
Fender Experience 2025
ジャンルや世代を超えた注目アーティストによるライヴ、名器たちとの出会い、音楽と触れ合うワークショップ。音楽、クリエイティビティ、そして人とのつながりが交錯する体験型イベント〈FENDER EXPERIENCE 2025〉が、10月11日(土)〜13日(月・祝)の3日間にわたり原宿・表参道エリアの3会場にて開催された。さまざまなイベントが連日行われ、計40,000名を超える観客が来場して大盛況となった模様をお届けする。
楽器との距離を急接近させる3日間
〈FENDER EXPERIENCE 2025〉が示す通り、体験型の要素が目白押しであった3日間。Fender Flagship Tokyo、ラフォーレミュージアム原宿、表参道ヒルズ スペースオー。各会場の展示、フォトスポットなども楽しみつつ、お目当てのイベントを観覧する人々が、3連休で賑わう原宿・表参道を行き交っていた。
■Fender Flagship Tokyo
普段から新製品、アーティストシグネイチャーモデル、アコースティックギター、ウクレレ、アンプ、アクセサリー、マスタービルトやチームビルトによる最高峰の作品が多数展示販売されているFender Flagship Tokyo。イベント期間の3日間は、見どころがさらに加わってパワーアップを遂げていた。1階の製品展示スペースで来場者の注目を集めたのは、昨年、映画公開から70周年を迎えた特撮怪獣映画シリーズ『ゴジラ』。同タイミングに70周年を迎えたフェンダーのStratocasterとのコラボレーションで製作されたMade in Japan Godzilla Stratocaster BlackとMade in Japan Godzilla Stratocaster Blue。ゴジラのロゴを大胆に指板に配置したデザインに惹かれて試奏した観客は、Tone2ノブを押すと内蔵ディストーション回路と連動してピックガードに描かれたゴジラのグラフィックが光を放つ仕掛けにも驚いていた。

ゴジラに関しては、地下1階のカフェでコラボメニューのGodzilla Charcoal Latteを提供。あの大怪獣の姿を彷彿とさせる漆黒のラテを思い出の一つとして胸に刻んだ来場者もたくさんいたはずだ。

その他、ヴィンテージの魅力とモダンなパフォーマンスが完璧に融合したAmerican Professional Classicシリーズ、3ピースバンドChilli Beans.のシグネイチャーモデルなど、発売直後の最新シリーズも店内に勢揃い。フェンダー製品の魅力を来場者に示していた。


1階ではフェンダーのアパレルブランド「F IS FOR FENDER」の製品も普段から販売されているが、ゴジラとのコラボによるオリジナルデザインのキャップ、Tシャツなども今回のイベント開催に合わせて登場。10種類のワッペンの中からお気に入りのものを選んでFender Tokyo CollectionのTシャツ、キャップをカスタマイズできるコーナーも賑わっていた。




そして、他のフロアも見逃せないものばかり。2Fギャラリーエリアで特別展示されていたのは、LUNA SEAのINORANとJ、King Gnuの新井和輝と常田大希、MIYAVIの愛器。実際にライヴやレコーディングで使用されているギターやベースを間近で眺める貴重な機会を、ファンがじっくりと噛み締めていた。


