Stratocaster 70th Anniversary Special Event with Masaru Shimabukuro × NAOTO

BEGINの島袋優とORANGE RANGEのNAOTOが、今年70周年を迎えたStratocasterをセレブレートする公開トークイベント〈Stratocaster 70th Anniversary Special Event with Masaru Shimabukuro × NAOTO〉に出演。その模様をレポートする。

Stratocasterの誕生70周年を祝う笑顔で温かなひと時

今年70周年を迎えたStratocasterをセレブレートするイベントが、アメリカだけでなく日本でも開催。その第一弾が〈Stratocaster 70th Anniversary Special Event with Masaru Shimabukuro × NAOTO〉だ。日本を代表するStratocaster弾きの二人の対談、さらに70周年記念コレクションモデルを使用してのライヴもあるということで多数の応募があり、幸運にも当選したオーディエンスで埋まったFender Flagship Tokyoの地下1階は開演前から熱気に溢れていた。


MCのコールで島袋優とNAOTOが登場すると、会場からは温かい拍手が湧き起こる。島袋もNAOTOもこの日に沖縄から到着したばかり。アロハシャツを着ている島袋は“空港までの車の中、クーラーを入れていました”と沖縄の様子を話すと、半袖Tシャツ姿のNAOTOも“東京でこの格好はちょっと寒いです”と笑いを誘い、イベントは早くも温かい空気に包まれていく。

プライベートでも仲が良い二人、沖縄でも東京でも一緒に飲みに行くそうだ。NAOTOが“沖縄でも東京でも優さんにおごってもらっています”と先制すると、島袋は“そんなこと言われちゃうとずっとおごらないとだなぁ”と返し再び観客席は笑いに包まれた。

そんな二人が登壇したのにはもっと深い理由がある。2月に発売された島袋の初のソロアルバム『55rpm』は、ORANGE RANGEのNAOTOとHIROKIが背中を押したことで制作が始まったからだ。NAOTOが振り返る。

「HIROKIと二人で優さんのお家に飲みに行ったんです。そこで優さんのキャリア、音楽的なもの、人柄も含めて、逆に何で今までソロをやらなかったのかが疑問で、二人で背中を押すような形でした」

島袋は「お酒の勢いもあって、なぜか上から目線で“ORANGE RANGEがプロデュースしてくれるならいいよ”と言っちゃったんです。そしたら、やりますよって。NAOTOとHIROKIからは“優さんはミュージシャンの友達が多いから、いろいろな人に声を掛けて一曲一曲を違う人にプロデュースしてもらうのもいいんじゃないですか?”という流れだったんです。だから…あの時に飲んでいなかったらソロアルバムは作っていないですね」と、NAOTOとHIROKIとお酒が後押ししてくれたことを告白してくれた。


アルバムを一緒に作ったばかりの島袋とNAOTO。トークの掛け合いもテンポよくユーモラスで、会場のオーディエンスも常に笑顔。Stratocasterの70周年をセレブレートするにはピッタリの空気だ。そんな中、フェンダー、そしてストラトとの出会いについて語ってくれた。

NAOTOは高校3年生の頃に友達からスクワイヤーのStratocasterを借り、それがとても気に入って同じものを購入。一方の島袋はドラムからスタートしたが、中学生の時にバンド仲間からギターにチェンジするように言われて転向。高校生の時に比嘉栄昇(Vo)が持っていたフェンダーのTelecasterを借りて弾くようになる。その後に上京しデビュー。ようやく自分のギターが買えるようになり、1990年に渋谷の楽器店で最初に手に入れたのがこの日に持ってきたStratocasterだ。

以来、ストラトを愛用し続けている二人。その理由についてNAOTOが「僕は見た目から入ったのですが、使っていくうちにいろいろな音が出るのがやはり魅力で」と答えると、島袋が「そう! それが一番です!」とすぐさま合いの手を入れる。NAOTOは嬉しそうに続け「ピックアップの切り替えでいろいろな音が出る面白さと、一本持っておけば“あの音楽もこの音楽もできる”というのを発見してからずっと使っています」とストラトの万能性を賞賛。

二人にとってストラトとは?

