すぅ&山内あいな(SILENT SIREN) | Fender Experience 2025

ジャンルや世代を超えた注目アーティストによるライヴ、名器たちとの出会い、音楽と触れ合うワークショップ。音楽、クリエイティビティ、そして人とのつながりが交錯する体験型イベント〈FENDER EXPERIENCE 2025〉が、10月11日(土)〜13日(月・祝)の3日間にわたり原宿・表参道エリアの3会場にて開催された。ここでは、12日にFender Flagship Tokyoにて行われた、SILENT SIRENのすぅ(Vo,Gt)と山内あいな(Ba)によるトークセッション「バンドを組もう!」の模様をお届けする。


“ありがとう”と“ごめん”が言えたから15年続いた──SILENT SIRENが語るバンドの絆

SILENT SIREN(以下:サイサイ)のすぅと山内あいな(以下:あいにゃん)が登壇したこのワークショップは、「バンドをやってみたい!」という人たちへ向けたもの。本題に入る前に、フェンダーに遊びに来たことがあるかという司会者の質問に対して、「めちゃくちゃある!」(すぅ)、「イベントに出演させていただいたり、プライベートでも遊びに来てます」(あいにゃん)とテンション高めな2人。

そして、いよいよバンドトークへ。サイサイ結成の経緯から話をスタートさせた2人の語り口は実に等身大。すぅはもともと読者モデルとして活動していて、同じく読者モデルとして活動していたあいにゃんがベースを弾いていることを知り、声をかけたという。しかし、2人とも楽器経験はあったものの、多くの楽器初心者と同じように独学。そんな彼女たちが初めてスタジオに入ったが、当然、満足のいく練習になるわけがなかった。「シールドケーブルをどこに差したらいいのかすらわからなかった」と振り返りながら、2人は屈託なく笑った。

そんなサイサイを救うべく登場したのが、今も作曲とプロデュースでサイサイを影で支えるクボナオキ。彼にスタジオへ一緒に入ってもらうことで、バンドの基礎をイチから学んだという。実は、バンドのメジャーデビュー前まで、クボはサイサイのメンバーだったのである。初めてコピーしたのはHi-STANDARD「My First Kiss」。「最初はイントロも弾けなかった」という同曲の演奏をここでチラッと披露。本人たちは何気なくやったつもりだろうが、観客としてはかなり貴重な瞬間だった。ハイスタを弾くサイサイなんてレアでしかない。

初心者ばかりだったサイサイが最初に取り組んだのはリズム練習だったという。

「基礎の基礎からずっとやってました。みんなで目を合わせて手を叩く」(あいにゃん)

「リズム隊がしっかりしてるといいバンドに育っていく」(すぅ)

そんな基礎練習から始まったサイサイのその後の活躍は、多くの人が知るとおり。何よりも大切なのは、上手いか下手かではなく、音楽と楽器に対する情熱だということを2人は言外に伝えてくれた。

続いては、楽器解説。すぅが上京して初めて手にしたのは、橋本絵莉子(チャットモンチー)に憧れて買ったフェンダーの赤いTelecaster。今では自身のシグネイチャーモデル(SILENT SIREN Telecaster)を発表するまでになった彼女は、音楽を始めるのは形からでもいい、という。「“このギターを持ちたいから音楽をやろう”という人の入口になったら嬉しい」とすぅは自身の真っ白なシグネイチャーモデルのコンセプトについて語った。音に関しては、初心者でも音作りがしやすいようにしてあるが、リアがハムバッカーになっているため歪みサウンド時でもパワーを発揮するという。“クリーンもいい感じ”と「フジヤマディスコ」のイントロを軽く演奏するすぅ。

一方、あいにゃんのシグネイチャーモデル「SILENT SIREN Jazz Bass」は、彼女が普段使っているものに限りなく近いジャズベで、鮮やかなグリーンが目を引く。ネックは細くしてあるので女性でも弾きやすいし、初心者でも手に取りやすいのが特徴。普段、あいにゃんはエフェクターを使ってパキパキした音にしているが、生音でも音の鳴りがいいと太鼓判を押す一本だ。

司会者からいくつかの質問が2人に投げかけられた。“壁を感じた時にやった練習は?”という質問には、「千本ノックしろって言われてたから、やりたい曲のテンポを落としてひたすら練習をする。あとは、練習を練習と思ってやらない。ギターを生活の一部にする」とすぅ。テレビを見ながらでも運指をしていたという。あいにゃんは音源を繰り返し流せるiPhoneアプリを活用し、特に「フジヤマディスコ」のソロはそのアプリでずっとフレーズをループさせながら弾いて、体に馴染ませたという。「練習は裏切らない!」と力強いひと言。

続いての質問は、結成15周年を迎えたサイサイのように、バンドを長続きさせる秘訣は何か、というもの。すぅが挙げたのは、メンバーに対するリスペクト。サイサイはメンバー同士の仲が良く、常に相手の尊敬できるところを言い合っているという。でも、決して馴れ合ってはいない、というところが大事なポイントだ。あとは、“ありがとう”と“ごめん”を言えることも大切だという。「何気ない言葉を言い合って、15年支え合いながらやってこられた」とあいにゃんは振り返った。

ちなみに、「言えないことばっかだな!」とすぅが言い放って笑いを誘ったのは、“15年の間で心に残ってることは?”という質問だった。こういう飾らないところもサイサイの魅力だ。

最後は、観客からの質問コーナーのあと、バンドを始めたい人たちへ向けて2人はそれぞれメッセージを送った。「音楽って終わりがなくて、好きっていう気持ちがあればどこまでも追求できるものだと思う。バンドは特に素敵なもの」とすぅはバンド愛を語り、あいにゃんは「バンドはいつからでも始められるから、まずはときめく楽器に出会うところから始めてみてください」と締めくくった。

Related posts