また、フェンダーの中でも最高峰の製品を世に送り出し続けているFender Custom Shopのマスタービルトやチームビルトによる作品が展示されている3階のカスタムオーダー用の特別ルームでは、マスタービルダーから直接アドバイスを受けながら⾃分だけの夢の1本をオーダーできる「Dream Factory Roomオーダーセッション」も行われた。抽選で選ばれた幸運なフェンダー愛用者が、ポール・ウォーラー、デニス・ガルスカ、デヴィッド・ブラウン、アンディ・ヒックスと対面。入念な打ち合わせをしながら理想の1本をオーダーしていた。
地下1階では、3日間にわたりさまざまなアーティストによるイベントが開催。フェンダーを愛用するアーティストたちが、自身の音楽人生やアーティスト/バンドとしての歩み、楽器へのこだわり、愛器の魅力など、さまざまなトピックについて語った「TALK SESSION」に出演したのは、すぅ/⼭内あいな (SILENT SIREN/11日)、弓木英梨乃(12日)、KT Chang(Elephant Gym /13日)。ライヴパフォーマンスに加え、トークも交えた「LIVE & TALK SESSION」に出演したのは、NEE(11日)、乃紫(12日)、⾳⽻-otoha-(13日)。普段とは異なる空間でのライヴや楽器の実演に、各アーティストは熱い意気込みで臨んでいたのだろう。普段のステージとは異なるバンド編成、特別に用意したアレンジによる演奏もたくさん届けられていた。
フェンダーロゴ入りアパレルやアクセサリーを着用している来場者にオリジナルステッカーをプレゼントした「WEAR FENDER CAMPAIGN」。イベント 3 会場を巡ってスタンプを集めた来場者に、この機会にしか手に入らないオリジナルグッズをプレゼントした「EXPERIENCE RALLY」。イベントの体験や会場の様子を撮影し、指定のハッシュタグをつけて SNS に投稿すると、出演アーティスト直筆サイン入りギターが抽選で 3 名に当たる「POST & PLAY CAMPAIGN」。イベント期間中、スタンプラリーのゴールであるFender Flagship Tokyoを訪れる人は途切れることなく、レアなオリジナルグッズを手にして浮かべる笑顔が会場のムードをひと際明るいものにしていた。


■ラフォーレミュージアム原宿
ラフォーレ原宿の6階にあるラフォーレミュージアム原宿にも豊富な展示が用意されていた。アーティスト実機の展示数は、Fender Flagship Tokyoより多い12本。新井和輝(King Gnu)、忌野清志郎、小笹大輔(Official髭男dism)、吉川晃司、草刈愛美 (サカナクション)、Ken(L’Arc-en-Ciel)、SUGIZO (LUNA SEA)、常田大希(King Gnu)、直井由文(BUMP OF CHICKEN)、春畑道哉 (TUBE)、HISASHI(GLAY)、丸山隆平 (SUPER EIGHT)。


アーティストシグネイチャーモデルや10月11日に発売されたばかりのAmerican Professional Classicシリーズなども並ぶ中、ここでも存在感を放っていたのがゴジラとのコラボギター。Made in Japan Godzilla Stratocaster BlackとMade in Japan Godzilla Stratocaster Blueの他、マスタービルダーのアンディ・ヒックスと、ロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト、トム・ニーリーによって生み出された完全数量限定ギターのLimited Edition Masterbuilt Godzilla Stratocasterも展示。ブラックライトを浴びると発光しながら浮かび上がるゴジラのグラフィックは、ミュージアムに展示されるのに相応しい素晴らしい芸術作品であった。




そして、Fender Custom Shopの新作モデルやマスタービルダーが手掛けたプレステージなワンオフモデルを含む200本の展示は“壮観”と表現するしかない。高い技術と情熱が注ぎ込まれた1本1本が、名画のように来場者を魅了していた。イベント終了後に購入することもできるようになっていたが、膨大な数を見比べながら過ごすのは、至高のギター、ベースを求める人にとって幸福な時間となったに違いない。



Telecasterのボディトップ⾯をキャンバスにして自由にデザインする⼀般参加の「Fenderギターデザイン コンテスト」の入賞作品も展示。実際に製作された4本の個性的なデザインは、会場に華やかな色彩を添えていた。また、ラフォーレミュージアム原宿に出演した全アーティストのサイン入りで当選者にプレゼントされる「POST & PLAY CAMPAIGN」のギターも置かれていた。展示スペースの出口付近にあったJaguarを眺めながら、「これ、○○さんのサインだよ!」と盛り上がっている来場者の姿を度々目にすることができた。

