  先ほど“ビジョンを組み立ててから行動する”と話していましたが、具体的にどう進んでいくか考えていますか?

岡田  そうですね…。男性のバンドと違って、女性のバンドって消費期限というか、飽きられる時期が早いと思うんです。なので、スピード感をまずは大事にしています。あとは、好きな音楽を思う存分やれるようになるには、まずは売れなきゃいけない。みんなの目に留まらなきゃいけないと思うので、そのためにはどういう曲を作ればいいのか考えているところです。

―  では最後に、ギターをこれから始める人やビギナーにメッセージを。

岡田  弾けなかったら放置してもいいんじゃないかな(笑)。それか、コードを省略してもいいと思う。とにかく、1曲を通して弾けるようになることが大事なので、気楽に楽しくやっていきましょう。

PROFILE


なきごと
2018年9月、ボーカル&ギターの水上えみりと、ギター&コーラスの岡田安未の2人で結成した平均年齢22歳の東京出身2人組ロックバンド。結成直後に新曲「メトロポリタン」のMVを自主制作で公開。同年10月4日に新代田FEVERにて初ライヴを自主企画で開催。同日に2曲入りの1st DEMO single「SIKI」を会場限定でリリースし、1,000枚の販売を経て現在は廃盤。その後、murffin discs主催の〈murffin discs AUDITION 2018〉にて、結成からわずか1カ月という異例のスピードで、総勢600組以上の応募の中から準グランプリを獲得。2019年4月17日、自身初となる全国流通シングル「nakigao」をリリース。オリコン週間ロック部門で10位を獲得し、各CDショップのバイヤー内でも話題を呼んでいる。9月18日に1stミニアルバム『夜のつくり方』をリリース。2020年の年始に発表された日本テレビ『バズリズム』のバズるアーティストでは12位を獲得した。2020年3月25日、2nd シングル「sasayaki」を発表。
› Website:https://nakigoto.com

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