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B x B | JIRO(GLAY)× あきらかにあきら(THE ORAL CIGARETTES)-前編-

同じロックバンドなのに、俺たちはちょっと落ち着きすぎちゃったかな(笑)? (JIRO)

日本を代表するベーシスト同士による対談企画「B×B」。今回は日本のバンドシーンで活躍するGLAYのJIROとTHE ORAL CIGARETTESのあきらかにあきらが登場。プレイスタイルや世代も異なる二人であるが、彼らの根底にあるのは、ベースという楽器に対する愛と、お互いへのリスペクトの念。対談の前編では、出会いのきっかけやベースへの向き合い方について語ってもらった。

*このインタビューは2021年7月上旬に行われました

今は、家で楽器を弾くことが楽しくなってきているんですよね(JIRO)

― そもそも、この二人が出会ったきっかけは?

あきらかにあきら(以下:あきら) ドリフェス(2019年10月に幕張メッセで開催された〈テレビ朝日ドリームフェスティバル2019〉のこと)でご一緒させていただいた時、ご挨拶にうかがったんですよね。で、その場ではあまり深くはお話できなかったんですけど、連絡先を交換したこともあって、後日にラジオ番組に呼んでくださって。“あの時はちゃんと挨拶できなくてごめん!”っておっしゃってくださったのが印象的で。実は、僕らのことをすでに気にかけてくれていたんですよね。

― プレイスタイルについては、あきらさんは指弾き、一方でJIROさんはピック弾きを軸にしていて、ある意味、対照的ですよね。お互いのプレイスタイルについてどのように感じていますか?

あきら 僕のことを話してもらうのは恐縮すぎるので僕から話しますが(笑)、僕にとってJIROさんは、例えば雑誌を読んでいて、使っている機材であったり、いわゆる“逆アングル”っていうピックの持ち方であったりとか、未知のキーワードを知るきっかけになったベーシストだったんですね。で、僕はそれに逆行するような感じでベースを始めたんです(笑)。僕のような、ベースを高い位置で抱えた指弾きのプレイヤーって、周りではあまりいなかったんです。しかも、派手なパフォーマンスをする、みたいな。そうやって、今のロックバンドのシーンでは他にいないぞ!みたいなイメージを作りたいと思っていたんですよね。だから、本当に対照的っていう表現が正解というか。で、今のスタイルがあるのは、JIROさんのことを強く意識していたからこそなんですよね。生意気なことを言ってすいません(笑)!

JIRO いやいや、そう言ってくれて嬉しいですよね。

― JIROさんは、あきらさんのプレイスタイルについてどのような印象をお持ちでしたか?

JIRO バンドの存在は以前からもちろん知っていたんですけど、ライヴのパフォーマンスを観た時に“何だこれは!”っていう。何かこう…サーカスを見ているような感覚で、もう“すごい!”っていう言葉しか出てこなかったんですよね。衝撃の度合いが“三度見”レベルではなかった(笑)。

― 二度見を遥かに超えていたんですね(笑)!

JIRO ものすごいインパクトがあったし、勢いを感じましたね。同じロックバンドなのに、俺たちはちょっと落ち着きすぎちゃったかな?みたいに感じたり(笑)。

あきら いやいや! 僕らも落ち着きたいですよ(笑)。 JIRO やっぱり、メンバーそれぞれに個性があるバンドが好きなんですよね。そういった意味では、THE ORAL CIGARETTESは見た目の華やかさがすごいし、ライヴではお客さんも一体になって盛り上がっていて、これはすごいなと。

もはや、メンバーとずっとしゃべっている瞬間ですら愛おしい(あきらかにあきら)

― ベーシストとして、最近考えていることは?

