Cover Artist | 神山智洋(WEST.) -前編-
“やっぱりフェンダーでしょ”という想いが自分の中にあったんでしょうね
2024年4月にCDデビュー10周年を迎えたWEST.。3月13日には全シングル30曲に加えボーナストラックも収録したベストアルバム『AWARD』をリリース。全国9都市33公演を行った〈WEST. 10th Anniversary LIVE TOUR AWARD〉を経て、7月からはドームツアー〈WEST. DOME TOUR AWARD ~10th Anniversary~〉を控えている。ダンスの振り付けや楽曲制作など、メンバーの中でもWEST.の音楽的な根幹も担う神山智洋がFenderNewsのCover Artistに登場。インタビュー前編では、初めて購入したエレキもアコギもフェンダーだという、彼の音楽人生を語る上で欠かせない存在と言えるフェンダーとの出会いを振り返ってもらった。
もっと上手くなりたいと思うから、なにくそ根性でできるまでひたすら反復練習
──まずは音楽との出会いから教えてください。
神山智洋(以下:神山) 子どもの頃からダンスをやっていたので、小さい頃から音楽には触れていました。ギターは中学3年生の時、ダンスの先生からアコギを譲り受けて本格的に触り始めました。弦もサビていたし、チューニングって何だろう、ピックはどこに売っているんだろうと、楽器屋さんに行ったりネットで調べたりして、初歩的なレベルから知識をつけていきました。もらったギターは初心者用の安いモデルで、真緑のアコースティックギターでした。
──ギターが欲しいとおねだりしたんですか?
神山 ギターを持っているという話を聞いて、たぶん欲しいと言ったんだと思う。弦の張り替えも全部自分でやって。当時から自分で調べるっていうやり方をやってきたから、ギターも独学やったし見よう見まねで弾いて。一時期は先生に教えてもらったこともありましたけど基本は独学です。大人になってからギターをライヴで弾く機会も増えて、曲を作るようになっていろいろ勉強するようになったけど、最初は1フレットずらしていったら音階が上がることすら知らんかった。それがわかっていたらもっと理解が早かったんでしょうけど、全部自分で勉強して体で覚えていった感じですね。
──ギターにはどのくらい触れていましたか?
神山 毎日触れていました。高校生の時に初めて自分で日本製のフェンダーのエレキギターを買って、真っ赤なStratocasterだったんですけど、ひたすらそれを弾いてました。
──いろいろなブランドがある中、どうしてストラトだったんですか?
神山 値段的に買いやすいのもあったけど、錦戸亮くんが赤のストラトを使っていてカッコいいなと思ったんですよね。その時期からエイト(現:SUPER EIGHT)もバンド路線をやるようになったから、ひたすらエイトの曲を弾いていました。だから幅広く音楽を聴いていたというよりは、ずっとエイトの曲ばかりを聴いていた感じ。テレビで手元を見てどこを弾いているのか探したり、わからない部分はできる限り耳コピして、一曲通して弾けるようになった時は“やったー!”という気持ちでしたね。
──具体的にコピーした曲は?
神山 SUPER EIGHTの「LIFE 〜目の前の向こうへ〜」はずっと弾いていました。それ以外も、SUPER EIGHTがバンドで走り始めた当時の曲はほぼ練習していました。YouTubeにもそんなに練習動画が上がっていない時代だから辛抱強くコピーして。でも、そのおかげで相対音感もついたと思います。
──ストラトは楽器店に行って買った?
神山 そうですね。でも全然弾けないから、試奏はどうしたらいいんだろうと。チューニングしてくれた店員さんが上手すぎて、このあとに弾くのが“恥っ”みたいな。ストラップもフェンダーのものをつけて、小さいアンプを買って、家でヘッドホンをつけながら練習していました。それからしばらく日本製のフェンダーを買い続けて、深い青のストラトやマッチングヘッドのモデルを買ったり。妹がギターを始めたいと言うから、同じく日本製のフェンダーのストラトを買ってあげましたね。
──めちゃくちゃいいお兄ちゃんじゃないですか。
神山 一式揃えてあげましたもん(笑)。
──フェンダーづくしですね。
神山 “やっぱりフェンダーでしょ”という想いが自分の中にあったんでしょうね。今でもメインで使っているのはFender Custom Shop製のテレキャスとストラトだし、この間のアリーナツアー〈WEST. 10th Anniversary LIVE TOUR AWARD〉でも一緒に回って弾かせてもらいました。
──初のテレキャスは?
神山 それも日本製やったような気がする。黒色でピックガードがちょっと変形だった記憶があって、たぶん20歳ぐらいの時に買っていますね。まだ音のことはわからない段階だったので、シンプルにカッコいいなと思って。今でもそうだけど、重視するところはやっぱり見た目ですね。
──練習で挫折したことはありますか?
