春畑道哉 MICHIYA HARUHATA LIVE AROUND at Billboard Live 2023 SPRING HAS COME season2

ソロデビュー35年目を迎えた昨年の2022年2月に、Billboard Live でのソロツアーを開催した春畑道哉。これまでにないほどシンプルな編成で行うツアーは全公演ソールドアウトし、大盛況のうちに終了。春畑自身とても手応えを感じたツアーとなり、ルーティンとして行っていきたいという意気込み通り1年後の2023年2月、Billboard Liveでのソロツアー第2弾〈MICHIYA HARUHATA LIVE AROUND at Billboard Live 2023 SPRING HAS COME season2〉を開催。今回は遠山哲朗(Gt)と宮崎裕介(Kb)を迎えて行われた、Billboard Live YOKOHAMAでの2日目の模様をお届けする。

Heavy Relicの芯のあるブライトなサウンドが突き抜けていく

フラメンコスタイルのガットギターのバッキングと、スパニッシュテイストのグランドピアノが絡むイントロの「God bless you!」からライヴは始まる。オリジナル曲とは異なる世界観のアレンジとトリオ演奏で届ける貴重なライヴで、春畑もガットギターで艷やかなメロディを奏で、新たな楽曲へと生まれ変わっていた。ピアノとギター2本、いわゆる上モノ楽器だけでのトリオ演奏とは思えない迫力のステージだ。

2曲目からエレキギターが登場し、アルバム『GUITAR LAND』(90年)収録の「Mermaid’s Kiss」へ。現在のメインと言える、レリック加工が施されたFender Custom Shop™ Michiya Haruhata Stratocaster® Heavy Relic®, Masterbuilt by Jason Smith(以下:Heavy Relic)で、ディレイとリバーブのかかったメロウなギターを弾き始める。すると、宮崎のサンバ調のピアノフレーズから、2・3クラーベのリズムでのハンドクラップが会場全体に響く。スパニッシュギターとピアノのサウンドの中、Heavy Relicのリアピックアップの芯のあるブライトなサウンドが突き抜けていく。歌うようにプレイし、まさに春畑のギタースタイルが顕著に出た楽曲にアレンジされていた。とても3人で奏でているとは思えない重厚なアンサンブル。


MCでは「ドラムもベースもいないトリオでの演奏を去年から始めたんですけど、いろいろな発見があって楽しいチャレンジができる。これからも2月にやりたいなって」と来年の2月公演を示唆するような発言も。

3曲目もアルバム『GUITAR LAND』収録の「Solid Sky」。Heavy Relicを持ち、コンプのかかったアタックのあるソリッドなギターサウンドでメロを弾く。ダイナミックレンジを最大に活かしたアレンジで、ピアノとガットギター、エレキギターだけのアンサンブルでグルーヴが生まれ、いないはずのリズム隊が聴こえてくるようだった。

『Color of Life』(95年)収録の「Sad Song I know you’re leavin’ me」では、Heavy Relicでエモーショナルなギタープレイを響かせる。ソロはミッドブーストしたようなハイゲインサウンドで、ディレイサウンドがより叙情的に泣きのギターを響かせる。力強いピッキングでエモーショナルさが最高潮に達し、名演と言える圧巻のプレイだった。続いて、春畑一人でグランドピアノの前に座り、「Mystic Topaz」をソロピアノで披露。多彩な才能を魅せる。


ソロデビュー35周年を飾る最新アルバム『SPRING HAS COME』に収録されている「John English」は、フェンダーのシグネイチャーモデルの1号機、Michiya Haruhata Stratocaster®︎のマスタービルダーの名前を冠した楽曲。その1号機のStratocaster®︎でプレイ。リバースヘッド以外はノーマルのStratocaster®︎に近い仕様で、サウンドは素直なストラトサウンドで、歪ませると突き抜けたミッドハイが特徴的。ブルーのジャケットにも映えるホワイトカラーで、力強いバッキングでは芯のあるミッドのドライブサウンド、リードはミッドに太さを持ったサウンドで魅了した。

後半はヘヴィな「Kingdom of the Heavens」を、まさかのガットギターで披露。ヘヴィリフを生ギターでかき鳴らしている姿が印象的で、オリエンタルなアレンジになって異国情緒溢れる楽曲へと生まれ変わっていた。続く「EXPERIENCE #9」はピアノのファンキーなリフから、クランチサウンドでのHeavy Relicでメロディを紡ぐ。観客のハンドクラップと一緒に楽曲のグルーヴを生み出していく。春畑のギターソロはピアノとコールアンドレスポンス的に構築され、まるでセッションのように会話を楽しんでいるようで、会場の盛り上がりも最高潮となった。

MCでは「ワールドカップ、盛り上がりましたね。(日本が)ドイツに勝って、さらにスペインに勝った時に『FANTASIA』が流れていて二重の喜びがありました」と語り、本編最後の曲としてワールドカップで何度も流れた楽曲「FANTASIA ~LIFE WITH FOOTBALL~」へ。Heavy Relicでのワイルドなミッドローサウンドのソロが印象的だった。


アンコールでは、軽快なカッティングから始まる「Spring has come」へ。コンプの効いたサウンドで、Heavy Relicを使ってカッティングやメロを奏でる。アタック感をつぶしたエフェクティヴなメロから、フェイザーのカッティングが入り、ギターソロへ。その後、ピアノソロ、アコギのカッティングソロへと、3人の怒涛のアンサンブルへ。ラストは、Jリーグのオフィシャルテーマソングである「J’S THEME(Jのテーマ)」のアコースティックバージョン。ガットギターでのソロギターアレンジで、フィンガーピッキングからピアノとアコギが加わり、Heavy Relicに持ち替えて、ミッドローの効いたドライブサウンドを奏でる。エモーショナルな泣きのギターはダイナミックかつ壮大であり、エンディングに相応しい楽曲だった。

ギターの1音1音をじっくりと味わいながら聴ける、とても貴重なライヴだった。オリジナル曲とは異なるアレンジやトリオでのアンサンブルなど、まだまだ可能性を感じる“Guitar Day”だった。


【SET LIST】
1. God bless you!
2. Mermaid’s Kiss
3. Solid Sky
4. Midnight Snow
5. Sad Song I know you’re leavin’ me
6. Mystic Topaz
7. John English
8. Kingdom of the Heavens
9. EXPERIENCE #9
10. FANTASIA~LIFE WITH FOOTBALL~

ENCORE
1. Spring has come
2. J’S THEME(Jのテーマ)


春畑道哉:https://www.sonymusic.co.jp/artist/MichiyaHaruhata/

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