JIRO 今、ちょうどニューアルバムのレコーディングが終わったばかりで、今後のライヴに向けてベースを練習していたんですけど、反復練習って飽きるじゃないですか(笑)。だから、合間にちょっとYouTubeを観ていたら、モータウンのベースプレイを実演している海外の人がいて、譜面も同時に出てくるのでそれを見ながら弾いたりして。モータウンの休符の活かし方を感じながら、こういうプレイも面白いなと思いながら練習していました。GLAYでは8ビートで音の隙間を埋めていくようなプレイをやってきましたけど、そうやって、リズムの解釈ひとつ取っても、これまでとは違ったことに挑戦してみたいモードかもしれないです。これまでに自分の中で蓄積してきた“こうすればGLAYのサウンドになる”とか“こうすればJIROのフレーズになる”っていう部分をそろそろ変えていきたいというか。だから、最近は練習しているんですけど、楽器って面白いなって思うんですよね。

― 今なお、さらなるステップを見据えているんですね。

JIRO 90年代や2000年代というのは、バンドの活動がとにかく忙しくて。ライヴの本番やレコーディングが腕を磨く場所っていう時間の使い方をしていたので、自宅で楽器に触れることはあまりなかったんです。でも今は、家で楽器を弾くことが楽しくなってきているんですよね。

あきら すごくピュアに楽器に接しているんですね。

JIRO そうそう。今、この年齢になってそう思えるっていうのは幸せだと思うんですよね。

あきら 昨年、ライヴが開催できなくなった頃に、僕も自宅で練習しまくっていたんです。これまでやってこなかったテクニックをもう一回さらってみようって、ダブルプルとかやっていたんですけど、少しずつライヴの現場が戻ってきて、今はフェスシーズンの真っ最中なんですけど、今は現場が楽しくて仕方がないんです。あと、メンバーとセッションすること自体が面白くて。もはや、メンバーとずっとしゃべっている瞬間ですら愛おしい、みたいな。音楽やベースと向き合うより、今はバンドと向き合っている感じが個人的にはあって。その中でベース単体のお仕事もこういただけるのは嬉しいですよね。

― 今の時代の中で、一度、足を止めるタイミングにもなったんですね。

JIRO そうですね。コロナ禍の中で、俺たちの活動も少し落ち着いたんですけど、改めて過去を振り返ってみると、何であんなに忙しかったんだろう?って思うんですよね。それを経た上で、ちょっとずつライヴ活動ができるようになると、ファンの人たちが目の前にいることが本当に奇跡のように感じて。それを日常だと思っていたのは、俺たちはかなり麻痺していたのかなってすら思うんですよね。チケットを予約してライヴに参加することが当たり前じゃないんだっていう時代になって、すごくピュアに感動してくれている人たちと、ピュアに感動しながら演奏している俺たち、それらがライヴ会場で出会うっていう。

あきら 音楽の偉大さを感じますよね。

実は俺にとって“なりたい自分”はPrecision Bassなんですよ(JIRO)

― 今回、取材の中でAmerican Professional IIシリーズを弾いていただきました。そもそもPrecision Bassについては、どのようなイメージをお持ちでしたか?

JIRO Precision Bassはバッと音が広がるぶん、僕のピッキングスタイルでは、かなり冷静になって弾かないと、ちょっと弾きこなせないっていうイメージがありましたね。ただ、最近はPrecision Bassを使ってツアーに向けた練習をすることもあって。自分の手に馴染んできた段階で、今回はPrecision Bassでいけるかもしれないなと思うと、この曲で使ってみようってチャレンジしてみるんです。その挑戦が、自分にとってのライヴに対するモチベーションにもなるんですよね。

あきら 新しいことへの挑戦、みたいなことですね。

JIRO そうそう。ライヴ中に楽器を持ち替えるのはあまり好きじゃないんですけど、そうやって楽器を使い分けることは多いかな。

― JIROさんにとってのPrecision Bassは、楽器を弾くモチベーションにつながっているんですね。あきらさんにとってのPrecision Bassの印象は?

あきら Precision Bassは、コントロールもシンプルですし、どこかで音のバリエーションを諦めないといけない側面があって。それが愛せる部分でもあるんです。この音しか出ませんよ!っていう頑固な楽器ながら、同時にプレイヤーのパッションで乗り切れる楽器だと思っていて。一方、シーンに合わせてうまくバランスを取ってくれるのはJazz Bassで。そういう意味で、僕らの曲と相性が良いのはたぶんJazz Bassなんです。でも、Precision Bassのほうがハマってカッコ良くなる曲もあるし、そういう意味で男らしい。それが愛おしいっていう存在ですね。

JIRO フェンダーのPrecision Bassは俺も持っているんです。ホワイトのボディカラーなんですけど、ピックガードを黒に変えたんです。

あきら それはライヴでも使っているんですか?

