Cover Artist | KEYTALK -後編-

KEYTALKのサウンドになくてはならないのがフェンダー

KEYTALK

通算13枚目となるシングル「ロトカ・ヴォルテラ」をリリースしたKEYTALKの首藤義勝(ベース&ヴォーカル)と、“巨匠”こと寺中友将(ヴォーカル&ギター)。インタビュー後編は、最近2人が入手し、ライヴのメイン楽器として使用している愛器について熱いトークを展開。また、来るべきニューアルバム『Rainbow』や、最近のライヴ事情についても、ざっくばらんに話してもらった。

ヘッドに“Fender”のロゴがあるだけで安心感がある
 

―  では、今回お持ちいただいた楽器についてお聞かせください。

寺中   僕が持って来たのはAmerican Original ’60s Telecasterです。ちょうど全国ツアーの前に試奏する機会があって、メチャメチャ良かったので購入しました。さっきも言ったように、僕はコードカッティングをすることが多いんですけど、1弦から6弦までジャーンと鳴らした時、今までは音がひとつの塊になっているイメージだったんです。特にライヴで大音量になると、細かいテンションノート…例えばFなのかFメジャーセブンなのかまでは、なかなか伝わりづらかったりするんですね。

―  音が歪んでいたりするとなおさらですよね。

寺中   そうなんです。でも、このギターでコードを鳴らすと、すべての弦がちゃんと独立して聴こえてくるというか。粒立ちの良さを強く感じたんです。それが今は楽しくてしょうがないんですよね。9thノートをさりげなく忍ばせるときも、コードの中に入れるのか、それともトップノートにするのかなど、細かいボイシングの違いまではっきりと出すことができるので、プレイの仕方もかなり変わってきますよね。

―  それは例えば?

寺中   例えば、ライヴアレンジではレコーディングでやっていた細かいフレーズや、音使いをあえて省くことが多かったのですが、ここまで細かいニュアンスが出せるなら、レコーディングでやっていたこだわりを、ライヴでも可能な限り再現する方向で考えるようになったというか。今回、レコーディングではまだ使用していないのですが、次のアルバムではかなり活躍すると思います。

―  首藤さんのベースは?

首藤   American Professional Jazz Bassです。今までずっとRoad Worn Precision Bassを使ってきたんですけど、そろそろジャズベが欲しいなと思って探している中で、これを試奏して決めました。まず音がドンピシャだったんですよ。特に、リアのピックアップで鳴らした時に、“超いい!”と思って脳汁が出まくりました(笑)。ライヴでは完全にメインベースとなりましたね。

―  KEYTALKの動き回るベースには、プレベよりもジャズベのほうがきっと合っていたんでしょうね。

首藤   そうなんですよね。下もしっかり支えてくれた上に、輪郭もはっきり聴こえるというか。中高域の音がすごく上品なんですよ。さっきも話したように、ラインの音が分離してしまう感じが好きじゃなくて、それをうまく馴染ませるというのがベース録音における課題だったんですけど、このベースを使うようになってからは、そのへんで悩むことが本当に少なくなって。ライヴ中も、“すごくいい音で鳴らせてるなぁ”と思ってモチベーションもすごく上がりました。

―  ところで、おふたりが思うフェンダーの魅力とは?

寺中   使っているミュージシャンがものすごく多いのに、ひとつも同じ音がないというか。それぞれが独自のギターサウンドを追求しやすいんですよね。カラーリングも実に豊富で、“あのギタリストはあのカラーを使っているから、自分はこっちのカラーでいきたい!”とか、そういう欲求に充分応えてくれるのも魅力的だなって思います。“このカラーリングと言えば俺!”みたいな、いい意味での競争心を焚きつけられますよね(笑)。あとは、小野くんがすごく奇怪なギターサウンドを作ってくるので(笑)、それとのコントラストも付けやすい。KEYTALKのサウンドになくてはならないのがフェンダーのギターだと思います。

首藤   昔からずっと存在し続けていて、今もトップブランドであるということには、ちゃんと理由があるんだなあっていう風に、フェンダーのベースを弾くたび思います。ヘッドに“Fender”のロゴがあるだけで安心感があるというか(笑)。僕は、ギターもベースもフェンダーの楽器が好きなんですよ。今、いろんなギターブランドが出てきていますけど、そこはずっと譲れないですね。初めてフェンダーベースを買ったのが高1の時なので、もうかなり長い付き合いになりますし、これからも末長く付き合っていきたいです。

―  KEYTALKと言えば、卓越した演奏力でフェスでも常にオーディエンスを盛り上げてきたバンドというイメージがすっかり定着していますが、昨年の活動など振り返ってみて何か思うところはありますか?

寺中   ここ数年はメインのステージを任せてもらえる機会が増えてきて、デビューした頃とはフェスのラインナップもかなり変わってきているなって思います。そうした中で生き残っていくには、お客さんが僕らに対して求めていることに、ただ100パーセント応えるだけではダメなんじゃないかなって思っています。特にメインステージに立ってからは、そのことを常に考えていますね。悩んだり苦しんだりするのではなく、そういう状況を楽しみながら模索できたらいいなって思っています。

―  期待に応えつつも、予想を裏切るようなステージということですかね。これからも楽しみにしています。3月にリリース予定の4枚目のアルバム『Rainbow』ですが、どのくらい制作は進んでいますか?

寺中   実は今日がマスタリングなんですよ(笑)。文字通り仕上げの段階ですね。僕の印象で言うと、次のアルバムはKEYTALKド直球というか。前作『PARADISE』は、いろんなKEYTALKの側面、僕ら自身ですら気づかなかったKEYTALKの側面を模索しながら作ったアルバムだったんですけど、『Rainbow』はKEYTALKのカッコ良さ、メロディーの良さ、特に爽やかな部分をギュッと濃縮したようなアルバムになったと思います。

首藤   野球のピッチャーで例えると、質のいいストレートを投げるピッチャーみたいな。そこに来ると分かっていても打てないような球を投げる、全盛期の藤川球児みたいなアルバムです(笑)

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KEYTALK

American Original ’60s Telecaster
寺中が最近購入し、ライヴではメインで使用しているのがこのテレキャスター。トラディショナルなシルエットとサウンドを継承しつつ、モダン・スタイルの高いプレイアビリティを封入した“American Original Series”である。弦の粒立ちがよく、歪ませても1音1音しっかり聞こえるところが気に入っているという。

American Professional Jazz Bass
首藤が現在、ライヴのメインベースとして使用しているのがこのジャズベ。フェンダーならではのヴィンテージな温かみと歯切れの良いクリアなサウンドが特徴である。ネックも持ちやすく、首藤のような、動き回るベースフレーズを引くのにはうってつけだという。特に、リアのピックアップで鳴らした音がお気に入りだそうだ。


KEYTALK
09年7月に小野武正(Gt)、首藤義勝(Vo,Ba)、寺中友将(Vo,Gt)、八木優樹(Dr,Cho)で結成。2017年9月10日に1万2千人を動員した、初の横浜アリーナ単独公演を収めたLIVE Blu-ray/DVD/CD「横浜アリーナ ワンマンライブ 俺ら出会って10年目~shall we dance?~」を12月20日にリリース。2018年1月24日に13thシングル「ロトカ・ヴォルテラ」をリリース。「ロトカ・ヴォルテラ」はテレビ朝日「お願い!ランキング 」1月度エンディングテーマソング、「アオイウタ」はKEYTALKとANA旅キャンペーンCFソングとなっている。3月7日には5thアルバム「Rainbow」をリリース。

› KEYTALK:http://keytalkweb.com

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