Cover Artist | 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN、XIIX) -後編-

“一人のミュージシャンとして何ができるか?” に本腰を入れて考えていきたい

スリーピースロックバンドUNISON SQUARE GARDENのフロントマンとして、さらに須藤優とのバンドXIIXのメンバーとして多忙な日々を送るヴォーカル&ギターの斎藤宏介がCover Artistに登場。インタビュー後編では、多忙を極めた2022年を振り返りつつ今年の抱負を存分に語ってもらった。

緻密にアレンジを積み上げていくというよりは、せーの!で録っていく感じ

──斎藤さんにとって、2022年はどんな年でしたか?

斎藤宏介(以下:斎藤) ちょっともう思い出せないくらい動いていました(笑)。ツアーも6本くらい廻っていたし、制作もしていたし、時間があれば曲も作っていましたから。中でも“とにかくライヴをしたな”という1年でしたね。

──ライヴのあり方も、3年前に始まったコロナ禍の影響で大きく変わりましたよね。

斎藤 コロナ渦の中2020年秋に初めてステージに立った時、とにかく緊張感がすごかったのを覚えています。そういう曲ではないけれど、泣きながら聴いている人がいたこともあるし、久しぶりに人前で演奏できたのは嬉しかったんですけど、“やっぱり今は、日常ではないのだな”ということを強く意識しました。
ありがたいことに、その後はコンスタントにライヴをずっと続けていくことができて。今は“コロナ禍以前の状態に戻った”わけでは決してなくて、“コロナ禍以降の新たなライヴのあり方に突入した”と思っています。そういうライヴを、主体的に作れるようにもなってきましたね。UNISON SQUARE GARDENにしてもXIIXにしても、マスク着用を義務付けられた特殊な環境でも決してマイナスにはならないようなライヴができるようになったし。むしろ演者としては、自分がやっている音楽を全身で浴びてもらえる環境になったと前向きに捉えながらやっているところもあって。

──決して一朝一夕でできた環境ではなく、コロナ禍で模索し続けてきたことが今につながっているわけですね。

斎藤 そう思います。なので、昨年もずっとライヴを続けてきて良かったと思っていますね。めちゃくちゃ忙しくて大変だけど(笑)、楽しいです。

──2023年の展望についてもお話しいただけますか?

斎藤 4月12日にUNISON SQUARE GARDENのニューアルバム『Ninth Peel』をリリースし、それを携えたツアーもスタートします。これまでリリースしてきたシングルが3枚あって、それがアルバムの顔になってくれる曲たちなので、それ以外のアルバム収録曲は“バンドらしさ”に振った内容となっていますね。緻密にアレンジを積み上げていくというよりは、せーの!で録っていく感じ。そういう意味では、ライヴ映えしそうな楽曲が並んでいると思います。ツアーに関してはまだまっさらな状態ですが、さっきも言ったようにコロナ禍でもずっとライヴを続けてきて、そこで積み上げたものをそのまま出せるような内容にしたいと思っています。

──XIIXは自主企画ライブ〈XIIX presents Eleven Back vol.1〉の3月開催、〈VIVA LA ROCK 2023〉への出演が発表されました。

斎藤 XIIXも、とにかく曲を作ってレコーディングをして、ライヴもたくさんできるような1年にしたい。XIIXのデビューは2020年の1月なので、コロナ禍の影響をもろに受けてしまったんですよ。ライヴも全然できなかったですし。それでも制作を続けていく中で、“二人でやっている意義”みたいなものをようやく共通認識として持つことができるようになってきました。それをしっかりとカタチにしていく1年にしたいです。

夢でうなされるくらいずっと考え続け、結果的にそれがアウトプットにつながっている

──ソロ名義で作品を作る予定などもありますか?

斎藤 世に出すかどうかはさておき“一人のミュージシャンとして自分には何ができるか?”を、今年は本腰を入れて考えていきたいとも思っています。それをすることで、今の自分自身の活動にも刺激を与えることになるはずなので。今考えているのは、リズムからベースからコード楽器まで、すべてギターのみで構成されたソロ音源を作ること。それはいつか実現させてみたいですね。

──楽しみです。インプットやアウトプットはどのようにしているのですか?

斎藤 どのようにやっているんだろう…わからないです(笑)! 例えば曲を作る時って、“よし作ろう!”と思って作っているわけじゃないし、作れるわけでもないんですよ。頭を掻きむしりながら3時間ぐらい考えたけど、結局何も生まれなかった…みたいな日もたくさんあるし(笑)。ただ、そういう時間を過ごしていたほうが、ふといいメロディが浮かんできたりするものなんです。曲作りのこと、ギターリフやソロのこと、歌うことについて、夢でうなされるくらいずっと考え続け、結果的にそれがアウトプットにつながっているような感じ。そういう意味では、例えば映画を観たり本を読んだりして、そこからの影響を音楽に反映させるというよりは、ずーっと音楽のことを考え続けることで、ようやく生まれてくるのが作品なのかもしれない。

──ちなみに、ここ最近よく聴いているアーティストは?

斎藤 最近はNewJeansが気になっていますね。あと、この間久しぶりにGラヴ&スペシャル・ソースがラジオで流れているのを聴いてびっくりしました。当時すごく好きで聴いていたんですけど、今改めて聴くと本当に素晴らしいですね。全然色褪せていないし、相変わらずテンションが上がります。あと、先日Cody・Lee (李)と対バンしたのですが、力毅くんのギターが素晴らしすぎてちょっとびっくりしました。

──斎藤さんのギターを聴いて、“自分も斎藤さんみたいに弾いてみたい”と思ってギターを始めた人も多いと思います。そんな方々に、“まずはこの曲を練習するといいよ”というものがあったら最後にぜひ教えてもらえますか?

斎藤 UNISON SQUARE GARDENの曲は本当に難しいですからね…申し訳ないです(笑)。でも…インディーズの頃に出したミニアルバムの中に「ライトフライト」という曲があるんですけど、それは“4つコードを覚えれば斎藤宏介になれる!”っていう(笑)。あと、例えば「Cheap Cheap Endroll」みたいな楽曲も、簡単なバレーコードだけでできているので、まずはこの曲から始めてみてください!

American Vintage II 1972 Telecaster Thinline

>> 前編はこちら


斎藤宏介
スリーピースロックバンドUNISON SQUARE GARDENのヴォーカル&ギター。2020年からは日本を代表する様々なアーティストのサポートベーシストでもある須藤優とのバンドXIIXとしても活躍。2023年4月12日に9枚目となるUNISON SQUARE GARDENのオリジナルフルアルバム『Ninth Peel』をリリース。同作品に収録する新曲「Numbness like a ginger」が、TVアニメ『ブルーロック』2クール目エンディング主題歌に決定。本作を引っさげた全国ツアー〈UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2023 ”Ninth Peel”〉を4月より開催。
http://unison-s-g.com
https://xiix-web.com/

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