
Fender Flagship Tokyo Special Event with Rei
今や日本を代表するギタリストの1人であるRei が、去る2月12日に〈Fender Flagship Tokyo Special Event with Rei〉を開催。超満員となった本イベントの模様をレポートする。
楽器が独り歩きして、たくさんの方に届くといいな
この日は、2月9日に発売されたRei初のシグネイチャーモデル、Rei Stratocaster R246の発売を記念したイベント。しかも2025年はReiの10周年イヤーであり、ReiのファンやギターファンでFender Flagship Tokyoは超満員となった。定刻の18時。MCのコールでReiが登場すると、歓声とともに大きな拍手が湧き上がる。
Rei Stratocaster R246が発売された2月9日に、Reiは10周年イヤーのキックオフとなるLINE CUBE SHIBUYAでのワンマンライヴを大成功させたばかり。そんなReiのギタープレイを間近で見られるチャンスとあって、最初からオーディエンスはハイテンション。Rei自身も満面の笑みでステージに立ち、さっそくその喜びを言葉にした。


「楽器奏者にとって、自分の名前がついている楽器が世の中に出るってとんでもないことで。もちろん、それをずっと目指して活動してきたのですが、本当に先月ぐらいまで“本当に出るのかな?”と思っていました(笑)。夢でも見ているんじゃないかって。自分の夢を人に語る時、気恥ずかしさもあるしためらいもあるし、身の程知らずだと思われたら嫌じゃないですか。でも言霊もあるし、宣言してその夢を掲げることによって自分を底上げしたり、スキルや意識を引き上げてくれるような気がします。ぜひ、皆さんもシグネイチャーモデルを(笑)。夢は言葉にしましょう!」
MCによるインタビューは、まずRei Stratocaster R246に入っているR246について。
「Reiが作った24フレットの6弦という意味でR246なのですが、東京で生まれたギターなので国道246号にもかかっています。ということはわりとメディアでも口にしてきたのですが、実は2024年の令和6年に発表しているんです。なので、いろいろと考え抜いたネーミングです」とその深い意味を教えてくれた。

Reiのこだわりが詰まったギターであることは想像に難くないが、MCがRei Stratocaster R246へのこだわりを聞くとReiのトークが止まらない。饒舌に語ってくれたこだわりを以下にまとめてみた。
・フェンダーブランドの哲学である伝統と革新を大切にしたギターを作る。例えば24フレットにすることでカットウェイが深くなっているが、ストラトらしいルックスが壊れないようにボディとヘッドを小さくしてストラトらしさをキープ。その結果、軽くなり抱えやすくなった。
・愛用していたLead Ⅱと同等の細めのネックを使用したので、キッズも含めて小柄な人でも弾きやすいギターになった。
・ピックアップにVintage Noiselessを使用。
・色は自身が好きなブルー(Rei Blu)。1stアルバムのジャケットで使用したブルーと同じで、自身が好きなブルーズにかかっている。
(さらに詳しい情報はFenderNewsでのインタビューをチェック!)
さらに、すでに実機をライヴでも使用しているReiは、その弾き心地をこのように語ってくれた。
「自分が作ったものだからという贔屓目なしに、“これ1本で全部できるじゃん!”という感じは本当にあります。そもそもStratocaster自体に個性があるんですけど、すごく音色の幅があって、長いセットリストや曲調がバラバラなジャンルが交錯しているセットリストで弾いてもフィットするギターなんです。ストラトでジャズを弾く人もいれば、カントリー、ロック、ポップスを弾く人もいる。そういう意味でもすごくオールマイティな1本だと実感していますし、本当に弾きやすいんです」
では、どんな人にオススメなのだろうか?
「私のファン以外にも、楽器が独り歩きしてたくさんの方に届くといいなと思っています。それはビギナーの方が、“フレットが足りないや”と思わずに済む実用性もそうですし、私よりも長年ギターを弾いてきた方にもご評価いただき、レギュラーラインナップに加えてくれたら。私の存在を知らなくても、楽器そのものを見ていいと思ってもらえる人が1人でもいたらいいなという願いがあります」
そしてここで、シグネイチャーモデルの販売を記念してReiオリジナルのストラップ(Rei Signature Strap)とピック(Rei Signature Picks)もオフィシャルストアで限定発売されるという嬉しいニュースが。このストラップとピックにもReiならではのこだわりが満載。例えばストラップは、フェンダーツイードという歴史のある織り方のReiバージョンのブルーツイード仕様で、カンナなどのディテールはすべて白で統一。さらに、ピックやケーブルを差し込むための工夫が凝らされている。ピックは、Rei自身がデザインしたフラットピックやサムピックなど6種類のピックがセットになったピック缶で、ギフトにもピッタリ。


