Cover Artist | KEYTALK -前編-

僕らの熱い部分を音に封じ込めることが出来たらいいなと思った

KEYTALK

卓越した演奏能力と、ツインヴォーカルによるポップなメロディー、一度聴いたら病みつきになるトリッキーなギタープレイによって邦楽ロックシーンを牽引し続けている4人組ロックバンド、KEYTALK。彼らの通算13枚目となるシングル「ロトカ・ヴォルテラ」がリリースされた。

表題曲は、彼らのアグレッシヴな側面がフィーチャーされたヘヴィでエモーショナルなロックチューン。カップリングの「アオイウタ」は一転、爽やかなポップソングで、彼らの振り幅の大きさを見せつける一枚と言えよう。2曲を作詞作曲した首藤義勝(ベース&ヴォーカル)と、“巨匠”こと寺中友将(ヴォーカル&ギター)に話を聞いた。

硬い音質にならないようちょうどいいところを探すのに時間をかけた
 

―  通算13枚目のシングルとなる「ロトカ・ヴォルテラ」は、どのような楽曲ですか?

首藤   ギラギラしていてマイナー調で、演奏もカッコいい曲を作りたくて。色で言うと黒っぽい感じ。最近、そういう曲をシングルのタイトル曲にはしていなかったので、そろそろ欲しくなってきたんですよね。タイトルは、仮の歌詞を書き始めたくらいから考えていました。何て言うかちょっと“中二病”っぽい、カッコいいカタカナはないかなと思っていろいろググっていたら(笑)、この言葉がパッと目に飛び込んできて。

―  どんな意味なんですか?

首藤   調べてみたら、“生物界の捕食-被食関係による個体数の変動を表現する数理モデル”みたいなことが書いてあって。それも何だか中二病っぽいし(笑)、比喩的に使って人間の感情を当てはめてみたら、辻褄が合いそうだなと思ったんです。そこからは、歌詞もすんなり書き上がりましたね。

―  「アオイウタ」も、首藤さんが作詞作曲を手がけていますね。

首藤    はい。この曲は、ANAとのタイアップキャンペーン用に書き下ろしたもので、“空”と“旅”をイメージしながら爽やかなポップソングを目指しました。

―  KEYTALKはメンバー全員が曲を書くそうですが、いつもどんな風に曲作りを行なっているのですか?

首藤    僕の場合は曲先ですね。まず“ラララ〜”でメロディーを書いてから、そこに当てはまるワードを少しずつ埋めていくという感じです。

寺中   僕も同じですね。まずはメロディーを考えて、その後から歌詞を書いています。それに、メンバーに聴かせる前の段階で、ドラムやギター、ベースなどのフレーズも大体打ち込んだデモトラックを作ってしまいますね。それをメンバーで共有してから、アレンジを膨らませていくという流れです。これは、メンバー全員が同じやり方ですね。9割ほどアレンジを完成させ、残りの1割をバンドで詰めていくんです。

―  編曲にクレジットされているNARASAKIさんは、KEYTALKのレコーディングにどのように関わっているのでしょうか。

寺中   NARASAKIさんは、2014年のシングル「パラレル」で初めてご一緒させてもらってから、以降のすべての作品に関わってもらっています。特にサウンドプロダクションの部分、ドラムのチューニングから、ギター、ベースの音作り、ヴォーカルマイクの選定に至るまで、僕らには分からないくらい細かい音の違いに神経を注いてくださっているので、とても頼りにしています。アレンジ面に関しては、どちらかと言うとメンバー主導でやっていますね。

―  そのアレンジ面ですが、「ロトカ・ヴォルテラ」に関してはどんなギターアプローチをしようと思いましたか?

寺中   この曲は、デモの段階で歌詞もだいぶ出来上がっていたし、(首藤)義勝が今回、KEYTALKのロックな部分を押し出したいんだなっていうのはすぐ分かったので、どちらかと言えばライヴっぽい雰囲気というか。多少荒削りでも、僕らの熱い部分を音に封じ込めることが出来たらいいなと思いました。それはヴォーカルに関しても同じですね。

―  小野武正さんとのギターの絡みはどのように考えましたか?

寺中   この曲に限らず、ギターアンサンブルについて2人で話し合うことって、実はほとんどないんですよ。彼があのユニークなギターフレーズを、好き勝手に思いっきりできるよう、とにかく僕は基本のバッキングに徹するというか。テンションコードが好きなので、そこをうまく上乗せしていって、曲の雰囲気をより際立たせるということを考えていますね。小野くんを“放牧”するのが僕の役目です(笑)。

―  ベースやギターの音作りに関してどんなところにこだわりましたか

首藤   僕はけっこうハイポジションで動くので、中低域のヌケは意識しました。フレーズはちゃんと見えるんだけど、あまり硬い音質にならないよう、ちょうどいいところを探すのに時間をかけましたね。

寺中   ギターアンプから出ている音を耳で直接聴くのと、マイクを通してスピーカーで聴くのとではまったく違う音になるので、そこを合わせるためにコントロールルームと録音ブースを何往復もしながら調整しました。かなり根気のいる作業なんですけど、妥協せずに時間をかけて作り込みましたね。で、音作りさえしっかりできれば、レコーディング自体は割と早く終わります。曲によりけりですが、大抵は3〜4テイクやればOKテイクが取れます。

› 後編に続く


KEYTALK

American Original ’60s Telecaster
寺中が最近購入し、ライヴではメインで使用しているのがこのテレキャスター。トラディショナルなシルエットとサウンドを継承しつつ、モダン・スタイルの高いプレイアビリティを封入した“American Original Series”である。弦の粒立ちがよく、歪ませても1音1音しっかり聞こえるところが気に入っているという。

American Professional Jazz Bass
首藤が現在、ライヴのメインベースとして使用しているのがこのジャズベ。フェンダーならではのヴィンテージな温かみと歯切れの良いクリアなサウンドが特徴である。ネックも持ちやすく、首藤のような、動き回るベースフレーズを引くのにはうってつけだという。特に、リアのピックアップで鳴らした音がお気に入りだそうだ。


KEYTALK
09年7月に小野武正(Gt)、首藤義勝(Vo,Ba)、寺中友将(Vo,Gt)、八木優樹(Dr,Cho)で結成。2017年9月10日に1万2千人を動員した、初の横浜アリーナ単独公演を収めたLIVE Blu-ray/DVD/CD「横浜アリーナ ワンマンライブ 俺ら出会って10年目~shall we dance?~」を12月20日にリリース。2018年1月24日に13thシングル「ロトカ・ヴォルテラ」をリリース。「ロトカ・ヴォルテラ」はテレビ朝日「お願い!ランキング 」1月度エンディングテーマソング、「アオイウタ」はKEYTALKとANA旅キャンペーンCFソングとなっている。3月7日には5thアルバム「Rainbow」をリリース。

› KEYTALK:http://keytalkweb.com

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