
「American Professional Classic」発表ステージ with かずき | Fender Experience 2025
ジャンルや世代を超えた注目アーティストによるライヴ、名器たちとの出会い、音楽と触れ合うワークショップ。音楽、クリエイティビティ、そして人とのつながりが交錯する体験型イベント〈FENDER EXPERIENCE 2025〉が、10月11日(土)〜13日(月・祝)の3日間にわたり原宿・表参道エリアの3会場にて開催された。ここでは、11日にラフォーレミュージアム原宿で行われた、ギター系YouTuberの“かずき”によるフェンダー新製品紹介を兼ねたトークセッションの模様をお届けする。
47万人が注目するギタリストが、世界初公開のAmerican Professional Classicシリーズを弾く
世界初公開となる新製品、American Professional Classicシリーズのポテンシャルをいち早く知ろうと、会場のラフォーレミュージアム原宿には、まだ午前中にもかかわらず大勢の観客が集まっている。ギターフリークと言ってもいい、そんな観客をまず沸かせたのがYouTubeチャンネル『ギターのある暮らし』が人気のギタリスト、かずきによるデモ演奏だった。

約47万人のフォロワーを誇る彼のプレイを、生で見たかったという観客も中にはいたに違いない。彼が手にしている金色のボディ(Faded Firemist Gold)がまぶしいStratocasterは、もちろんAmerican Professional Classicシリーズの1本。華麗なテクニックを駆使しながら、歪ませた音色でブルージーともハードロッキンとも言えるフレーズをエモーショナルに奏でるかずきのプレイを目の当たりにして、観客のAmerican Professional Classicシリーズへの興味がマックスに高まったところで、今回が初来日だというシニアプロダクトデベロップメントマネージャー、パトリック・ハーバードがオンステージ。
「ギターを作ることで、音楽を作る手助けをできる最高の仕事です」とギター作りに対する誇りを語ると、早速MCの質問に答えながら、ヴィンテージなルックスでモダンなパフォーマンスというコンセプトを持つAmerican Professional Classicシリーズの特徴を紹介していく。

「新たにStratocaster、Telecaster、Jaguarを弾いてみようという人たちが、トラディショナルなモデルに対してわずらわしいと感じていたところをアップデートして使いやすさを追求しました。ネックのサテンフィニッシュもそうですし、指板のラジアスもヴィンテージモデルに多かった7.25インチに対して9.5インチとフラットに感じられるものになっているので、より弾きやすくなっています。また、ナットからペグまでの距離を最小化したことで、チューニングもより安定しました。毎日、ライヴやレコーディングしているというプレイヤーに特にオススメです」
Jaguarのスイッチの数が減ってシンプルになったことをMCが指摘すると、「ミュージシャンがプレイに集中できるようになっているんです」とパトリックは即答。
「今回のシリーズの何が変わったのか伝えるのに、いい例だと思います。それぞれのスイッチが何のためのものなのかわからない人がいきなりJaguarを弾いたら、Jaguar本来のものではない音が出ることもあるかもしれない。そういうことを回避できるようにしているんです」
もともと22フレットで作っているJaguar以外のモデルも従来の、21フレットからツバ出しの22フレットになっているところも大きな特徴だろう。さあ、そんなアップデートが加えられたAmerican Professional Classicシリーズ、どんなサウンドが鳴るのだろうか。
「今回のシリーズに使っているCoastlineというピックアップは、American Vintage IIシリーズに使っているピックアップスロットを基にワイヤーを多めに巻いているため、クラシックなシングルコイルらしさもある一方で、出力がちょっとだけ上がっているんです。ダイナミックなシングルコイルのサウンドは、ゲインの乗ったサウンドでその特徴が際立つでしょう」
そこまでの説明を聞き、「大改良されているじゃないですか!」とMCは興奮を隠さずに声を上げたが、その一方で、ヴィンテージなルックスという今回のこだわりはステージに並んだギターとベースの数々から一目瞭然だ。豊富なカラーバリエーションもこのシリーズの魅力の一つだろう。
「今回はヴィンテージのものをそのまま再現するのではなく、ちょっと遊んでみようと考えました。ヴィンテージファンの方ならご存じだと思いますが、窓際に吊るした状態なのか、クローゼットの中にしまいっぱなしなのか、保管された状態によって同じ色でもエイジングにはかなり違いが表れます。そこに注目して、このシリーズではフェンダーらしいクラシックな色を基調としつつ、色褪せたフェイデッドのニュアンスを加えました。時間を経て、色がどんなふうに変化していくのか、そこも楽しんでほしい。何度も議論を重ね、トライ&エラーを繰り返して、今回のカラーバリエーションに辿り着きました。たくさんのバージョンを作ったモデルもありましたが、Faded Firemist GoldとFaded Sherwood Green Metallicは満場一致で、いいねとなりました」
イベントの後半では、再びかずきがオンステージ。
「新しいシリーズを世界初公開する場に立ち会うことができて嬉しいです。このギターたちの魅力をしっかり語っていきたいと思います」とイベントの冒頭で弾いたAmerican Professional Classic Stratocasterに加え、Telecaster、Jaguarを弾いて、そのインプレッションを言葉にしていくのだが、そこはさすが人気YouTuber。それぞれの特徴を語る説明がとてもわかりやすい。まずはStratocasterについて。
「確実に進化しているというポイントがたくさんあります。一番は音。すごく太い。リアポジションで弾いてもしっかり太さが出るし、メイプル指版ってこともあって、太いのにちゃんとパンチがある。弾いていて気持ち良かったです。ピックアップがオーバーワウンドで出力が上がっている一方で、ハイが抑えられた丸い音になっている。トレモロブロックも改良されているということで、めっちゃスムーズで、アーミングするとちゃんとキレイにビブラートがかかるし、しっかりアーミングしたあとでもチューニングがほとんど狂わない。Stratocasterを使っていて、アーミングを敬遠する人もいるかもしれないけど、これならガンガン使っていけると思います」
続いて、「Telecasterと言えばこの色。ザ・Telecaster」と言いながら、Butterscotch BlondeのAmerican Professional Classic Telecasterを手に取ると、コードカッティング中心のプレイを披露する。