そんな嬉しいお知らせのあとは、会場に集まったオーディエンスとのQ&Aタイム。全部で三つの質問に答えてくれた。最初の質問は、Rei Stratocaster R246のボディで使用されている木材、バスウッドについて。Reiは軽さを重視し、いくつかの素材でサンプルを作って試奏し、ヒアリングテストをした結果ベストな素材として選んだ。2問目は女性からで、手が小さくてうまくコードを押さえられないが、ネックが細くなると違うものか?という内容。この質問にReiはプチギタークリニックを開催し、その悩みの解決の一助を与えた。最後の質問は、ストラトのピックアップの使い分けと一番好きなポジションは?というもの。この質問の答えは、実際にRei Stratocaster R246で音を出しながら解説をしてくれた。ちなみに、一番好きなポジションはリアピックアップ。

この最後の質問でReiがギターを弾くと、会場の空気が変わった。Q&Aの説明のための音出しだが、Rei Stratocaster R246のサウンド、そしてReiの演奏が一瞬にしてオーディエンスのテンションをさらに上げた。その期待感に応えるようにスペシャルライヴへと突入。


至近距離で体感するRei Stratocaster R246でのスペシャルライヴ。Reiの演奏、歌、そしてギターの音色にオーディエンスは陶酔していて、誰もがハッピーな表情を浮かべているのが印象的だった。演奏後、MCからギターを始める人へメッセージやアドバイスを聞かれたRei。
「上達することにすごく重きを置きがちですけど、それ以上に楽しく弾けることを重んじてほしくて。例えば、ファンクだって1コードで弾けるわけですよ。ジョージ・クリントンとか1コードで8分間も弾くわけです。大好きなコードを一つ覚えて、それを弾いてるだけでも幸せだし、自分のギターで自分の演奏なんだから、無理して上手くなる必要なんてない。私が言うと矛盾しているように感じるかもしれないけど、あまりハードルを上げずに、楽しいと思うコードや曲を弾いたりしてギターを楽しんでほしいなって。そうしてギターの魅力に取りつかれてほしいなって思います」
MCからの最後の質問は、10周年を迎え、これからどんなプレイヤーになりたいか。Reiが即答する。
「私はエリックと一緒に演奏したいです。エリックって友達みたいに言っていますけど、エリック・クラプトンです(笑)。他にも、シェイ・スタジアムというザ・ビートルズが伝説のライヴを行なった野球場でライヴをやりたいし、グラミー賞も獲りたいし、日本武道館でやりたいし、大きくて具体的な夢はいっぱいあって。もちろん、それらの夢を叶えられたら嬉しいと思って頑張るのですが、それより自分の音楽を聴いてくれる人が、少しでも独りぼっちじゃないんだって、自分の音楽で満たされる気持ちを作っていきたいなって、本当にプリミティブな部分をこれからも大事にしていきたいなって思います」
夢を言葉にしたRei。自身のシグネイチャーモデルと同様、必ず叶えるんだろうなぁと思えた。Reiの最高の笑顔と、オーディエンスの鳴りやまない拍手の中、イベントは終了した。

イベント終了後にサイン会を実施するRei
Rei
卓越したギタープレイと歌唱力を持つ、シンガー・ソングライター/ギタリスト。幼少期をNYで過ごし、4歳よりクラシックギターをはじめ、5歳でブルーズに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作り始める。2015年2月、長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデュースに迎え、1st Mini Album『BLU』をリリース。FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONIC、RISING SUN ROCK FESTIVAL、SXSW Music Festival、Les Eurockéennes、Heineken Jazzaldiaなどの国内外のフェスに多数出演。2017年秋、日本人ミュージシャンでは初となる「TED NYC」でライヴパフォーマンスを行った。2021年2月26日 1st Album『REI』のInternational Editionが、米国レーベルVerve Forecastより全世界配信。2022年4月 コラボレーションアルバム“QUILT” をリリース。細野晴臣、渡辺香津美、山崎まさよし、Cory Wongを始めとする親交のあるミュージシャンと共に作品を彩る。2022年8月にはForbes JAPAN誌が発表した「世界を変える30歳未満30人の日本人」に選出される。2023年、楽器メーカーFenderとパートナーシップ契約を結ぶ。2024年、フェンダー・ストラトキャスター70周年を記念したスペシャル動画「Voodoo Child: Forever Ahead of Its Time」にナイル・ロジャースをはじめとした各国のアーティストと共演。
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