JIRO ライヴでもたまに使いますね。昔のモータウンを聴くと、この楽器で最高のサウンドを出していたわけじゃないですか。それに一歩近づきたいっていう、俺にとってのひとつの目標でもあるんですよね。俺はずっと他社のベースをメインで使っていて、ひとつの楽器で貫くのもいいけど、俺自身がPrecision Bassの良さをもっと勉強していけば、さらに音楽の幅が広がって面白くなるんじゃないかなって思っていて。

― 今回は、American Professional II Precision Bassを弾いていただきました。

JIRO もともとPrecision Bassが少し苦手だったんですけど、今回弾いたAmerican Professional II Precision Bassはネックの塗装のフィーリングが良いし、指板のエッジが滑らかで手に馴染みます。サウンドについては、良い意味でJazz Bassよりローエンドが広がりますよね。しっかり弾きこなしてみたいと思えるベースです。

あきら American Professional II Precision Bassは、以前にも雑誌の企画で弾かせていただいていて。すごく弾きやすくて優秀という印象は変わらないですね。暴れん坊のイメージのPrecision Bassですら、優秀って言葉を使いたくなります。ネックのシェイプが握り込みやすいですし。あと、持った時の印象も軽いので、初めての一本にしては高価かもしれないですけど、一生使える一本ですよね。

JIRO もともと、Precision Bassに対しては“男らしい”っていうイメージがあったんですけど、実は俺にとって“なりたい自分”はPrecision Bassなんですよ。でも、周囲とのバランスを取った結果、Jazz Bassタイプの楽器を使うという…。だから今日、本器を触ってみてPrecision Bassみたいな人間になりたいって改めて思いました(笑)。

› 後編に続く(近日公開予定)


American Professional II Precision Bass®

American Professional II Precision Bass® 定番の’63 P Bassシェイプネックは、丁寧にエッジがロールオフされ、至高の演奏体験を約束する”Super-Natural”サテン仕上げが施されています。また新たに設計されたネックヒールを採用し、快適なフィーリングとハイポジションへの容易なアクセスを実現しました。新しいV-Mod II Precision Bass Split-Coilピックアップは、これまで以上に繊細なトーンを奏で、Precision Bassならではの圧巻のローエンドを提供します。

American Professional II Jazz Bass®

American Professional II Jazz Bass® 人気のSlim Cシェイプネックは、丁寧にエッジがロールオフされ、至高の演奏体験を約束する”Super-Natural”サテン仕上げが施されています。また新たに設計されたネックヒールを採用し、快適なフィーリングとハイポジションへの容易なアクセスを実現しました。新しいV-Mod II Jazz Bass Single-Coilピックアップは、これまで以上に繊細なトーンを奏で、Jazz Bassならではのパンチとクラリティを提供します。

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JIRO

GLAYのベーシスト。THE PREDATORSのベーシストとしても活動中。GLAYは88年にTERUとTAKUROを中心に結成し、94年にメジャーデビュー。以降、CDセールス、ライヴ動員数など日本の音楽シーンをリードし続け、数々の金字塔を打ち立ててきた。2021年3月からは、4ヶ月連続で各メンバーがプロデュースする配信ライブ〈THE ENTERTAINMENT STRIKES BACK〉を配信。8/18には59枚目のシングル「BAD APPLE」をリリース。さらに、10月6日には16枚目のオリジナルアルバム『FREEDOM ONLY』のリリースが決定した。
› Website : https://www.glay.co.jp/


あきらかにあきら

2010年、奈良にてTHE ORAL CIGARETTES結成。人間の闇の部分に目を背けずに音と言葉を巧みに操る唯一無二のロックバンド。メンバーのキャラクターが映えるライヴパフォーマンスを武器に、全国の野外フェスに軒並み出演。リリースした作品は常に記録を更新し、2020月4月リリースの5thアルバム『SUCK MY WORLD』は前作に続きオリコン初登場1位を獲得。2020年はライヴの開催延期や中止が続いたが、9月にはコンセプトを強く意識した公演〈「ORALIUM」at KT Zepp Yokohama〉を2Days開催した。2021年6月には新曲「Red Criminal」をデジタルリリース。7月7日には04 Limited SazabysやBLUE ENCOUNTとのライヴDVD & Blu-ray『ONAKAMA 2021』を発表した。
› Website : https://theoralcigarettes.com/

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