「Telecasterのいいところって、リア単体で弾いた時の芯の強さだと思っていて(とジャカジャーンとコードを鳴らして)、バンドをやっている人なら力強い音が抜けてくるから、このサウンドを生かして、カッティング交じりのフレーズを弾いたらカッコいいんじゃないかな。ザクザクしたブラッシングでも音に張りがあって気持ちいい。バンドサウンド向きですね。Telecasterはミックスポジションの音が好きなんです。アルペジオを弾いたら飴でコーティングされているようなちょっとカリッとした甘い音が鳴るんですよ」
ムーディーなアルペジオを弾き、かずきはそこから高音のカッティングをザクザクと刻みながら鳴らす。
「ピッキングの強弱にギターがちゃんと反応してくれますね! ネックの弾き心地もいいです。スムーズなポジション移動と1ヶ所でしっかりと弾きたい時のグリップ感のバランスもいい。22フレットまであるのは、やっぱりギタリストとして嬉しいです。ちゃんとクラシック感もあるから、これならテレキャスファンもかなり満足できるのでは」
そして、最後に実は一番好きだというAmerican Professional Classic Jaguarを試奏。

「Jaguarの魅力はジャリッとした音色」と言いながら、彼が奏でたのはサーフサウンド風のコードストローク。
「リアでコードストロークしたんですけど、ストラトとテレキャスにはないジャリッとした音色と低音弦を弾いた時の疾走感がJaguarの個性だと思います。だから、他のギターを持った時とフレーズが自然に変わってくるんです。Jaguarはミックスポジションで弾くと、現代的な音になるんです」
そう言いながら、フィンガーピッキングでジャジーなフレーズをさりげなく弾いてみせる。器用にさまざまなフレーズを弾きこなすギターの腕前に改めて感服しながら聴き入っていた観客も少なくなかった。
「3本とも見た目、音が違う。そこがギターを選ぶ楽しみだと思います。同じプレイヤーが弾いてもギターの特性によって、自然にフレーズも変わってくるんですよ」

American Professional Classicシリーズの3本を試奏したインプレッションをそうまとめたかずきに、MCがさらに問いかける。それぞれどんなプレイヤーに薦めたい?
「Jaguarは現代的な新しい音楽をやりたい人。無限の可能性にワクワクしてもらえるはずです。StratocasterはTHE・エレキギターを体感したい人。ブルース、ハードロックはもちろん、オールマイティに使ってもらえると思います。Telecasterはやっぱりライヴもやっているバンドマン。しっかり抜け感もあるし、フロントポジションで弾けば甘い音にもなる」
スペックの説明にかずきによる実演が加わったことによって、American Professional Classicシリーズのイメージがより具体的になったことは間違いない。ぜひ店頭で実際に手に取って、試奏して、具体的になったそのイメージを体感していただきたい。



 
							 
							 
							 
							 
							