Cover Artist | BREIMEN -後編-

BREIMENは更新と継承のどちらの側面も持っている

実力派の5人組オルタナティヴファンクバンド“BREIMEN”から、高木祥太(Vo,Ba)、サトウカツシロ(Gt)がCover Artistに登場! インタビュー後編では、音楽と文化においてギターカルチャーを前進させる新進ミュージシャンをサポートするアーティスト開発プログラム「Fender Next™」に選出された想い、音楽や楽器との向き合い方について熱いメッセージをもらった。

「FENDER FLAGSHIP TOKYO」は出会いのハブになれそうな気がします

──さて、BREIMENはフェンダーの次世代アーティストサポートプログラム「Fender Next™」に選出されました。

高木祥太(以下:高木) サム・ヘンショウも僕らと同じく選出されたのが嬉しかったですね。この間、ライヴを観に行ったので。バンドのLINEグループも爆盛り上がりしましたよ。“Fender Nextの日本代表に選ばれたよ”って来たから(笑)。

サトウカツシロ(以下:サトウ) ちょうどWBCがやっていたタイミングだったので。

高木 胸を張ったよね。でも本当に嬉しいことですよ。できるならアメリカのフェンダーの工場に行ってみたいし、アメリカでもライヴをしてみたいですね。

──さて、6月30日に世界初の旗艦店「FENDER FLAGSHIP TOKYO」が原宿・表参道エリアにオープンしますが、どのように思いますか?

サトウ 原宿はファッションの街ですから、そういう場所で大々的にできるってことは間口がすごく広がりますよね。楽器に興味がない人も、楽器を見るいい機会になりますよ。

高木 場所が場所だから、イベントとかはすごく合うと思うし俺も出たいし。これって本当にフェンダーだからできることだと思いますね。

──こんなイベントをやってみたいとかありますか?

サトウ 俺は何でもやりたいっす。

高木 セッションとかできるようにしてほしいですよね。原宿だし、海外の人とか観光客も来るじゃないですか。そういう人たちとFENDER FLAGSHIP TOKYOを介してセッションで知り合う。

サトウ ガラス張りだし。

高木 外から見ても“あれ、何かやってる?”みたいな感じはいいよね。来日アーティストが来てるみたいな。

──今だと海外ミュージシャンがオフの日に六本木の小さなクラブで演奏していたりするのですが、よほど情報通じゃないとそこに辿り着けないですから。

高木 そういう場所に俺らも出入りしていたんですけど、FENDER FLAGSHIP TOKYOがそういう出会いのハブになれそうな気がしますけどね。

自分で考えて、気づいて、感じることがすべて音楽に当てはめられる

──音楽の未来や可能性についてどう考えていますか? 生成AIで音楽を作り出せる時代になり、そんな中でバンドや音楽はどうあってほしいとか、どうしていきたいとか、未来に対して思っていることがあれば聞いてみたいです。

高木 時代やブームの変化は相互的じゃないですか。例えば、新たなサウンドに対応するために新しい楽器ができることもあれば、その逆もある。シンセが台頭して、それによって流行するジャンルが変わるみたいな。AIに関しても俺はそんなに悲観的じゃなくて、AIが台頭してきてもいまだにブルースが好きなミュージシャンがいるように、絶対に廃れないものがある。音楽って更新と継承の二つの側面があって、それが相互的に入り混じって回転しながら進んでいくと思う。BREIMENも更新と継承のどちらの側面も持っていて、古き良き音楽も好きだし、最近は発明的な取り組みもしています。それがタームによって共存していることもあるので、その構造自体は意外と変わらないのかもしれないなと思う。だから心身が健康で、楽器を弾けるような環境があったり人々が音楽を楽しむような地盤さえ守れば、それはずっと続いていくものだと思うし、新しい何かが生まれたり“やっぱりこれはいいよね”を繰り返していくと思うから。俺はその荒波を楽しく航海していたいなって思います。

──サトウさんはどうですか?

サトウ 年を追うごとに自分以外に興味がなくなってきています。逆に、些細な変化にも気づけるぐらいすごく自分の内面と向き合っています。ギターの奏法一つとっても、ずっとちまちまやっているんですよ。そこまでやっていると大抵のことに興味がなくなってくる。誰も気づかないんですけど、すごく日々進化しています。それが今は楽しいから、最高にギターと音楽が楽しいです。たぶんすごいことになっちゃうし、新しい可能性を追い求めているんです。

──最後に、Fender Next選出アーティストとしてビギナーへメッセージを。

高木 ベーシストのヴィクター・ウッテンが、ベースを始めた頃からセッションしていたという逸話があって。最初はみんな一人の世界で楽器を始めて、それからセッションに行ったりバンドでアンサンブルをするようになる。でも、最近はオンラインで何でもできる時代だからそういうのを経験しない人もいて、それはそれで全然いいんだけど、俺の経験から言うと、表現とか自分の中から出てくるものって結局は“自分の鏡”なんですよ。どういう経験をしてきたかによって変わってくる。だから俺はやっぱり人と演(や)るのが好きで。会話と同じというか。
何でもググれば出てくるけど、それって実感はないから。わからないなりに、わからないところに行けばいい。生きていて実感が一番大事だと思うんです。結局はそれがないと変わらなかったりもするから。全然情報がない状態で、まだベースとかギターも始めていない状態で、とりあえずFENDER FLAGSHIP TOKYOに行くのもありだと思いますね。弾いている人を見て“俺はまだ人前では弾けない”って思うのもいい。オンラインでいろいろなことができる時代だからこそ、オフラインの実感はすごく大事にすべきだと思う。

サトウ 最近感じたことがあって、ビギナーでも音楽ファン的な観点で楽器を楽しむのも一つのやり方だと思う。ただやっぱり僕は、いかに自分を表現していくかが楽しいと思っていて、その手段として楽器がある。いろいろなことを経験したり表現したり、気づいていくことがすごく大事だと思うんです。変な話、ただ人生を過ごしていくだけでもきっと変わっていくけど、自分で考えて、気づいて、感じることがすべて音楽に当てはめられると思っています。

サトウ:American Vintage II 1975 Telecaster Deluxe | 高木:American Vintage II 1954 Precision Bass

>> 前編はこちら


BREIMEN
5人組オルタナティブファンクバンド。2020年2月に1stアルバム『TITY』、2021年5月に2ndアルバム『Play time isn’t over』をリリースし、多くの著名人やプレイヤーから称賛を受け2022年にはASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文氏主催の「APPLE VINEGAR -Music Award- 2022」において特別賞を受賞。2022年5月9日にリリースされた岡野昭仁×井口理「MELODY(prod.by BREIMEN)」ではBa.Vo 高木祥太が作詞・作曲、BREIMENメンバーが編曲・演奏に参加。2022年7月20日には3rdアルバム『FICTION』をリリース。2023年初の新曲となる今作は、4月22日(土)スタートのテレビ朝日系土曜ナイト・ドラマ『月読くんの禁断お夜食』の主題歌となっている。
https://brei.men

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