NAOTO「ストラトっていろいろな感情を持っているんですよね。男としてずっと付き合っていくなら、そういう女性がいいかな。だからこそ僕は20年ストラトを辞めずに、この場に座っています」

島袋「相棒というかパートナーみたいなところがあります。Stratocasterに出会わなかったら、きっと自分のギタープレイは確立していなかったと思うんですよね。ちょっとだけ足りない部分もあったり、僕にとっては足りすぎる部分もあったり、それも全部含めて自分のギタープレイには欠かせないので、楽器として一番のパートナーだと思っています」

ストラトというギターが二人のプレイに影響を与えている。どのギターを選ぶのかは大切だ。Stratocasterに似ているシェイプのギターはたくさんあるが、二人の話を聞くと本物を選ぶべきだし、その本物はフェンダーのStratocasterだけなのだ。

そして二人は持参した愛用のStratocaster自慢を展開。ギターを弾いて音をオーディエンスに聴かせながら自身のストラトの魅力・特徴を説明してくれた。その流れで自慢のストラトを使ってのライヴに突入。まずは島袋のソロアルバム『55rpm』から「タピオカとパンケーキ」。原宿のど真ん中が沖縄に。音の魔法、ストラトの魔法だ。


ここでNAOTOは70th Anniversary American Professional II Stratocasterに、島袋は70th Anniversary Player Stratocasterに持ち替え、沖縄のわらべ歌「てぃんさぐぬ花」のインストバージョンとBEGINの「海の声」を演奏してくれた。演奏が終わると、会場からは割れんばかりの拍手が沸き起こった。MCがこの日初めて弾いたストラト70周年記念コレクションの感想を聞く。

NAOTO「まずはルックスがゴージャス。木目がとてもキレイで、これだけで普段は飲まないブランデーも飲めそう(笑)。音も豪華というか色気があるんですよね。こういうモダンなストラトは初めて弾いたんですけど、すごく弾きやすい。弾き倒して、ここから成長していくのが楽しめるギターなんじゃないかなと思います。ポジションが豊かなので勢いのある曲でいけるし、「海の声」のようにしっとりとした繊細な曲でもいける。ストラトのいいところが存分に出ているんじゃないかなと思います」

島袋「まずはめっちゃ軽いんですよ! ネックも細いし弾きやすい。これからギターを始める方も、やっぱりコンディションのいいギターで始めたほうがいいと思うんです」


エリック・クラプトンがカヴァーしたJ.J.ケイルの「コカイン」のフレーズを、ディストーションをかけて弾いてくれた。「こういうデカい音も最高にいい感じで出ますね。見た目もクラプトンのブラッキーみたいでとてもカッコいいです」と話した。最後に、これからギターを始める人へ素敵なメッセージを贈ってくれた。

NAOTO「僕の教訓からすると、とりあえず直感的に、値段は多少気にするけど頑張っていいモデルを買ってください。優さんみたいに40年近く持つ楽器ですし、一緒に音楽を作っていく相棒として、妥協なしで直感を大切に選んでみてください。そして、フェンダーから始めたら高確率でフェンダーと人生を歩むことになると思います。今日の僕らのように」

島袋「たまに僕と同世代の方から“楽器を始めたいんですけど遅いですよね?”って言われたりするんですけど、全然そんなことはないです。ギターに限らずピアノでも何でもそうですけど、楽器はいくつになって始めても大丈夫。怖がらずに楽器を触ってみてほしいなと思います。僕は沖縄で生まれたので、そういう面ではとても恵まれた環境で。実家に三線があって、子供の頃からよく触っていました。親とか、じいちゃん、ばあちゃんは全然怒らなかったんで。壊れても直すからいいよ、みたいな。そのくらいラクな気持ちで楽器を始めてみたらいいんじゃないかなと思います。ぜひ皆さんすべての敷居を低くして、何ならなくしてもらって、ドレミファソラシドからでもいいので始めてもらえたらいいなと思います。ミュージシャンとしてもライバルができる感じで。NAOTO、楽しいよな?

NAOTO「はい!」

島袋「ライバルは嘘だよ(笑)!」

島袋はこのイベントの翌々日から、全国26都市を廻る〈BEGIN『お天気祭りツアー2024』〉が始まる。NAOTOも9月から全国24都市を廻るホールツアーがスタート。もちろん、フェンダーのストラトとともに全国を廻るので、会場でその音色を体感してみてほしい。

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