神山 バレーコード…と言いたいけど弾けたんですよね。
──珍しいパターンですね!
神山 弾けたんですよ。どうしてかはわからないけど(笑)。もちろん最初は音が出えへんかったけど、ちょっと練習したら弾けたので挫折と認識していない感じですね。壁と言ったら今も壁だらけやと思いますよ。ディミニッシュって何?とか、オーギュメントって何?とか、理論的な壁は今もあるからそのほうが挫折かも。でもそれは楽曲を作る中で理解していくので、あまり挫折と思いたくないところはあるかもしれない。挫折だと思うとやりたくなくなっちゃうじゃないですか。それよりも、今でももっと上手くなりたいと思うから、なにくそ根性でできるまでひたすら反復練習。
──確かに挫折や壁と言われると、構えちゃうところはありますよね。
神山 そうなんですよね。だから例えば僕の影響でギターを始めた方がいらっしゃるとして、難しいよと言いたくないというか。楽しいよって教えてあげたいじゃないですか。だから自分自身ギターの難しさは感じているけど、それを挫折として取られたくはない想いはあるかもしれない。
フェンダーは新しいスタイルやジャンルに挑戦し続けている
──これまでにいろいろなギターを手にしたと思いますが、ずばりフェンダーの印象は?
神山 それこそAcoustasonicもそうやけど、新しいスタイルやジャンルに挑戦し続けているブランドかな。競合ブランドはたくさんあるけど、大きな変化というか新たなチャレンジをしているイメージはあまりなくて。だからAcoustasonicが出てきた時に“何じゃこれ!?”って思いましたもん。楽器屋さんの人に“そもそもAcoustasonicって何なんですか?”って聞いたら“新ジャンルです”と。アコギでもエレキでもない、Acoustasonicというジャンルだと。そういう新しいフィールドにも果敢に挑戦しているイメージが強いですね。歴代名機が充分にあるから、ある意味挑戦しなくてもバリエーションモデルだけを作っていればメーカーとしてやっていけるかもしれないけど、こういうのを作るっていうのはアーティストとしても刺激を受けますよね。
──音色的な魅力は?
神山 自分自身が弾くスタイルによって変わるけど、カッティングを弾くならストラトかテレキャスですね。音も歯切れが良くて全ジャンルで使いやすい。ジャンルを選ばずにシームレスにいろいろな楽曲で使える印象があります。
──今所有されてるフェンダーギターは?
神山 テレキャスが一本とストラトが二本。そのうちの一本は原宿のFender Flagship Tokyoで買ったストラト(Made in Japan, Limited 2023 Flagship Tokyo Gold Stratocaster)ですね。たぶん、ここからまた増えていくと思います(笑)。オタク気質なので集めたくなっちゃうんですよね。
──フェンダーのアコースティックギターは?
神山 デビュー前に赤いフェンダーCaliforniaシリーズのSonoranを買ってライヴでも使いました。初めて自分で買ったアコギですね。若かったから金額的に買いやすかったのは大きいかも。僕は基本的にエレキ弾きなんだけど、フェンダーのアコギはめっちゃ弾きやすかったです。Sonoranも音の歯切れ良くてすごく弾きやすいギターでした。エレキもアコギも、僕の入り口はすべてフェンダーなんです。
──神山くんの中でフェンダーはどんな立ち位置のギターですか?
神山 制作で使うかライヴで使うか、立ち位置はその時で変わるかな。制作で使うギターはフィーリングで決めるんだけど、明確に“こういうサウンドが欲しい”って時があるんですよ。デモ音源を作る時に1曲でギターを3〜4本入れるんですけど、フェンダーは高域音が欲しい時に使うことが多いかもしれない。フェンダーは音の粒立ちが良いので、パートをより強調させたい時に使いますし、オクターブ奏法でもフェンダーをよく使います。あとはやっぱりカッティング。間違いなくフェンダーのギターを使います。
>> 後編に続く(近日公開)
神山智洋
WEST.のメンバー。他のメンバーは重岡大毅、桐山照史、中間淳太、藤井流星、濵田崇裕、小瀧望。テレビ朝日系『あなたの代わりに見てきます!リア突WEST.』、TBS『ひらめけ!うんぴょこちゃんねる』などに出演中。3月13日にベストアルバム『AWARD』をリリース。7月より〈WEST. DOME TOUR AWARD ~10th Anniversary~〉を開催。スケジュールは7月14日(日)15日(月・祝)16日(火)京セラドーム大阪、8月24日(土)25日(日)みずほPayPayドーム福岡、8月29日(木)30日(金)31(土)東京ドーム。
https://starto.jp/s/p/artist/29
https://www.elov-label.jp/s/je/artist/J0010?ima=3458