展示室内の特設ステージでは、3日間にわたってイベントも開催された。初日のトップバッターは、YouTube チャンネル『かずき/ギターのある暮らし』、ギター教則本のヒットなどで注目を集めるかずきによる「TALK SESSION」。フェンダーの新製品を切れの良いトークで観覧者に紹介していた。「TALK SESSION」にはその他にも草刈愛美(サカナクション/11日)、Rei(12日)、鈴木茂(12日)が出演。13日にはINORAN(LUNA SEA)と、彼のシグネイチャーモデルを手掛けてきたデニス・ガルスカ(マスタービルダー)によるスペシャルトークが繰り広げられた。
「Fender Custom Shop マスタービルダー・ワークショップ」も、ギター、ベース製作の奥深さに触れられる貴重な機会。ギターセッティングのポイントや、長年の経験で培った裏技を披露したアンディ・ヒックス(11日)。木材へのハンドステイン工程(木材への生地着色)を実演したデヴィッド・ブラウン(12日)。長年培ってきた経験に基づくベースセッティングのコツや、プレイヤーの個性を引き出す調整方法を紹介したシニアマスタービルダーのデニス・ガルスカ(13日)――各ステージの後半では、伝説的ピックアップ職人アビゲイル・イバラの一番弟子・マスターピックアップワインダーのホセフィーナ・カンポスがワイヤー手巻き術を実演。緻密で繊細な手作業が観覧者を沸かせていた。そして、最終日のラストに行われたのは山本彩×デヴィッド・ブラウン(マスタービルダー)による「MEET THE MASTER BUILDERS」。シンガーソングライターとして活躍している山本が、理想のギターをオーダー。音楽とギターに対する彼女の情熱も伝わってくるイベントであった。
■表参道ヒルズ スペースオー



出演アーティストのサイン入りTelecasterが注目を集め、フェンダーギターを手にして記念撮影ができるフォトスポットも賑わった表参道ヒルズ スペースオー。この会場で行われたオープニングセレモニーに続き、〈FENDER EXPERIENCE 2025〉の幕開けを飾ったのは、人気お笑いコンビ・令和ロマンのステージ。BREIMENの高木祥太、いけだゆうたと結成したバンド演奏が大いに盛り上がった。この日のために練習を重ねた髙比良くるま、松井ケムリと同じようにバンド演奏の初期衝動を味わうため、高木はドラム、いけだはギターを担当。慣れない楽器と向き合いながらも、演奏するピュアな喜びを滲ませていた4人の姿は、楽器未経験の観覧者の背中を押すことにもつながったのではないだろうか。
そして、アーティストがFender Custom Shopのマスタービルダーと対面して理想の1本をオーダーする特別公開セッション「MEET THE MASTERBUILDERS」でも連日、濃密なトークが展開。丸山隆平(SUPER EIGHT)×デニス・ガルスカ(11日)。吉川晃司×ポール・ウォーラー(12日)。HISASHI(GLAY)×アンディ・ヒックス(12日)――求めるサウンドを夢中になって伝える姿は、キャリアを重ねる中でも彼らの中にあり続けるギター、ベースへの温かな愛情にも触れさせてくれた。
アコースティックとエレクトリックという二つの異なるギターサウンドを一つの楽器で楽しむことができるAcoustasonicがテーマの春畑道哉(TUBE)とKen(L’Arc-en-Ciel)による対談(13日)や、愛用しているフェンダーベースの魅力やこだわりポイントについて語ったJ(LUNA SEA/13日)などの「TALK SESSION」も興味深い話の連続だった。「LIVE & TALK SESSION」に出演したのは、Chilli Beans.(11日)、MIYAVI(12日)。最終日13日の斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN / TenTwenty)のステージの後半では、山内総一郎が率いるFender Special Bandに斎藤宏介、加藤隆志(東京スカパラダイスオーケストラ)が参加し、さらにサプライズでKen(L’Arc-en-Ciel)も登場。彼らが展開したセッションは、〈FENDER EXPERIENCE 2025〉を締めくくるのに相応しい熱いサウンドの連続だった。
アーティストたちによる演奏、楽器への情熱を伝えるトーク、フェンダー製品を支えるマスタービルダーたちによる実演や貴重な秘話、たくさんのギターやベースの展示などに存分に触れることができた〈FENDER EXPERIENCE 2025〉。楽器が身近にある環境は音楽への愛情を深め、日々の生活を潤わせる。来場者の体験の数々は、楽器との距離を急接近させる機会にもなったはずだ。
>> 各ステージのイベントレポートは近日公開予定!

